本記事は、安田次郎氏の著書『10万円から始めるスタートアップ投資』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています

株式投資型クラウドファンディングに向く人とは?

株式投資型クラウドファンディング
(画像=PIXTA)

未上場株の特徴を考えると、株式投資型クラウドファンディングは短期的な値上がり益の追求というよりは、イグジットに向けた長期的な視野で臨むものだとわかります。

ホームランバッターではありませんが、「当たれば大きいが外すことも少なくない」という側面があることは事実です。

よって、投資で継続的に利益を狙いたいという人にとって、株式投資型クラウドファンディング一本という投資スタンスは現実的ではありません。通常の個別株や投資信託など、ほかの金融商品と組み合わせて使うことをおすすめします。

また、必ずしもIPOやM&Aが約束されているわけでもなく、投資する会社や事業に対する共感・支援の意味合いも濃くなるでしょう。

未上場スタートアップが対象とはいえ株式投資なので、株主になると継続的にIR情報を受け取ることができます。そこで、企業を応援しながら企業の成長を一緒に楽しむ気持ちのある方に向いています。

投資の醍醐味がリターンであることは否定しませんが、投資の面白さはマクロ経済や企業分析を通じた学びでもあります。

一般的に株式投資は、自身が詳しい業界などの銘柄に資金を投じるのがセオリーです。業界全体の景気動向や各社の特徴を理解していると、ミスを抑えやすくなるというわけです。業界研究にもつながるので、ふだんの仕事にも役立ちます。

こうして投資に慣れてくるとカバー範囲を徐々に広げ、ウォッチ銘柄を増やしていきますが、それにつれてさらに知識は深くなり、気づけば投資によるリターンだけではなく、知的好奇心を満たしたり企業の理念に共感したりするなど、投資以外の楽しさも見出すようになります。人生を豊かにするという手段にもなりえるわけです。

それがスタートアップであれば、これから世の中を変えるようなビジネスや、将来有望な若手経営者を知ることにつながり、それ自体が学びになり、未来に投資をするわくわく感を味わうことができます。資金も投じるので真剣度も高まるに違いありません。

国内における株式投資型クラウドファンディングの第1号案件は2017年5月で、そこからイグジットに達した事例はまだわずかです。

むしろ、スタートアップがIPOを果たすには3〜5年、長いと10年はかかりますから、これから成功事例がどんどん出てくるという段階です。いまのうちから始めておくことで、IPOの時点で株価が倍、倍になってもおかしくはありません。注目度の高い人気銘柄はIPO直後の初値からも数倍になる場合もあり、一連の値動きを捕まえることができたら、投資としても大成功でしょう。

株式投資型クラウドファンディングに向いている人とは、スタートアップを応援することに意義を見出せる人であり、その結果として経済的リターンがついてくるのです。

10万円から始めるスタートアップ投資
安田次郎(やすだ・じろう)
株式会社ユニコーン代表取締役最高経営責任者兼最高執行責任者。学習院大学法学部卒。ペンシルベニア大学ロースクール法学修士取得。国際証券(現・三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、日本企業の資本政策・資金調達やIR戦略の立案・執行に従事。その後、クレディ・スイス、リーマン・ブラザーズの株式資本市場部にて、国内外の株式及び株式関連の資金調達(含むIPO)において数多くの主幹事案件を執行。野村證券移籍後は、第三者割当型の資金調達案件や事業会社が保有する株式の売却・自社株買いについて、デリバティブを活用したスキームなどのソリューション提供業務に従事。2019年2月、株式会社ユニコーンの代表に就任。株式投資型クラウドファンディングを通じてスタートアップの資金調達を支援している。

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