最適な意思決定手段はシーンによって変わる

企業が意思決定をする方法は、大きく「ボトムアップ」「トップダウン」「トップダウンデモクラシー」の3つに分けられる。いずれの方法にもメリットとデメリットがあるため、意思決定の流れは一律で固定すべきではない。

最適な意思決定手段はさまざまな要因によって変わってくるので、シーンに合わせてうまく使い分けることを心がけよう。

ボトムアップとトップダウンのよくある質問集

自社に適した意思決定手段を選ぶには、ボトムアップ・トップダウンの基礎を理解しておく必要がある。ここからは経営者が気になるポイントを中心に、ボトムアップ・トップダウンの質問集をまとめた。

Q1.ボトムアップの特徴やメリットは?

ボトムアップ型の特徴は、現場の声を経営に反映させやすい点である。顧客対応やサービス提供をするスタッフの意見をとり入れられるため、外部環境(顧客や得意先など)の変化に対応しやすい。

ほかにも生産性アップや離職率の低下など、ボトムアップ型では従業員を主体としたメリットが生じる。現場の課題を解決すれば、企業側もさまざまなメリットを得られるだろう。

Q2.ボトムアップとトップダウンの違いは?

ボトムアップ型とトップダウン型の違いは、意思決定や立案をする人物である。

ボトムアップ型:現場の従業員が立案し、上司や経営者に承認要求をする。
トップダウン型:経営者や上層部が方向性を決めて、部下や部署に指示を出す。

意思決定の仕組みを変えると、これまでとは別の人物が企画やアイデアを生み出すため、その企業の特色も大きく変化する。

Q3.ボトムアップとトップダウンはどちらが良い?

業種や業態、会社の規模、事業内容などによって、最適な意思決定手段は異なる。そのため、自社の強み・弱みを客観的に分析し、会社の特色に合った方法を選ばなくてはならない。

ボトムアップ:ダイバーシティやイノベーションを目指す企業に向いている。
トップダウン:とにかく生産性を高めたい企業や、カリスマ性のある経営者に向いている。

上記はあくまで目安だが、グローバル化や働き方改革などの影響で、近年ではボトムアップ型が注目されてきている。

Q4.ボトムアップの注意点とは?

ボトムアップの導入時には、以下の点に注意する必要がある。

・意思決定に時間がかかりやすい
・現場に優秀なスタッフがいないと、経営の方向性を誤ってしまう
・従業員の主体性が求められる
・現場の声をまとめる過程で、無難な意思決定になりやすい

ボトムアップは、良くも悪くも現場に判断を任せる方法だ。そのため、経営者と従業員の方向性が異なると、ボトムアップ型はうまく機能しない可能性がある。

Q5.ボトムアップのやり方・導入方法は?

ボトムアップの導入前には、従業員が挑戦しやすい、かつ声を上げやすい環境を作る必要がある。企業文化を変えることが必須となるので、まずは会社全体の仕組みを見直さなければならない。

また、ボトムアップ型では現場から上層部に情報伝達をするため、チーム間でのコミュニケーションも促進することが重要だ。

Q6.ボトムアップの事例を知りたい

ボトムアップを導入している有名企業としては、ネット関連サービスを手がける『Google社』や『DeNA社』が挙げられる。

例えば、Google社には業務時間の20%を自由に使える「20%ルール」があり、従業員ひとり一人の挑戦を促している。また、管理職に多くの権限を与えないことで、従業員の主体性を尊重している点も特徴的だ。

ワンマン経営になりがちな中小企業にも、ボトムアップで成功を遂げている企業は多く存在する。

著:片山 雄平
1988年生まれのフリーライター兼編集者。2012年からフリーライターとして活動し、2015年には編集者として株式会社YOSCAに参画。金融やビジネス、資産運用系のジャンルを中心に、5,000本以上の執筆・編集経験を持つ。他にも中小企業への取材や他ライターのディレクション等、様々な形でコンテンツ制作に携わっている。
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