お金に水をやる男女
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つみたてNISAを始めたものの、将来的にいつ売却すればいいのか、気になる方も多いはず。新刊『これだけやれば大丈夫! お金の不安がなくなる資産形成1年生』の著者で、元銀行員、資産運用YouTuberの小林亮平氏がつみたてNISAの年齢別出口戦略を解説します。

つみたてNISAの非課税期間をおさらい

つみたてNISAの出口戦略を知るために、まずは非課税期間のおさらいをしておきましょう。つみたてNISAは最長20年と長い非課税期間があるので、たとえばつみたてNISA口座で2021年の1月1日から12月31日までに積立をした投資信託は、2040年12月31日まで非課税期間が続いていきます。

また、今年の2022年中に積立をした投資信託は2041年まで非課税期間が続くので、毎年積立を続けると非課税期間の終了は1年ずつズレていくと思って下さい。 ちなみに、非課税期間とよく混同してしまいがちですが、NISA口座ではいつまで新規投資ができるかという投資可能期間もあります。つみたてNISAで新規投資できるのは現状、2042年まで、です。

つみたてNISAの非課税期間

つみたてNISAは積立をした年から最長20年の非課税期間が終了するまでは、どのタイミングで売却しても、利益に税金がかかりません。ただし、つみたてNISAに限らずすべてのNISA口座は、必ずしも非課税期間が終わるまでに売却する必要はなく、非課税期間の終了時に保有していた商品は自動で課税口座に移ります。この点をきちんと理解しておきましょう。

たとえば、ある年につみたてNISA口座で投資信託を40万円積み立てたとします。20年後に100万円に増えたとすると、運用していた投資信託は非課税期間の終了時点でつみたてNISA口座から課税口座に移ります。その際の価格(時価)が新しい取得価格です。つまり、課税口座に移る際に40万円で購入した投資信託は100万円で購入したものとなるので、非課税期間で増えた60万円には税金がかかりません。

このように、つみたてNISA口座から課税口座に移ったとしても、つみたてNISA口座の中で値上がりした分については、税金がかからない仕組みになっています。ただし、課税口座に移った後に増えた利益については税金がかかるため、仮に新しい取得価格が100万円だとして、課税口座に移った後に120万円まで値上がりしたところで売却すると、120万円から100万円を差し引いた20万円には課税されます。

非課税期間終了時に値上がりしていた場合

ちなみに、非課税期間が終わる時に値下がりしていると、やはりその際の価格が新しい取得価格になってしまいます。ただ、つみたてNISA口座においては、20年間じっくりと運用していれば、株価の成長や複利効果によって、暴落が起きてもおそらくはプラスになっているはずなので、そこまで心配しなくてもいいでしょう。

このように、つみたてNISA口座で非課税期間が終了しても、課税口座に移ってそのまま運用を続けられるという前提を踏まえて、年齢別の出口戦略を考えてみます。

つみたてNISAを20代で始めたケース

各年代に合わせたつみたてNISAの出口戦略ですが、まずは20代で始めたケースから見ていきます。

たとえば2021年に24歳の方が積み立てた分は、約20年後の43歳で非課税期間が終了します。また2022年の25歳の時に積み立てた分は、44歳で非課税期間が終了するので、毎年積立を続けていると、非課税期間の終了は1年ずつズレていくことが分かります。

上記の例ですと、非課税期間の終了が始まる43歳は、会社員の方だとバリバリ働いて収入もそれなりに上がっている年齢なので、つみたてNISA口座で運用していた資金をすぐに使う予定がなければ、課税口座に移った後もそのまま運用を続けるといいでしょう。その上で、子どもの教育資金や住宅購入資金など、家族のライフイベントで今後必要になった分だけ都度売却するか、60歳が近づいたら少しずつ売却して老後の生活費に充てるのがおすすめといえます。

