米決済アプリStrikeは12日、南米アルゼンチンにおいてサービスを開始すると発表した。

米決済アプリStrike、暗号資産需要の高いアルゼンチンでサービス展開
(画像=月刊暗号資産)

Strikeはエルサルバドルと提携し、同国におけるビットコインの法定通貨化に貢献したことでも知られる。同社のサービスではライトニングネットワークを用いることで、高速かつ安価な手数料での送金を可能としている。

アルゼンチンは現在ハイパーインフレに直面しており、長らく経済危機を抱える国家だ。これまでに幾度もデフォルト(債務不履行)が発生しており、経済改善の糸口は依然として見えていない。

経済状況が芳しくないアルゼンチンでは、法定通貨の価値が低いこともあり、暗号資産(仮想通貨)の需要が高い。ビットコインをはじめ、米ドルにペッグされたステーブルコイン ・DAIなどの取引が盛んだ。暗号資産価格が上昇する際には、アルゼンチン市場のみプレミアム価格をつけることもある。

StrikeのCEOであるJack Mallers氏は自身のTwitterで、アルゼンチンにおけるインフレ率は今年中に55 %に達し、GDPは12 %ほど縮小する可能性があると指摘する。

さらに、アルゼンチンでは1991年に米ドルにペッグしたアルゼンチンペソを発行したものの、平価切り下げの実施以降はドルへの依存が強まっていると続けた。こうした背景が法定通貨の信用度にも直結しており、暗号資産の需要増にもつながっているとMallers氏は分析する。

アルゼンチン国民がより開かれた金融システムを欲しているとしており、ビットコインはその条件を満たしているとの考えも示した。

同氏は、ビットコインのように発行枚数が決められており、ブロックチェーンにより透明化された資産は、アルゼンチンのような国では安定した価値の保存手段になるだろうと語り、金融包括や個人の自由を取り戻す貨幣システムだと述べた。

アルゼンチンやエルサルバドル以外にもハイパーインフレに苦しむ国家はあり、そういった国々では海外送金に比べ取引手数料が安価で済む暗号資産を用いられるケースが多い。今後、Strikeのサービスはそういった国々を中心に、加速度的に展開される可能性があるだろう。(提供:月刊暗号資産