本記事は、安田次郎氏の著書『10万円から始めるスタートアップ投資』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています

有望スタートアップの見極め方

情報
(画像=wavebreakmedia/PIXTA)

ここまで本書を読み進めたところで、株式投資型クラウドファンディングを通じた未上場スタートアップ投資の概観は、おおよそつかめたことでしょう。上場企業への投資と異なるポイント・魅力にも気づけたはずです。

では、実際に始めるとして、各案件が投資に値するかをどう見極めればよいでしょうか。もちろん、プラットフォームを営む立場からすると、自分たちの審査をクリアした企業はすべてイグジットの可能性があると考えているので、自信を持っておすすめしています。それはほかのプラットフォーマーでも同じことでしょう。

ですので、基本的に取り扱う案件のなかから、気になった案件を選んでいただいて構いません。しいて言うなら、各社のビジネスモデルや経営者の人となりに目を通し、ビジネスの内容が理解でき、さらに共感できる・応援したいというものだと、長期で取り組みやすいでしょう。

株式投資も同じですが、成長性に関していうと、潜在的な市場規模や差別化戦略、市場での優位性を企業情報から読み解くことが求められます。

具体的には、「技術が新しい」「知財・特許を持っている」などが挙げられるでしょう。このように同業他社に比べて何が優れているかを基準に、数ある会社のなかから投資先を絞り込むことはできます。

VCからの資金調達歴があるかもポイントです。プロ投資家のスクリーニングをクリアしていることはビジネスの成長が期待できることを意味しますし、それなりの額を調達しているなら事業も軌道に乗りやすいと考えられます。

なかでも重視すべきなのは、経営者の経歴や想いです。当社のサイトでも動画とテキストを公開していますが、ぜひ観ていただきたいコンテンツです。というのも、個人投資家が経営者にインタビューする機会はほぼなく、コーポレートサイトのあいさつ文やメディアに掲載された記事を読むくらいのはず。理念やビジョン、ビジネスに対する考えを生の声として聴くことができるチャンスはまれです。スタートアップはよくも悪くも経営者の才覚が成長の源泉なので、その姿勢をくみ取れることができるコンテンツには、目を通していただきたいと思います。

経営者にもいろいろなタイプがあります。

たとえば、起業というと若手のビジネスパーソンをイメージしますが、長年にわたる研究の延長線上として起業した技術系のビジネスにはミドル以上の方もいて、経験や実績の裏打ちがあるので信頼できるといった見方ができます。

対して若い世代の経営者なら、新しいアイデア、新技術を駆使したイノベーティブなビジネス、誰もが気づかなった視点があるかもしれません。

インタビュー動画や経歴、実績から、今後の可能性・成長性を探ってみましょう。過去に事業を立ち上げたり売却したりした経験があるといった、シリアルアントレプレナーとしての実績があれば、見極めの目安になるでしょう。

10万円から始めるスタートアップ投資
安田次郎(やすだ・じろう)
株式会社ユニコーン代表取締役最高経営責任者兼最高執行責任者。学習院大学法学部卒。ペンシルベニア大学ロースクール法学修士取得。国際証券(現・三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、日本企業の資本政策・資金調達やIR戦略の立案・執行に従事。その後、クレディ・スイス、リーマン・ブラザーズの株式資本市場部にて、国内外の株式及び株式関連の資金調達(含むIPO)において数多くの主幹事案件を執行。野村證券移籍後は、第三者割当型の資金調達案件や事業会社が保有する株式の売却・自社株買いについて、デリバティブを活用したスキームなどのソリューション提供業務に従事。2019年2月、株式会社ユニコーンの代表に就任。株式投資型クラウドファンディングを通じてスタートアップの資金調達を支援している。

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