ちなみに、43歳で新たに積立をした分は62歳で非課税期間が終了するので、その分は課税口座に移った後にすぐ売却して老後資金に充てるのがベターかと思います。なぜ課税口座へ移管後にすぐ売却するのがいいかというと、つみたてNISA口座では現状、2021年に積み立てた分だけ売るなど、保有する年の指定は不可で、売却する口数(数量)などの指定しかできないからです。そのため、つみたてNISAにて年単位で積立した分をまとめて売りたいなら、毎年、課税口座に移った分から都度売却すればOKです。

まとめると、つみたてNISAを20代で始めた人なら、非課税期間の終了は40歳から始まるので、課税口座に移管した後も運用を継続することをまず考えてみるといいでしょう。

つみたてNISAの出口戦略

つみたてNISAを30代で始めたケース

次に、つみたてNISAを30代で始めた際の出口戦略を見てみましょう。

非課税期間のイメージは、先ほどの20代のケースを10年遅らせて考えればいいので、仮に34歳で積立を始めると、53歳から非課税期間が終了していきます。

この場合、課税口座に移った後も運用を続けるか、売却するかは悩ましいところではありますが、基本的な考え方は20代のケースと変わりません。すぐに資金が必要ではなければ、そのまま運用を継続してもいいと思いますし、老後資金の準備として考えるのであれば、課税口座に移った分から順番に売却する選択肢も悪くないと思います。

また、30代でつみたてNISAを始めると、非課税期間の終了が近づく頃には、子どもの大学費用などでまとまった資金が必要になる方もいるかと思いますので、その際は売却して現金化するのもアリでしょう。

ちなみに34歳で積立を始めたケースだと、非課税期間の終了が始まる53歳に新たに積み立てた分は72歳で非課税期間が終了します。だいぶ高齢になってくることを考えると、非課税期間いっぱいまで運用せずに、途中で売却を検討してもいいかもしれません。

いずれにしろ、30代からつみたてNISAを始めると、非課税期間の終了は50歳程度から始まるので、その時の資産状況などと相談しながら、課税口座に移った後も運用を継続するか、老後などに向けて順次売却するかを選ぶのがよろしいかと思います。

つみたてNISAを40代で始めたケース

最後に、つみたてNISAを40代で始めたケースですが、これはだいぶ分かりやすく、仮に44歳で積み立てた分は63歳で非課税期間が終了するので、課税口座に移った分から順次売却していくのがいいでしょう。

つまり、課税口座へ移管後に運用を継続する選択肢は取らずに、非課税期間の終了と共に都度売却して、老後資金に充てていく出口戦略がシンプルで実行しやすいかと思います。ただ非課税期間の終了時期が比較的高齢になってくることを踏まえ、場合によっては、運用期間10年程度など、非課税期間が終了する前にある程度利益が出ていれば売却する選択肢も考えておくといいかもしれません。

50代からつみたてNISAを始めた方も、基本的な方針はこの40代のケースと同様でよろしいかと思います。

今回ご紹介した出口戦略は、あくまで私の一案なので、自分ならどうするかはぜひ一度考えてみて下さい。とはいえ、20年後の自分がどうなっているかなんて分からないという方も多いと思います。なので、非課税期間の終了後も運用を続けるか、もしくは売却して現金化するかなどの選択肢を用意しておいて、実際に非課税期間の終了が近づいてきたら、出口戦略については再度考えてみるのがいいでしょう。

つみたてNISAは将来の自分に向けたタイムカプセルだと思ってください。足元の利益がちょっと出たとしても、安易にすぐ売ってしまわないように気を付けていただければと思います。

小林亮平

小林亮平
1989年生まれ。横浜国立大学卒業後、三菱UFJ銀行に入行。退職後、ブログやSNSで資産形成(つみたてNISAやiDeCo、楽天経済圏など)の入門知識を発信。現在はYouTube「BANK ACADEMY」を運営し、チャンネル登録者は37万人を超える。著書に『これだけやれば大丈夫! お金の不安がなくなる資産形成1年生』がある。