2021年9月、中国の中央銀行に相当する「中国人民銀行」が暗号資産(仮想通貨)の全面禁止を発表した。その後も中国政府の方針は変わらず、仮想通貨に対する投資マネーの行方が取りざたされている。果たして投資マネーは株式市場に流れるのだろうか。中国株高騰の可能性を探る。

目次

  1. 中国政府の仮想通貨に対する規制を時系列で追う
    1. 2013年12月:金融機関による仮想通貨の取り扱いなどを制限
    2. 2017年9月:ICO(新規仮想通貨公開)の全面的禁止を発表
    3. 2019年11月:仮想通貨取引所に対する監督強化を発表
    4. 2021年9月:仮想通貨の全面禁止を発表
  2. 中国人投資家の浮遊マネーが中国株へ向かう?
  3. 仮想通貨の値動きから買い時を探ろう

中国政府の仮想通貨に対する規制を時系列で追う

中国政府は早い時期から、仮想通貨に対して厳しい姿勢をとってきた。仮想通貨の代表格であるビットコインが誕生したのは2009年。4年後の2013年にはビットコインを中国国内で決済手段として使わせないよう、金融機関に対して通知を行っている。

中国政府による動きを、時系列で追っていこう。

2013年12月:金融機関による仮想通貨の取り扱いなどを制限

2013年12月、中国人民銀行などが国内の金融機関などに対し、「ビットコインのリスク防止に関する通知」を発出した。

ビットコインを「通貨ではない」と批判した上で、金融機関などがビットコインを扱うことや決済手段として使うことを制限した。

ただしこの時点では、中国の一般国民による仮想通貨取引については、規制を打ち出していない。

2017年9月:ICO(新規仮想通貨公開)の全面的禁止を発表

続いて中国政府が大きく規制に動いたのは2017年9月のこと。仮想通貨で資金調達をする「ICO」(イニシャル・コイン・オファリング)の禁止を発表した。

ICOは「IPO」(新規株式公開)の仮想通貨版と言える。IPOでは企業が株式を発行して投資家から資金を調達するが、ICOでは仮想通貨(トークン)を発行・販売して投資家から資金を集める。そのためICOは「新規仮想通貨公開」などとも呼ばれている。

ICOは世界的なブームとなったが、中国政府は「経済と金融の秩序を乱す」などとICOの仕組みを批判し、禁止に乗り出した。ICOに関しては詐欺まがいのプロジェクトも多くあり、中国政府の逸早い対応を評価する声もある。

2019年11月:仮想通貨取引所に対する監督強化を発表

中国人民銀行による「デジタル人民元」の発行に向け、中国政府がプロジェクトを進める中、民間で売買・流通している仮想通貨への締め付けはさらに厳しくなっていく。2019年11月には国内の仮想通貨取引所に対して、監督強化を発表している。

中国国内で仮想通貨取引を撲滅する狙いがあり、これはデジタル人民元の普及に向けた布石と言えるだろう。同時期から、仮想通貨に関連するメディアのSNSアカウントなどが凍結され始めるなど、関連ビジネスへの展開が極端に制限されるようになった。

2021年9月:仮想通貨の全面禁止を発表

こうした規制強化の流れはその後も続き、2021年9月にはついに仮想通貨の全面禁止が発表された。仮想通貨による国内決済はもちろん、海外の取引所が中国でサービスを提供する行為もまた「違法」としている。ルールを破った場合には、刑事責任も追及するといった内容だ。

中国政府が仮想通貨を規制・禁止した理由は、過去から一貫している。仮想通貨は「法定通貨(中国でいう「人民元」)と同等とは言えない」というものだ。2013年12月の金融機関に対する通知の際も、この理由を持ち出している。

この発表に合わせ、仮想通貨のマイニング(採掘)事業を新たに開始することも禁止した。すでに中国国内で事業を展開しているマイニング事業者は、早期撤退を余儀なくされている。

中国人投資家の浮遊マネーが中国株へ向かう?

