デジタルバンクは入金、出金、振込、振替、送金など銀行のサービスをすべてスマートフォンで完結させることができるサービスのことです。これまで銀行の窓口やATMなどを利用して行っていた手続きがすべてスマートフォン1台で可能になるという高い利便性から世界で注目を集め、日本でもデジタルバンクの導入が進んでいます。

本記事では、デジタルバンクと従来のネットバンクの違いについて解説し、メリット・デメリットや関連する具体的な取り組みについても紹介します。

デジタルバンクとは?

デジタルバンクとは? メリット・デメリットやネットバンクとの違い
(画像=WhoisDanny/stock.adobe.com)

デジタルバンクとは、デジタル技術によってオンライン上で銀行が利用できるサービスのことです。生活には欠かせないスマートフォンのアプリとして提供し、銀行で利用できるすべての金融サービスをスマートフォンだけで完結させることを目指しています。

現状では、デジタルバンクが銀行で提供されるすべてのサービスを網羅できているわけではありません。しかし、振込や送金などの日常的に利用するサービスは、銀行窓口やATMなどを利用しなくてもネットバンクを使ってスマートフォンで完結させることは可能です。

デジタルバンクとネットバンクの違い

これまでも、ネットバンクと呼ばれるWebサイトやスマートフォンアプリなどで利用できるインターネット専用の銀行は存在しました。デジタルバンクとネットバンクの最大の違いは、銀行免許を取得しない金融機関以外でも銀行サービスが提供できる点が挙げられます。デジタルバンクの形式は、主に以下の2種類です。

・チャレンジャーバンク
・ネオバンク

チャレンジャーバンクは、銀行免許を取得してスマートフォンアプリで金融サービスを提供する自己完結型のデジタルバンクです。一方でネオバンクは、銀行免許を取得せず既存の銀行の支援を受けながらアプリを利用した金融サービスを提供します。

また、BaaS(Banking as a Service)と呼ばれるデジタルバンクも存在し、銀行の機能やサービスを他の企業でも使用できるシステムとして提供しています。BaaSの提供を受ければ非金融企業が自社のサービスに銀行機能を組み込むことが可能です。

デジタルバンクのメリット

デジタルバンクのメリットとして、以下の2つが挙げられます。

・銀行の営業時間内に足を運ぶ必要がなくなる
・セキュリティを支える技術がある

それぞれ詳しく解説します。

銀行の営業時間内に足を運ぶ必要がなくなる

銀行法施行規則において銀行の営業時間は9時から15時までと定められているため、銀行窓口で手続きをするためにはこの時間内に足を運ばなければなりません。

デジタルバンクはアプリさえあればインターネットで手続きが完結するため、窓口に足を運ぶ必要がなくなります。スマートフォンから24時間アクセスできるため、時間や場所を問わず銀行サービスが受けられる点が最大のメリットといえるでしょう。

セキュリティを支える技術がある

デジタルバンクはインターネットですべての手続きが完結するサービスであるため、セキュリティ面に不安を覚える方もいることでしょう。しかし、技術の進化により二段階認証や生体認証などオンライン上の金融機関を安心して利用できる環境が整ってきています。

常に発展を続ける技術の中でデジタルバンクのセキュリティを支える可能性があるものには、暗号資産(仮想通貨)にも用いられる分散型台帳技術(ブロックチェーン)があります。

分散型台帳技術とは、銀行のような運営元が一元的に利用履歴などを管理するのではなく、複数の利用者で利用履歴を共有できる技術です。データを改変するには利用者すべての利用履歴を改ざんする必要があるため、非常に強固なセキュリティといえます。

すでに安全性を支える技術があり、今後もセキュリティの向上が期待できるため、安心して利用しやすい環境が整っているといえるでしょう。

デジタルバンクのデメリットと課題

セキュリティを強化しても、スマートフォンの紛失や盗難などによって物理的に悪用されるリスクや、ログイン情報が流出したときのリスクを防ぐことは今の技術では難しいといえます。

スマートフォンを紛失した場合、専用窓口で対応を行うデジタルバンクもあり、パスワードなどの流出に心当たりがある場合はログイン情報の変更を行うなどの対策は取れますが、安全かつ便利に利用するには利用者に一定のリテラシーが求められます。

また、利便性の高いサービスであっても、多くの人に理解されなければ現在の銀行システムからデジタルバンクに移行するのは難しいでしょう。まずは、スマートフォンの操作に慣れており、ネットリテラシーを持つ層の間でシェアを伸ばせるかどうかが課題となります。

日本におけるデジタルバンクに関する具体的な取り組み

最後に、日本におけるデジタルバンクに関する具体的な取り組みをまとめました。

国内初のデジタルバンクは「みんなの銀行」

「みんなの銀行」は、国内で初めてサービスが開始されたデジタルバンクです。口座を開設すると、支払い、振込、入出金、貯蓄まで専用のスマートフォンアプリだけで完結します。

SNSのように気軽に利用できるサービスを目指しており、アプリは銀行の堅い印象を払拭することを目的としたカジュアルなデザインが特徴的です。

BaaSでヤマダホールディングスがバンキングサービスを提供

金融機関以外の企業事例として、BaaSにより株式会社ヤマダホールディングスが顧客向けに提供したバンキングサービスがあります。同社が提携するハウスメーカーで住宅の購入をする顧客に対して、住宅ローンを提供する仕組みです。

住宅を建てる際には家電需要が見込まれるため、同社のバンキングサービスの利用でヤマダポイントなどを付与し、住宅ローンに家電も組み込めるようにすることで、同グループ会社ヤマダデンキの売上増加が期待できるビジネスモデルです。非金融業者が自社サービスにBaaSを組み込んだ代表的な事例となります。

フィンテックにより生活は変化する

近年「○○Pay」といった電子決済を導入する店舗も増え、スーパーマーケットやコンビニエンスストアではさまざまな決済システムが導入されています。このようなフィンテック(金融技術)は、この先も進化し続けるでしょう。

特にデジタルバンクのように将来性が期待できるフィンテックは、日々の生活をより豊かにしてくれる可能性を秘めているため、今後の動向に注目したいところです。

(提供:Incomepress



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