本記事は、亀山陽平氏の著書『金持ち社長 貧乏社長』(セルバ出版)の中から一部を抜粋・編集しています
金持ち社長は即実行 貧乏社長は検討しますが口グセ
金持ち社長の共通点は実行スピードの早さ
「成果が出ている社長の共通点は何ですか?」とよく聞かれます。そのときに私が答えるのが「実行スピードの早さ」です。成果が出る社長は、何かプラスの話を聞いたときに、とにかく実行までのスピードが早いです。そのスピードの早さに驚かされることがあります。
一方で、貧乏社長は、「いい話ですね。『でも』うちの業界では……」「○○社長は本当にすごいですね。『私なんか』にはとてもできません」などいろいろと言い訳を言って、実行に移しません。成果が出ない社長の口グセトップ3は、「でも」「だって」「私なんかには」です。
以前、私が経営者向けのマーケティングセミナーに出席したときの話です。受講生で、研修講師として大企業からのオファーが絶えない人気講師の方がいました。業績も順調に成長している会社の経営者でした。
その方は、セミナー中に自社の経営に活かせるアイデアを思いついたようで、休憩時間に自社のスタッフに電話で連絡を入れ、即指示を出していました。セミナーでの学びを学びで終わらせるのではなく、即実践する姿勢は素晴らしいと感じました。
アイデアの素晴らしさでは差はつかない
「成功している会社は、ビジネスアイデアが素晴らしいことが成功要因」と思う社長も多いかもしれません。うまくいっている会社を見ると、「あの会社がやっているビジネスは自分も前に思いついていた」と自慢をする社長が時々います。これだけ情報量が増えて、オープンになっている時代です。アイデアは実はそこら中に溢れています。大切なことは思いついたアイデアをいかに早く実行に移すかです。
もちろん思いついたアイデアが必ずうまくいくとは限りません。むしろうまくいかないことのほうが多いはずです。だからこそ、うまくいく社長は初動スピードを圧倒的に早めて、試行回数を増やしているのです。
ユニクロ柳井さんの言葉「一勝九敗」
ユニクロの創業者である柳井さんの著書のタイトルである『一勝九敗』。一代で日本を代表するトップアパレル企業を築いた柳井さんも多くの失敗をしてきたことが著書に書かれています。
周りから見ると、いつもうまくいっているように見える社長がいます。しかし、そんな社長を近くで見ていると、やることなすことすべてうまくいっているわけでは決してありません。時には失敗もしています。
しかし、試行錯誤のスピードが圧倒的に早いので、失敗を失敗で終わらせずに、改善して次の成功に繋げています。だからこそ、周りから見るといつも成功しているように感じられるのです。そうして試行錯誤を続けていると、成功の勘所を掴めてきて、成功確率が上がってきます。
「検討します」と言って何も実行に移さなかったり、言い訳ばかりする社長とどんどん実行に移していく社長の経営力の差が開くのは当たり前ですよね。社長も「即実行」をぜひキーワードにしてもらいたいです。
金持ち社長は他者思考 貧乏社長は自分思考
お客さんがお金を払ってくれる理由
BtoB、BtoC問わずどんな会社であれ、お金を払ってくれるのはお客さんです。それでは、なぜお客さんは社長の会社にお金を払ってくれるのでしょうか?
社長の会社の役に立ちたいから。社長に喜んでもらいたいから。社長の悩みを解決してあげたいから。
答えは全部逆ですよね。お客さんは「自分の役に立つから」「喜びにつながるから」「自分の悩みが解決するから」お金を払ってくれるのです。
言葉にすると、こんなことは当たり前だと思うかもしれません。しかし、実際に商品やサービスを営業する際には、お客様視点ではなく、自社視点になってしまっているケースが非常に多いのです。
貧乏社長は、自分思考になっているから、お客さんから選ばれないのです。
トップ営業マンの共通項
ステーキのくいしんぼというステーキ屋を70店舗まで拡大し、年商50億円まで成長させた創業者であり、多くの著書を持つ佐藤康行氏。佐藤氏は若い頃、将来は必ず経営者になるという夢を持ち、経営者として成功するためには営業が大切だと、化粧品や宝石の営業を始めます。瞬く間に成果を上げ、トップ営業マンとなりました。
そんな佐藤氏からトップ営業マンの共通項を教えていただく機会がありました。人は必ず自分の欲求を満たすためにモノを買います。例えば、「カツ丼を食べたいな」という欲求がある人に、カツ丼を提供すれば売れるのは誰でもわかりますよね。
トップ営業マンはここで終わりません。もう一歩踏み込みます。「カツ丼を食べたい」という表面的な欲求(これをニーズと呼びます)の奥にある欲求(これをシーズと呼びます)を想像するのです。それは「空腹のお腹を満たしたい」ということです。そうすると提案の幅がグッと広がります。カツ丼ではなく、お寿司でもおそばでもいいかもしれません。
お客さん自身もが考えていないことまで、徹底的に考えて提案してくれる営業マンは間違いなく信頼されます。
佐藤氏はニーズの奥にある「神シーズ」と呼ばれる人間が根源的に持つ欲求を満たすことができれば完璧だと言います。これは「愛されたい」「認められたい」「人生を楽しみたい」という人間誰しもが持つ根源的な欲求です。
ここまで相手目線で徹底的に考えてあげれば、お客さんは会社やその営業マンのファンになります。ファンにすることができれば、リピーターにも間違いなくなってくれるでしょう。
トップ営業マンは、会社とお客さんという関係を超えて、お客さんをファンにしています。そして、お客さんの家族構成、趣味といった情報をよく把握しています。表面的な情報だけではなく、好みの異性のタイプを把握して、ご縁の場をセッティングまでする方もいます。「目の前の人にお役立ちしよう」という貢献精神があるのです。
SNSでわかる自分思考の人の特徴
SNSの投稿を見ると、自分思考の人の投稿には特徴があることがわかります。その特徴を挙げると、自分の自慢が多いこととラグジュアリーな空間での写真が多いことです。
もちろんSNSの投稿は個人の自由ですが、私の経験上、これらの投稿が多い方は、お付き合いをしても、自分勝手に仕事を放棄したり、責任感がなかったりして、困ることが多かったです。他者思考か自分思考の人かの判断材料の1つとして、SNSも活用してみてください。
事前準備が9割
他者思考を習慣とするためにおすすめしたいことがあります。それは「お役立ちリストの作成」です。毎朝これから出会う人にどのようなお役立ちができるかを考えて、箇条書きにして書いていくのです。
「人との出会いが人生を変えた」と話をしてくれる金持ち社長は多いです。経営で大切な資源は「ヒト・モノ・カネ・情報」と言われています。この4つに共通することは、すべて人が運んできてくれるということです。だからこそ、人との出会いを継続的なご縁にできるかどうかが大切となります。
出会った人すべてが継続的なご縁になることはありません。人には相性があるため、無理して付き合う必要はありません。しかし、「この人とはずっとお付き合いしたい」と感じた方とは、継続的なご縁にしたいものです。人との出会いを継続的なご縁にするコツがあります。
それは、目の前の人が欲しているものをプレゼントすることです。プレゼントと言っても、時計や食べ物といった物質的なモノをプレゼントするのではありません。相手の方が社長であれば、経営に役立つ情報をプレゼントするのです。さらに踏み込んで、「相手の社長の経営課題はどのようなことか」を考えてみると、より心に刺さる会話ができます。「この前の話からスタッフの定着や採用の問題で悩んでいそうだな」と仮説を立てるのです。
出会いを継続的なご縁とするためには、出会う前の事前リサーチが非常に重要だということです。
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