中国政府が仮想通貨に対する規制を発表する度、多くのケースで仮想通貨の価格は大きく下落した。価格が下落するということは「売り」が先行したということだ。言い換えれば、投資家が仮想通貨に投じていた資金を引き揚げる動きが加速したということになる。

こうしたことが起きると投資家の「キャッシュ」が増えていく。宙に浮いた形の投資マネーは次の行き先を模索することになる。つまり、中国政府が仮想通貨を全面禁止した今、仮想通貨に投資されていたマネーが中国株に流入することが予見されているわけだ。

もちろん「株式」と一言でいっても、中国株もあれば米国株もあり、日本株もある。そのため、全ての中国人投資家が全ての浮遊マネーを中国株に投じるわけではない。しかし多くの資金が中国株に流入することが予想される。

こうした動きが今後加速するとすれば、いまは中国株への絶好の投資機会と言えるかもしれない。

仮想通貨の値動きから買い時を探ろう

前述の通り、中国政府はすでに仮想通貨の全面禁止を打ち出しており、今後は違法行為に対する監視体制を今まで以上に強化していくことが考えられる。中国政府が規制を強めれば強めるほど、中国株にとっては追い風となる可能性が高いだろう。

中国株への投資を検討している人は、中国当局の動きをしっかりウォッチするようにしよう。

ご投資にあたっての留意点
取引や商品ごとに手数料等およびリスクが異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、等をよくお読みください。
外国証券等について
外国証券等は、日本国内の取引所に上場されている銘柄や日本国内で募集または売出しがあった銘柄等の場合を除き、日本国の金融商品取引法に基づく企業内容等の開示が行われておりません。
手数料等およびリスクについて
国内株式等の手数料等およびリスクについて
国内株式等の売買取引には、約定代金に対して最大1.2650%(税込み)の手数料をいただきます。約定代金の1.2650%(税込み)に相当する額が3,300円(税込み)に満たない場合は3,300円(税込み)、売却約定代金が3,300円未満の場合は別途、当社が定めた方法により算出した金額をお支払いいただきます。国内株式等を募集、売出し等により取得いただく場合には、購入対価のみをお支払いいただきます。国内株式等は、株価の変動により、元本の損失が生じるおそれがあります。
外国株式等の手数料等およびリスクについて
委託取引については、売買金額(現地における約定代金に現地委託手数料と税金等を買いの場合には加え、売りの場合には差し引いた額)に対して最大1.1000%(税込み)の国内取次ぎ手数料をいただきます。外国の金融商品市場等における現地手数料や税金等は、その時々の市場状況、現地情勢等に応じて決定されますので、本書面上その金額等をあらかじめ記載することはできません。
国内店頭取引については、お客さまに提示する売り・買い店頭取引価格は、直近の外国金融商品市場等における取引価格等を基準に合理的かつ適正な方法で基準価格を算出し、基準価格と売り・買い店頭取引価格との差がそれぞれ原則として2.50%となるように設定したものです。 外国株式等は、株価の変動および為替相場の変動等により、元本の損失が生じるおそれがあります。
投資信託の手数料等およびリスクについて
投資信託のお取引にあたっては、申込(一部の投資信託は換金)手数料をいただきます。投資信託の保有期間中に間接的に信託報酬をご負担いただきます。また、換金時に信託財産留保金を直接ご負担いただく場合があります。投資信託は、個別の投資信託ごとに、ご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なるため、本書面上その金額等をあらかじめ記載することはできません。
投資信託は、主に国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象とするため、当該金融商品市場における取引価格の変動や為替の変動等により基準価額が変動し、元本の損失が生じるおそれがあります。

この資料は、東洋証券株式会社が信頼できると思われる各種のデータに基づき投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成したもので、投資勧誘を目的としたものではありません。また、この資料に記載された情報の正確性および完全性を保証するものでもありません。また、将来の運用成果等を保証するものでもありません。この資料に記載された意見や予測は、資料作成時点のものであり、予告なしに変更することがありますのでご注意ください。この資料に基づき投資を行った結果、お客さまに何らかの損害が発生した場合でも、東洋証券株式会社は、理由の如何を問わず、一切責任を負いません。株価の変動や、発行会社の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込むことがありますので、投資に関する最終決定は、お客さまご自身の判断でなされるようお願い致します。この資料の著作権は東洋証券株式会社に帰属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようにお願い致します。

◇商 号 等:東洋証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第121号 ◇加 入 協 会:日本証券業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会 ◇本 社 所 在 地:〒104-8678 東京都中央区八丁堀4-7-1 TEL 03(5117)1040 https://www.toyo-sec.co.jp/