この記事は2022年2月14日に「ニッセイ基礎研究所」で公開された「消費者の考える1年後の行動や働き方の予測-「第7回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」より」を一部編集し、転載したものです。

要旨

消費者の考える1年後の行動や働き方の予測
(画像=PIXTA)
  • ニッセイ基礎研究所が昨年末に1年後の行動予測を尋ねた調査では、マスク着用などの新しい生活様式の定着に対して、そう思う割合は72.2%を占め、7月より上昇している。外出型の消費行動については、店舗での買い物は50.6%、外食や旅行・レジャー、友人・知人と会うことなどは約4割で、7月より低下している。コロナ禍で家族以外と会うことに制約もある中、友人・知人と会うことで低下が目立つ。

  • 働き方については、出張が減りオンライン会議が増えることは45.4%、出社が減りテレワークと併用した働き方が主流になることは38.7%を占め、既に一部ではテレワークが定着していたためか、どちらも7月と同程度である。一方、勤め先での飲み会の再開は27.5%で、7月より低下している。働き方が変わることで職場でのコミュニケーションの在り方も変わっていくという見方は強まっているようだ。

  • 性年代別には、マスク着用など新しい生活様式の定着については感染不安の強い高年齢層や女性でそう思う割合が高い。外出型消費行動については、従来から外出型の消費行動に積極的な女性や若者、また、感染による重篤化リスクが高く外出自粛傾向の強いシニアで行動再開への期待感が強い傾向が見られる。

  • 働き方については、家事育児負担の大きな女性や、組織内でテレワークを推進する立場にある管理職以上の正規雇用者でテレワーク浸透への見方が強い。職場での飲み会再開については、全体的に肯定的な見方は弱いが、重篤化リスクが低い若者で期待感の強さの影響か肯定的な見方が比較的強い。

  • コロナ禍の行動変容の中にはテレワークの浸透や買い物のネットシフト、中食需要の高まりなど、コロナ前からの変化が加速した不可逆的な変化もあるが、生活習慣や消費行動については、今後の感染状況の推移や、ワクチンや特効薬などの対応で、どの程度、制御が可能となっていくのかに大きく影響されると考える。

  • 旅行や外食、会いたい人と会うことなどは、そのとき、そこでしか感じられない空気を臨場感を持って、五感で楽しむこと自体が目的の行動だ。将来的にはメタバースやバーチャル・リアリティも進展していくだろうが、近い将来ではリアルの価値が再認識され、大きく揺り戻しが生じる可能性もある。特に、コロナ禍で人との交流に制約がある中では、リアル・コミュニケーションを楽しむ場への需要が強いのではないか。