本記事は、安田次郎氏の著書『10万円から始めるスタートアップ投資』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています
クラウドファンディングで株式投資?
「クラウドファンディング」とは、インターネット上で不特定多数から資金提供を募り、調達する手法です。「群衆(クラウド)と「資金調達(ファンディング)」を組み合わせた造語です。
「クラウドファンディング」のスキームは、世紀以降にインターネットの普及によりアメリカで生まれたとされています。2001年に世界初のサービス、「ArtistShare」が誕生し、2008年にスタートした「Indiegogo」や「Kickstarter」では、巨額のプロジェクトが続々と成立しています。
日本では2011年にクリエイティブ系に強い「MOTION GALLERY」や社会性が高く公共的な取り組みが目立つ「READYFOR」、オールジャンルの「CAMPFIRE」が始まり、この年が国内におけるクラウドファンディング元年となりました。
多くの人に浸透したきっかけは、同年の東日本大震災です。
復興支援を目的として寄付を募るクラウドファンディングが広がったことで、多くの人が知ることになり、同時に新たな商品・サービス開発を支援して物品的なリターンを得る購入型クラウドファンディングなどのスキームも利用者が増えていきました。
2014年の東京都知事選では「ShootingStar」で資金を集めた候補者が話題となったこともあります。そして、同年5月に規制緩和を目的に金融商品取引法の改正案が国会で可決成立し、翌年からは株式投資型クラウドファンディングも加わりました。
現在は、サイバーエージェント系の「Makuake」、モノづくりに特化した「zenmono」、オールジャンルの「GREEN FUNDING」、アニメに特化した「Anipipo」など、個性的なプラットフォームが続々と登場しています。
なお、クラウドファンディングという言葉自体は新しいものですが、その考え方は古くから日本に存在していました。
たとえば、源平の争乱で焼失した東大寺と大仏の修復・再建費用を集めるための寄付をきっかけに始まった、寺院や仏像などの新造・修復・再建のために広く寄付を募る「勧進」などがそう。この場合は、無事に仏像などができ上がると寄付者の名前が寺に記されることもあったそうです。
不特定多数から資金を募る習わしを現代に置換したのが、クラウドファンディングというわけです。
クラウドファンディングにはプラットフォームを運営する「プラットフォーマー」とプロジェクトを起案して資金を調達する「プレゼンター(起案者)」、プロジェクトに資金を提供する「コレクター(支援者)」の三者がかかわります。株式投資型クラウドファンディングの例でいえば、プラットフォーマーは投資家とスタートアップをマッチングする私たちのような事業者ですし、プレゼンターはスタートアップ、コレクターは個人投資家ということになります。
現在のクラウドファンディングは、資金や支援者へのリターンといった要素により「購入型」「寄付型」「融資型(貸付型)」「株式投資型」「ファンド型」の5類型に分けることができます(下表参照)。
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