毎月、新たに発売されるビジネス書は約500冊。いったいどの本を読めばいいのか、迷ってしまう方も多くいるかと思われます。このコーナーでは、読書家が集まる本の要約サービス「flier(フライヤー)」にてアクセスの多かった書籍を、金融業界のユーザーに絞って毎月ランキング形式でご紹介しております。皆様の書籍選びの参考になれば幸いです。

伝え方で分かる「できる人」と「できない人」 2022年3月に読まれた「ビジネス書の要約」トップ10
(画像=PIXTA)

第1位:できる人は、「これ」しか言わない(大塚寿著、PHP研究所)
第2位:仕事は1冊のノートで10倍差がつく(鈴木進介著、明日香出版社)
第3位:うまくいっている人は朝食前にいったい何をしているのか(ローラ・ヴァンダーカム著 桜田直美(訳)、SBクリエイティブ)
第4位:感情は、すぐに脳をジャックする(佐渡島庸平 石川善樹著、 羽賀翔一(画)、学研プラス)
第5位:最大化の超習慣(堀江貴文著、徳間書店)
第6位:メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術(わび著、ダイヤモンド社)
第7位:我慢して生きるほど人生は長くない(鈴木裕介著、アスコム)
第8位:現代ロシアの軍事戦略(小泉悠著、筑摩書房)
第9位:自己肯定感が高まる習慣力(三浦将著、三笠書房)
第10位:一生折れない自信のつくり方(青木仁志著、アチーブメント出版)

※本の要約サービス「flier」の有料会員のうち、金融業界に所属するユーザーを対象にした、2022年3月の閲覧数ランキング

「できる人」の伝え方

3月の第1位は『できる人は、「これ」しか言わない』でした。銀行、保険関連の会社にお勤めの方々の間で特に支持されました。

著者はベストセラー『40代を後悔しない50のリスト』(ダイヤモンド社)などヒット作を多く手掛ける大塚寿氏。リクルート入社後に仕事のできる先輩や社外の経営者らに片っ端からアドバイスを求めるなど、サブタイトルの通り「1万人の話を聞いて」、たどり着いた「心をつかむ伝え方」をまとめました。

重要な場面では「短く強い言葉」を発することが大切、一方で「長い話は伝わらないし、嫌われる」といった、相手にうまく伝えるポイントが端的に示されています。高度なテクニックではなく、事前に準備をしたり、少し意識したりすることで実践できるものばかりです。

会話の摩擦熱を起こすために「相手のことを口に出す」、一度で伝わらないかもしれないから「大事なことは繰り返す」――。「できる人」になるための伝わるコツ、ぜひお試しください。

できる人は、「これ」しか言わない
できる人は、「これ」しか言わない
大塚寿
出版社:PHP研究所
発売日:2022年01月22日
ジャンル:スキルアップ・キャリア リーダーシップ・マネジメント

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ノート1冊で思考整理

第2位は『仕事は1冊のノートで10倍差がつく』でした。独自の手法で人材育成トレーナーおよびコンサルタントとして活動する“思考の整理家”、鈴木進介氏の著作です。

「考えがまとまらず、頭の中がゴチャゴチャ」「問題が発生して不安とストレスで眠れない」……。そんな経験は多くの人にあるのではないでしょうか。

考えを整理するために鈴木氏が推奨するのは、「ノートへの手書き」です。1冊のノートにすべてまとめようとすると、今の自分の状態を丸ごと見える化でき、内省をしやすくなるといいます。一冊にまとめる際のポイントとして、「各ページにタイトルを書く」「タイトルの語尾を疑問形にする」「1タイトル1ページを心がける」の3つを挙げています。

一方、多くの現代人がやっているであろう「スマホへのメモ」も、情報をストックするには有効だと鈴木氏は認めています。目的に応じてツールを使い分ける柔軟性が大切だと説き、「思考するにはノートがいい」と繰り返し強調します。

デジタル全盛の現代こそ、「紙に手書きする」というアナログへの原点回帰による新たな気付きが、きっとあるはずです。

仕事は1冊のノートで10倍差がつく
仕事は1冊のノートで10倍差がつく
鈴木進介
出版社:明日香出版社
発売日:2021年10月20日
ジャンル:スキルアップ・キャリア

