中小企業におけるDXの成功事例

DXは大企業のものだけではなく、規模に関わらず独自の取り組みを推進する必要がある。中小企業でのDX成功事例を紹介していこう。

株式会社木幡計器製作所(従業員数:約18人)

1909年創業の計測・制御機器老舗メーカー。圧力計のIoT化による保全業務の自動化や呼吸器疾患リハビリ用の医療用測定機器の開発など、多角的にDXを進めながら顧客の視点で将来を見据えた新規事業の開拓を行っている。

株式会社南部美人(従業員数:25名)

職人の勘や経験による酒造り技術の伝承の課題について、AIによるディープラーニングを導入。職人への気づきを与え現場の意識も変わった。「酒造り」という伝統の世界にAI技術の活路を開き酒造りの可能性を見出した。

碌々産業株式会社(従業員数:約160人)

1903年創業時は機械工具類の輸入販売業だったが、現在は汎用マシニングセンタを製造しているメーカー。5ミクロン以下の加工が可能な「微細加工機」を他社に先駆けて開発。その後もフィードバックやデータの収集を地道に行いながら、デジタル技術により精度に磨きをかける取り組みを続けている。

DXの失敗事例から見えるものとは

DX先進国での失敗事例からその原因を探っていく。

General Electric社

多額の投資を行って1,500名以上を新規採用してデジタル戦略をリードする事業部門を創設・しかし成果が出せず長引く株価低迷を受けてトップが退陣する結果となった。「特定分野にフォーカスせずに最初から大がかりにスタートした」「質より量でDX推進をやみくもに進めようとした」といったことが敗因と見られる。

Ford 社

デジタル事業を同社の他の自動車製造部門とは完全に切り離して運営。他の事業部門とほぼコミュニケーションをとらずに開発を進めた結果、サービスに対する品質問題が浮上したことから勢いが急速に衰えた。DX推進は組織全体で横断的に進めるべきであり部門間でのコミュニケーションを十分に取ることが重要。DXの根本的な目的の一つは、企業文化の変容であることに留意したい。

P&G社

「地球上で最もデジタルな企業」になるためのDXイニシアチブを提唱。しかし「あらゆる事業部門にテクノロジーを大々的に適用することで、消費者向け商品・サービスを改善する」という漠然とした目標のみで推進したため業績不振に陥り、競争力が低下した。DXへの投資は具体的な達成目標を示すことが重要。達成目標を明確にし、段階的にクリアしていくことで推進が軌道に乗せられる。