規模の経済を活かす2つの方法
企業の規模が小さくてもコスト構造や事業分野によっては規模の経済性を享受できる。しかし自社に該当しない場合でも外部的な規模の経済を活用し自社の固定費節減や利益率向上につなげることも検討してみよう。
1. アウトソーシング
自社で行っていた作業をアウトソーシングすることも方法の一つだ。アウトソーサは、それぞれに特定の分野に集中して事業を行っているため、規模の経済を効かせることが期待できるだろう。例えば自社にとっては、年1回だけ必要な業務でもアウトソーサにとってはその業務は毎日行う業務になるといった具合だ。
対象となる業務を行うための固定費もかけているし業務量で割った1受注あたりのコストは、自社で行う場合に比べてはるかに小さいだろう。経験も自社よりはるかに多く積んでいるため、業務のクオリティも期待できる。アウトソーシングサービスを提供している分野は、以下のようにさまざまだ。
- 経理の仕訳
- 商品梱包
- 発送業務
- ウェブサイトの制作
- 更新業務
- 広告制作など
近年では、企業の業務を一括して外部の専門業者に委託する「ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)」という方法も活用されるようになっている。コストダウンを図れるとともに自社のより重点課題に経営資源をつぎ込むこともできるだろう。
2. クラウドの利用
「クラウド」を利用することも方法の一つだ。クラウドサービスは、ネットワーク環境さえ整っていれば自社でソフトウェアを購入しなくても業務ができる。一般的に「月額〇〇円」「1ユーザー〇〇円」といった料金体系になっているが、これはハードウエアやソフトウェア、運用管理作業に要するコストを多数のユーザーで割っているからだ。
自社自身も外部の規模の経済に貢献しているともいえる。近年は、以下のような多くの基幹系システムでクラウドサービスが提供されている。
- 会計ソフト
- 給与計算ソフト
- 緊急連絡・安否確認システム
- e-ラーニングシステムなど
そのため自社で個々のソフトウェアを購入する必要もなく固定費の削減が可能だ。テレワーク用のIT環境整備の必要性も高まっている状況下においては、大きな初期投資をする必要もないのはメリットといえるだろう。
規模の経済のメリットを活かして効率よくビジネスを拡大しよう
規模の経済は、生産量が増えるにつれて単位あたりのコストが下がることで利益率の向上が見込めたり価格競争で優位になったりするなど事業上のメリットがある。一方で多額の初期投資が必要だったり売れない場合のリスクが大きかったりする点はデメリットだ。自社業務で規模の経済を効かせるのが難しい中小企業も多いだろう。
しかし、自社自身で規模の経済を実現させなくても規模の経済が効いた外部のサービスを導入する方法がある。今回紹介したサービスも参考に自社ビジネスにも規模の経済を取り入れてみてはいかがだろうか。