株式投資において、伸びる銘柄を見つけるためのヒントを探している人は多いだろう。そのアイデアの一つが「社内ベンチャー」だ。
この記事では社内ベンチャーとは何か、社内ベンチャーから上場した企業には何があるのか、なぜ社内ベンチャーが伸びる銘柄を探す際のヒントになるのか、などについて解説しよう。
社内ベンチャーとは ?
「社内ベンチャー」とは、企業が新規事業を創出するために、社内に独立した組織を作ることだ。ベンチャー企業のようなスピード感や新しい視点を持って、新規ビジネスを立ち上げることが主な目的である。近年は「社内ベンチャー制度」を設ける大企業も増えている。
もちろん、すべての社内ベンチャーが成功するわけではない。むしろ、成功するのは一握りだろう。しかし、中には事業が軌道に乗り、業績を伸ばして株式公開 (IPO) までこぎつける社内ベンチャーもある。
社内ベンチャーの開業資金は母体となる会社が出すことが多いため、立ち上げた時は一般的な個人投資家の投資対象にはならない。しかし、IPO後は誰でも取引ができるようになるため、一般的な個人投資家でも資金を投じることができる。
社内ベンチャーから上場した企業
社内ベンチャーから上場した4社を紹介する (カッコ内は母体となった会社で、数字は執筆時点) 。
●MonotaRO (住友商事 他)
作業場向け間接資材をネット通販しているMonotaRO <3064> は、2000年10月に住友商事と米国グレンジャー社の出資により設立された社内ベンチャーだ。
2006年12月6日に東京証券取引所マザーズ市場に上場。住友商事で海外畑を歩んでいた創業者は、1990年代半ばに米国で創業間もないアマゾンの存在を知り、これからはネット通販が大きく伸びると予想し、帰国後に社内ベンチャーを立ち上げた。現在は、時価総額が1兆円を超える大企業に成長している。
●プロパティデータバンク (清水建設)
不動産・施設を管理するクラウドサービスを提供しているプロパティデータバンク <4389> は、2000年10月に清水建設の社内事業家制度によって誕生した。
その後業績を伸ばし、2018年6月27日に東京証券取引所マザーズ市場に上場した。現在も、筆頭株主は20%以上を保有する清水建設である。
●マクアケ (サイバーエージェント)
クラウドファンディングのプラットフォームを運営するマクアケ <4479> は、2013年5月にサイバーエージェントグループの新規事業として誕生した (当時の社名は株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディング) 。
2019年12月11日、東京証券取引所マザーズ市場に上場。現在も、筆頭株主は50%以上を保有するサイバーエージェントである。
●イー・ギャランティ (伊藤忠商事)
信用リスク受託・流動化事業を展開するイー・ギャランティ <8771>は、2000年9月に伊藤忠商事の社内ベンチャーとしてスタートした。
当初は電子商取引の決済関連の保証を手掛けており、2007年3月8日にジャスダック証券取引所に上場、現在は時価総額1,000億円を超える企業に成長している。現在も、筆頭株主は10%以上を保有する伊藤忠商事である。
社内ベンチャーから上場した企業の特徴は ?
社内ベンチャーの特徴としては、母体のアセット (人材や資金、ノウハウなど) を活用できる、母体の看板 (名前) を活用できるため他のベンチャーに比べて信用獲得のハードルが低い、などが挙げられる。
上場までたどり着く社内ベンチャーの特徴は上記に加えて、独り立ちできるほどにビジネスモデルが確立している、母体が大株主の場合は安定株主としての役割を期待できる、などだ。
社内ベンチャーが軌道に乗った場合、母体としては引き続き非上場の子会社として経営するという選択肢もある (ベンチャー経営者がMBOを行う場合もある) 。それでもわざわざコストをかけてIPOを行うということは、さらに事業を拡大する自信があるのだろう。
ビジネスモデルがしっかりしているため、資金を調達し知名度が向上すれば、さらに業績を伸ばせると読んでいるわけだ。
「社内ベンチャーから上場した企業」が伸びる銘柄のヒントに ?
銘柄の取捨選択が重要であることは言うまでもないが、「社内ベンチャーから上場した企業」を伸びる銘柄を探す際のスクリーニング方法とすることは、アイデアの一つだろう。
今回は社内ベンチャーとは何か、社内ベンチャーから上場した企業には何があるのか、なぜ社内ベンチャーが伸びる銘柄を探す際のヒントになるのか、などについて解説した。
社内ベンチャーから上場した企業の株は、上場後の株価が堅調であることが多い。もちろんすべてが有望というわけではないが、「社内ベンチャーから上場した企業」は伸びる銘柄を探す際のヒントになるだろう。
(提供:大和ネクスト銀行)
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