この記事は2022年3月1日(火)に「羊飼いのFXブログ」で公開された「志摩力男氏の現在の相場観とFXトレード戦略」を一部編集し、転載したものです。


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(画像=MasterSergeant/stock.adobe.com)

2022年3月1日(火)の午前11時すぎに現役トレーダーの志摩力男さんから聞いた最新の相場観と戦略を紹介する。

志摩力男
慶應義塾大学経済学部卒。1988年~1995年ゴールドマン・サックス、2006〜2008年ドイツ証券など、大手金融機関にてプロップトレーダーを歴任。そのあと、香港にてマクロヘッジファンドマネージャー。独立後は世界各地のヘッジファンドや有力トレーダーと交流があり、現役トレーダーとして活躍中。

現在の為替相場の傾向や相場観

ウクライナ情勢がマーケットに大きく影響している。欧米はロシアをSWIFT(国際銀行間金融通信協会)から排除し、なおかつロシアの中央銀行資産も凍結した。中央銀行の資産凍結というのはかつてないことで、これはロシアも予想外だったのではないだろうか。

想定していた外貨準備が突然なくなるということなので、外貨の支払いに困難を伴うことになる。そのためプーチン露大統領はロシア市民に対して外貨の購入を禁じた。これによりおそらく早晩、企業の外貨支払いが滞ることとなり、事実上のデフォルトに陥ることになりそうだ。それがどういう影響を及ぼすのかは、実際にその時になってみないとわからないことも多い。

ただ、FRBは資金繰りに困った銀行を助けないといけないので、3月に金利を上げることにはなるだろうが、その前に流動性をふんだんに供給する必要がある。そのため、結果的に米国金利が大きく下がっている。この金利低下で株価が支えられるという人もいるが、これから欧米に被害が及ぶことは間違いない。

現在の為替相場の戦略やスタンス

2008年のリーマンショックの時もそうだったが、「リーマン破綻」は十分に想定されていたので、実際に起こっても大したことはない、十分にヘッジされている、と思われていた。

今回も同様に、ある程度の先進国被害は見積もられているとは思う。ただし、欧州の銀行や多くの企業が被る損失は、今回のようなケースは前例がないため、今のところ不透明な部分が大きい。

日本も先日、GPIFがロシア関連の資産が2,200億あると発表したが、日本の商社や邦銀のロシアビジネス関連など、向こう一週間はロシア絡みの損失が各所で顕在化することになるだろう。先進国の損失があまりにも大きいと金融市場が崩れる可能性がでてくるので、そこは注意してみていきたい。

▽ユーロ/円の日足チャート

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(画像=羊飼いのFXブログ)

※当記事は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。