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朝は「大切だけど緊急でないこと」をこなす

第3位は『うまくいっている人は朝食前にいったい何をしているのか』でした。オフィスで眠い目をこすりながら午前の業務に取り掛かろうとしているとき、すでにエンジン全開でバリバリ仕事をこなしている同僚を見て「この人は出勤前に何をしていたんだろう」と気になったことがありませんか。本書はそんな「できる人・うまくいっている人たち」が行う、朝のルーティンの一端が記されています。

朝の習慣に適しているのは「先延ばしにされやすく、時間を決めなくてもかまわないもの」で、成功している人は「キャリアの発展につながる行動」「豊かな人間関係につながる行動」「自分を育てる行動」を習慣化しているといいます。

「朝は時間がない」と言いながら、SNSやネットサーフィンで時間を空費していませんか。本当に時間を使うべき大切なことは何ですか。朝時間の有効活用の要諦がぎゅっと詰まった本書を、まずは朝時間に読んでみることをお勧めします。

うまくいっている人は朝食前にいったい何をしているのか
うまくいっている人は朝食前にいったい何をしているのか
ローラ・ヴァンダーカム 桜田直美(訳)
出版社:SBクリエイティブ
発売日:2017年03月30日
ジャンル:自己啓発・マインド 生産性・時間管理

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持続的、連続的、永続的なアクションの習慣化

ここからは、第4位以下から注目の書籍をピックアップしていきます。

まずは第5位、堀江貴文氏の『最大化の超習慣』に注目します。第3位が朝の習慣の関連書だったのに対し、こちらの堀江氏の著作には「堀江式・完全無欠の仕事術」として「アクションを習慣化する」ための持論が綴られています。

本書は「今の悩みは何か」という問いに具体的かつ客観的に即答できないなら、それはアクションを起こしていない証拠だと指摘します。どうすればよいでしょうか。堀江氏は、アクションを起こせば、そのアクションが次のアクションを呼び込み、アクションを起こし続けた先に、夢の実現があるといい、アクションを持続的、連続的、永続的な習慣にするのがポイントだと強調します。

スティーブ・ジョブズの「Connecting the dots=点をつなぐ」という言葉を引用しながら、あなたもどんどん「点」を打ってみてほしいと背中を押す堀江氏の近著。「アイデアの実現可能性の追求」や「すきま時間の活用法」など、ビジネスで役立つ、読みどころ満載の一冊です。

最大化の超習慣
最大化の超習慣
堀江貴文
出版社:徳間書店
発売日:2022年01月31日
ジャンル:自己啓発・マインド 生産性・時間管理

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我慢を「アンインストール」

最後にご紹介するのは第7位の『我慢して生きるほど人生は長くない』です。内科医・心療内科医の著者、鈴木裕介氏は研修医時代に近親者の自死を経験。以来、メンタルヘルスの支援に精力的に取り組み、「生きづらいとう苦しみ」や「喪失感」に寄り添い、情報発信を続けています。

「いい学校・いい会社に入って、不自由のない暮らしをするのが勝ち組」「結婚して子どもを育ててこそ一人前」――。そんな他人が押し付ける価値観やルールにより、自分らしさを否定され、自分を見失いがちな現代です。「自分らしい人生」を取り戻すには、人間関係のあり方を見つめ直すことが大切だと鈴木氏は説明します。

好ましい関係は、価値観を押しつけられることも、ミスや欠点を過剰に責められることもない「公平(フェア)で穏やか」な関係であり、その関係を広げるには「自分と他人の間の境界線を意識して、守る」ことだと強調します。境界線を越えてくる相手には、「そういうことされると、私はつらいです」と伝えよう、第三者に相談しようと促し、我慢は美徳という価値観を「アンインストール」すべきと説きます。

人生は長くない――。そうした考えは、一分一秒の差がビジネスの成否を分ける、せわしない金融業界に身を置かれる方々こそ、痛切に感じられているのではないでしょうか。「我慢しないこと」、大切です。

我慢して生きるほど人生は長くない
我慢して生きるほど人生は長くない
鈴木裕介
出版社:アスコム
発売日:2021年10月29日
ジャンル:自己啓発・マインド 健康・フィットネス

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編集後記

2022年3月のランキングは、第1位『できる人は、「これ」しか言わない』、第3位『うまくいっている人は朝食前にいったい何をしているのか』など、「うまくいっている人」に倣おうとする著書が目立ちました。また、「うまくいく」ために、他にも第5位『最大化の超習慣』、第9位『自己肯定感が高まる習慣力』など、習慣化のコツをまとめた著作も上位に入りました。

4月はどのようなランキングになるのか、引き続き注視してまいります。

flier編集部

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