株やFXなどの投資を経験されている方ならご存知だと思いますが、金融市場では時折「〇〇ショック」と呼ばれる暴落相場が発生します。2020年3月に起きた「コロナショック」は記憶に新しいところですが、過去には「リーマンショック」や「東日本大震災ショック」など、社会や経済を大きく揺るがすような暴落相場もありました。

2021年は中国の恒大集団(エバーグランデ)をはじめとする不動産会社のデフォルト問題がくすぶり続けており、世界最大の不動産バブルが弾けることで暴落相場が起きるのではないかと懸念されています。

投資や資産運用をしている以上、「〇〇ショック」と歴史に名前を残すような暴落相場を避けることはできません。それでは暴落相場が起きたら何を考え、どう行動するべきなのでしょうか。今回は避けることのできない暴落相場との正しい向き合い方と資産防衛術について解説します。

金融市場の不安定感、不透明感が増している

歴史は繰り返される…「〇〇ショック」からの資産防衛術
(画像=meenkulathiamma/stock.adobe.com)

2021年12月現在、金融市場に暗雲をもたらしている懸念要因は主に2つあります。

1つめは、中国の恒大集団をはじめとする不動産バブル崩壊の懸念です。日本がかつて経験した不動産バブルの崩壊はその後「失われた20年」と呼ばれるような日本経済の長期低迷をもたらしました。中国の不動産バブルは規模だけを見ても日本の比ではなく、しかも土地や不動産に強いこだわりを持つ中国文化の根幹をなす産業だけに、これが崩壊した時の影響は計り知れません。実際、恒大集団のデフォルト問題が表面化されるようになってから中国や香港の株式市場は何度も暴落をしており、投資家もその影響を懸念しています。

2つめは、オミクロン株と呼ばれる新型コロナウイルスの変異株の問題です。2020年の「コロナショック」を多くの投資家が知っていることもあって、コロナ関連のネガティブなニュースにはとても敏感に反応する傾向があります。2021年12月現在ではそれほど深刻な影響は出ていませんが、感染力が高く毒性が強いことが明らかになると、相場の影響は少なからずあるでしょう。さらなる変異種や世界的なパンデミックが再発するようなことがあると、第2の「コロナショック」は現実味を帯びてきます。

過去に何度もあった「〇〇ショック」

こうした「〇〇ショック」はこれまでに何度も繰り返されてきました。2000年以降で最も大きいのはアメリカ発の「リーマンショック」です。アメリカのリーマンブラザーズという大手投資銀行の経営破綻によって連鎖的に不動産や株式市場の暴落が起きました。あらゆる暴落相場の中でも伝説的に語られる規模だったため、金融市場だけでなく実体経済にも多大な悪影響を及ぼしました。

その他にも東日本大震災に起因する超円高相場や2015年に起きた「チャイナショック」、アメリカの大統領選挙で共和党のトランプ氏が勝利したことによって起きた「トランプショック」など、枚挙に暇がありません。名前こそついていませんが、かつて日本で起きた不動産バブルの崩壊も「〇〇ショック」と呼べるだけのインパクトがありました。

歴史は繰り返されるので、こうした「〇〇ショック」は今後、起きる可能性があります。何をきっかけに起きるかは未知数ですが、暴落が起きるのは相場の常です。

「〇〇ショック」で資産を守る基本スタンス

暴落相場が怖いからといって投資をしないのは、人生設計においてむしろリスクが高いことだと思います。なぜなら、銀行に預けていてもお金は増えないので、将来や老後に備えるには投資の力をいかす必要があるからです。

そこで提案したいのが、ポートフォリオの多様化です。ポートフォリオとは複数の投資先を組み合わせた内訳のことで、投資先を特定のものだけに集中させるのではなく、幅広い投資商品にまたがって投資をすることでリスクを分散することができます。

「〇〇ショック」の相場では株安と円高が起きる傾向があります。日本円は超低金利で投資先としての魅力は薄いのですが、政情や経済が安定していることからリスクの低い安全通貨として知られています。そのため株安が起きると安全通貨である日本円が買われ、円高になりやすくなります。

こうした性質を理解しておくと、株と外貨を同時に買うことはリスクを高めることになります。株安とともに円高(つまり外貨安)が同時に起きると株と外貨の両方で損失が大きくなるからです。その逆に、株や外貨と逆相関になりやすいのが金(ゴールド)です。株と金の両方に投資をしておくと、株が暴落している時に金価格が上昇しやすくなり、トータルでのダメージは少なくなります。

暴落相場では「フラッシュクラッシュ」と呼ばれる急激かつ一方的な値動きが起きることがあります。特に為替市場でよく見られる現象で、FX投資家はレバレッジを高くしてポジションを保有しているとフラッシュクラッシュによって強制ロスカットを食らってしまいます。フラッシュクラッシュは一時的に大きく円高に振れるのが特徴ですが、その後何もなかったように相場が回復する特徴も併せ持っています。そのためFXやCFD、株の信用取引などレバレッジを利用できる投資商品では暴落が起きてもロスカットにならないようにする資金管理が重要になります。

「〇〇円にまで暴落してもロスカットにならない」という金額を計算して資金的に余裕をもたせておくと、寝ている間に起きたフラッシュクラッシュですべてが終わってしまった、といった悲劇を回避できます。

金融商品別「〇〇ショック」の切り抜け方

主な金融商品別に「〇〇ショック」を切り抜ける方法を解説します。

・現物株、ETF

現物はどんなに暴落しても含み損が拡大するだけなので、手放したくなければそのまま持っておいて問題ありません。資金的に余裕があるのであれば暴落時に買い増しをすると平均取得額を引き下げることができます。

・FX

先ほども解説したように、フラッシュクラッシュに警戒が必要ですが、損切りのラインをあらかじめ決めておいて無期限で損切り注文を出しておくと保険になります。損切りを好まないのであれば、フラッシュクラッシュに耐えられるだけの資金的余裕をもたせてロスカットを防ぎましょう。

・暗号資産(仮想通貨)

ビットコインやイーサリアムなど、主要コインであってもボラティリティ(価格変動幅)がとても大きいので、普段から暴落に備えて損切り注文を入れておくことを推奨します。ただ、現物を保有するのであればどんなに暴落してもロスカットになることはないので、相場の回復を待って持ち続けるのもひとつの方法です。
ただし、主要コイン以外のマイナーな暗号資産については暴落したまま無価値同然になってしまうこともあるので、マイナーなコインを保有している場合は損切りを重視するべきでしょう。

・REIT

REITの中でも東証に上場しているJ-REITは株の暴落につられて暴落する可能性があります。「コロナショック」でも同様の値動きが見られました。REITは不動産投資信託なので、REITの市場価格が暴落しても不動産の価格が暴落しない限りはやがて本来の価格に戻ります。それを待って持ち続けてもよいでしょうし、資金に余裕があれば買い増しも検討の価値があります。

・現物不動産

金融市場で取引されているわけではないため、マーケットの影響をあまり受けないのが不動産の大きな特徴です。市場の「〇〇ショック」に振り回されることを好まないであれば、ミドルリスク商品である現物不動産による投資が最適です。入居者がいる限り、物件価格の上下に振り回されることなく安定的な収入を見込むことができます。

(提供:Incomepress



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