本記事は、亀山陽平氏の著書『金持ち社長 貧乏社長』(セルバ出版)の中から一部を抜粋・編集しています

金持ち社長はブレーンを持っている 貧乏社長は独断専行をしがち

相場急落,お金持ち
(画像=PIXTA)

社長にはブレーンがいますか?

社長は孤独だとよく言われます。特に中小企業の社長は、重要な経営判断、営業、事務、雑務もろもろを社長がすべて引き受けていることも多いでしょう。売上や資金繰りの悩みを抱えていても、従業員にはもちろん側近の役員にも話せないこともあります。

サラリーマンであれば、仕事で困ったときは上司を頼ればヒントをくれます。しかし、社長の場合は、相談をする人が周りにいないため、方向性に迷うことがあります。

だからこそ、金持ち社長はブレーンを持っています。ブレーンは先輩経営者、各分野のプロフェッショナルたちです。ビジネスモデルであればAさん、人の育成であればBさん、組織づくりであればCさんのように、分野ごとの信頼できる人に相談できる関係を構築しています。

最終的に経営判断をするのは、トップである社長自身です。正しい経営判断には材料となる情報の質が極めて重要です。社長の経営判断の正否によって、会社の業績が決まります。

従業員の生活もしっかりと守らなければいけない社長の責務があります。そのため、優秀なブレーンの確保には力を注ぐべきです。

一方で、貧乏社長は自分の考えに固執する傾向があります。他人の意見に耳を傾けません。自分の考えが絶対だと考えています。

もちろん自分の考えを持つことは重要ですが、その分野のプロフェッショナルの意見を取り入れた上で、自分の考えを形成しないと、独りよがりの経営になってしまいます。その結果、お客さんから選ばれず、売上も上がらず、お金も残らない残念な会社となってしまうのです。

ブレーンリストを作成する

まずやるべきはブレーンのリスト整理です。すでにブレーンがいる社長は、次の分野でブレーンをまとめてみましょう。

ブレーンがまだいない社長は、ブレーンを周りに置く意識を持ちましょう。

・同業界の尊敬できる経営者

・他業界の尊敬できる経営者(ヒットするビジネスアイデアのヒントは意外と他業界の成功モデルにあります)

・財務・税金(信頼できる税理士を顧問にしましょう。税理士との上手な付き合い方は後述します)

・法律面(攻めに強い社長こそ、守りも固めることが大事です)

・資産管理・資産形成(金持ち社長になるためには、この分野のプロフェッショナルのブレーンが欠かせません)

・人の育成(人の育成は社長の永遠の悩みです。会社が成長するためには人への投資が必須です)

・組織づくり(「名選手名監督ならず」です。マネジメントができる人を探しましょう)

金持ち社長は他人の言うことを鵜呑みにしない 貧乏社長はすぐに信じる

信じるな、疑うな、確認しろ

一代で巨大不動産企業グループを築いたT会長。学生時代に「億万長者になる」と決め、ナポレオン・ヒルやデール・カーネギーなどの成功哲学の本を読み漁ったようです。大学卒業後に家業の米穀店を継ぐところから仕事のキャリアを始めています。先代の社長である父親の営業手法で非効率だと感じたところを見直すなどして、新規開拓にも精力的に取り組まれたそうです。

そんなT会長が27歳の頃に転機が訪れます。ある夏の暑い日に、汗だくになりながら不動産会社の社長に米を配達した際に、社長はエアコンの効いた部屋でゆっくりとテレビで甲子園を観ていたそうです。外には社長が普段乗っているクラウンが停まっていました。

当時のT会長はこう思ったそうです。「自分はこの社長の倍働くから、倍稼げるはずだ」と。そして、そこから宅建の資格を取るための勉強を始め、1人で不動産事業を始めました。以降、順調に事業を拡大していきます。

調子がいいときはイケイケドンドンで守りが弱くなりがちです。しかし、T会長は違いました。建売住宅が飛ぶように売れる中、一種の違和感を感じたようです。「儲かり過ぎではないか」と。そして、建売住宅から注文住宅販売に切り替えたそうです。切り替えて3か月後にオイルショックが到来します。石油不足で建築資材の供給が追いつかず、多くの建売会社が破産に追い込まれました。

経営を続けてこられる中で、このようなピンチが幾度かあったと言います。会社の調子がいいときは周りにも乗せられ、いろいろな人が近寄ってきたりもします。変な儲け話に乗っかってしまう社長もいます。そのようなときにこそ覚えておいてほしいのが、T会長のこの言葉。

「信じるな、疑うな、確認しろ」

この言葉は、経営、マネジメント、投資などあらゆる分野において常に心に留めておきたいものです。T会長も常に最前線にいたからこそ、肌感覚で違和感をキャッチできたのだと思います。

経営のハンドルは社長が必ず握る

前項のブレーンを持つことと一見矛盾するように見えますが、ブレーンはあくまで社長の意思決定の判断材料を提供することが役割です。何か話を聞いたときは、安易に信じることは絶対にやめてください。

一方で、疑いすぎてもチャンスを逃してしまうことになります。大切なことは自らの目で確認をすること。他人の言うことをすぐに鵜呑みにする社長で、長期的に成功している方は見たことがありません。

金持ち社長 貧乏社長
亀山陽平(かめやま・ようへい)
株式会社マネミル代表取締役、総合資産戦略パートナー。青山学院大学経済学部卒業。大学卒業後、入社した一部上場保険会社にて法人・経営者対象のライフプランニング事業に9年間従事。2015年度に新契約高で全国No.1の実績を挙げる。法人と社長個人にお金を残す資産戦略構築の専門家。これまでに1,200名以上の社長の資産戦略をサポート。製造業、建設業、小売業、飲食業、美容業、IT業、不動産業などクライアントの業界は多岐に渡る。クライアントの資産規模は、個人事業主の資産形成層から資産10億円の富裕層まで幅広い。保険会社の資産運用部門において、国内・海外の株・債券・プライベート・エクイティの投資にも従事。年間100名以上のファンドマネージャーとの面談経験により、豊富な選択肢から、お客様のニーズに最も合致した商品提案を得意とする。税理士事務所、不動産会社、歯科医院などで資産形成・運用などの講演、セミナー、研修を実施。資格:国家資格FP、TOEIC915点

※画像をクリックするとAmazonに飛びます
ZUU online library
(※画像をクリックするとZUU online libraryに飛びます)