この記事は2022年2月15日に「ニッセイ基礎研究所」で公開された「QE速報:10-12月期の実質GDPは前期比1.3%(年率5.4%) ―― 緊急事態宣言の解除と供給制約の緩和から高成長」を一部編集し、転載したものです。
要旨
2021年10〜12月期の実質GDPは、前期比1.3%(年率5.4%)と2四半期ぶりのプラス成長となった(当研究所予測1月31日:前期比1.4%、年率5.6%)。
緊急事態宣言の解除を受けて、外食、宿泊などの対面型サービスを中心に民間消費が前期比2.7%の大幅増加となったことが高成長の主因である。供給制約の緩和受けて、輸出が前期比1.0%の増加となり、外需寄与度が前期比0.2%(年率0.8%)のプラスとなったことも成長率を押し上げた。
国際商品市況高騰の影響で、交易条件の悪化に伴う海外への所得流出が続いている。2021年の交易利得は▲4.0兆円となり、前年から▲7.0兆円の悪化となった。
2022年に入り、オミクロン株を中心とした新型コロナウイルスの感染拡大を受けたまん延防止等重点措置の適用によって、対面型サービス消費は再び弱い動きとなっていることが見込まれる。
2022年1-3月期の実質GDPは、民間消費の減少を輸出や設備投資の増加がカバーすることにより、前期比年率ゼロ%台のプラス成長を予想しているが、行動制限が長期化すれば、マイナス成長に陥る可能性が高くなる。実質GDPがコロナ前の水準を回復するのは2022年4-6月期までずれ込む公算が大きい。