本記事は、松本剛徹氏、小島幹登氏の著書『99%失敗しない 新規事業の創り方』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

アマゾンレビューにはビジネスチャンスが眠っている

レビュー
(画像=meeboonstudio/stock.adobe.com)

星1つのレビューを重点的にチェック

不平不満を無料でリサーチするもう1つの方法は、ECサイトのレビューを見る方法です。代表的なECサイトがアマゾンや楽天です。

アマゾンには「パソコン・オフィス用品」「ベビー・おもちゃ・ホビー」などの大カテゴリーがあり、そのカテゴリーのなかでさらに中カテゴリー、小カテゴリーと細分化されていきます。このカテゴリーが存在するということは、そもそも商品の市場が大きいことを意味します。

アマゾンにどんなカテゴリーがあるか、そのカテゴリーのページにはどんな商品が並んでいるか、それを眺めるだけでも市場の状況を把握するのに役立ちます。

アマゾンや楽天などECサイトのレビューのいいところは、自分とは利害関係のない人の意見を聞けることです。例えば商品を実際に使っている友人や家族に使い心地を聞いた場合、何かしらのバイアスがかかった意見が返ってくることになります。客観的な意見を拾いたいのであれば、知り合いに聞くのではなく、ECサイトで調べるべきでしょう。

アマゾンのサイトを開き、どんなものでもいいのでカテゴリーを表示させ、レビュー数の多い商品のレビュー内容をチェックしてみましょう。

特に注目してほしいのは、星1つの評価がついているレビューのコメントです。

具体的なレビューをいくつか拾ってみましょう。

「ホーム&キッチン」>「寝具」>「折りたたみマットレス」のカテゴリーで、ベストセラー上位の商品ページを見てみました。数千のレビューがついていて、かなり売れている商品であることがわかります。

そのカスタマーレビューの欄で、「星1つ」をクリックして、該当のレビューだけを表示させます。すると、次のようなコメントが書かれています。

「よくあるただのスポンジ。すのこの上にこれを敷いて寝たところ、数カ月でヘタって腰の部分が底につきました。数カ月で買い換える生活を何年もしていますが、これらの似たような商品はどれを買っても同じです」。

こういった不平不満を持つ人に対して、厚みのある、すぐにはヘタらないマットレスを提供できれば、満足度の高い商品になりそうだとわかります。

他にも、「評価が高いから買ったけど、毎朝、体のあちこちが痛くて起きます。特に首と腰がやばい」「首と腰の痛みを改善するために買ったが効果なし」というレビューがあります。これらを読んでいくと、マットレスは首と腰が大きなポイントで、その部分を強化することが不平不満の解消につながりそうだ、ということが見えてきます。

もちろんこのマットレスも、商品紹介では「へたらない」「首や腰をしっかりサポート」といった点をアピールしていますが、実際には不平不満が出ています。この不平不満を解消する手段を、科学的に検証するなど信用できるかたちで提供できれば、より売れるマットレスを作れる可能性があります。

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(画像=『99%失敗しない 新規事業の創り方』より)

もう1つ見てみましょう。今度は「ホーム&キッチン」>「キッチン用品」>「コーヒー・ティー用品」のカテゴリーで1位のコーヒーフィルターです。

この商品の星1つレビューで多いのは、「材質にコシがなくふにゃふにゃ」「紙の質感が薄く目詰まりしやすい」「紙がペラっとした感じ」といった文言でした。

これらに共通する不平不満は、紙が薄い・弱いということ。この点を改良すれば、より消費者に受け入れられる商品になるはずです。

このようにしてカテゴリーの売れ筋商品で、星1つのレビューをいくつも確認してみてください。そこで多くの人が共通して持つ不平不満を見つけることが、ビジネスチャンスの発見につながります。

アマゾンレビューチェックを習慣にする

そもそもの話ですが、新規事業を構想する時、自分(自社)が経験・実績のある業種や商品を検討しなければならない、と考えている人もいますが、決してそうではありません。

後ほど説明しますが、業務の一部を外注したり、実績ある会社とジョイントベンチャーを組んだりすれば、経験の全くない業種にも参入できます。筆者も歯科医師ではないのに歯科医院を開業した経験があります。

したがって、ビジネスチャンスを探す段階でも、業種や商品ジャンルを絞る必要はありません。さまざまなカテゴリーの商品のレビューを見て、不平不満をチェックしてみてください。

その業界の外にいる人の方が、かえって客観的な視点で見ることができるので、斬新な解決策を思い浮かぶこともあります。また、ある商品の不平不満が別の業界・カテゴリーの商品開発に生かせることもあります。

レビューを見ていて面白いのは、数百円の商品に対する怒りと、数万円の商品に対する怒りではレベル感が違うこと。商品が高額であればあるほど、ユーザーは細かいポイントにも目を向けるようになり、不平不満を感じた時の怒りのレベルも高くなります。

アマゾンレビューのチェックは、このような人間の心理を知る勉強にもなります。

新規事業創出のトレーニングだと思って、日々いろいろなカテゴリーの商品を見ることを習慣にしてみてください。

ユーザーがどんな悩みを抱えているのか調べる方法

悩みの具体的な内容を知るにはQ&Aサイト

もう1つ、無料で消費者の悩みを調べる良い方法があります。「Q&Aサイト」を利用する方法です。

ビジネスチャンスの源泉は不平不満・悩みにあるということは間違いない事実。その不平不満や悩みがたくさん投稿されているのがQ&Aサイトです。具体的には、

・ヤフー知恵袋
・教えて! goo(OKWaveも同じ内容)
・発言小町

などがあります。これらのサイトにアクセスし、自分が新規事業を展開しようとしている業界や商品に関連するキーワードを入力し、検索してみてください。非常にたくさんの検索結果が出てくるはずです。

それらの検索結果を見るだけでも、世の中の人が感じている不平不満、悩み、課題を知ることができます。

具体的なキーワードを入れて検索するのがQ&Aサイトの使い方です。したがって、アマゾンのレビューや不満買取センター、あるいは雑誌やメルマガなどで見つけて気になったキーワードを、Q&Aサイトで深掘りチェックするという順序がいいでしょう。

ターゲットの有無や市場規模を確認できる

例えば、「低血圧」というキーワードで検索してみます。すると、「低血圧でとても苦しんでいます。改善方法はありませんか?」「18歳の女子で、低血圧で悩んでいます。最高80、最低50です」といったように、たくさんの投稿が表示されます。悩んでいる状況を具体的に事細かに記載してある投稿もあります。

こういった投稿を見ていくと、ユーザーがどんなことで悩んでいるのか、顧客の姿が見えてくるわけです。

ヤフー知恵袋で「低血圧」と調べた時、出てくる検索結果は4万件以上。

そのすべてが低血圧に関する悩みとは言えませんが、とにかく「低血圧」に関して知りたいと思っているユーザーが多いことを意味します。それはつまり、大きな市場があるということです。

この検索件数がもし少ないのであれば、そもそも悩んでいる人は少ない、つまり市場が小さい=商品を作っても売れない、と考えられます。

実際にビジネスを展開していくうえでは、顧客ターゲットが大事になります。ターゲットとしている人たちがどんな問題や悩みを抱えているのか、そもそもターゲットは存在するのかを調べるのに、Q&Aサイトは有効です。

新規ビジネスを創ろうとしている業界や商品ジャンルが大まかにでも決まっている人は、このようにしてQ&Aサイトで検索してみるといいでしょう。

回答は見ないで質問だけを大量に見る

Q&Aサイトでは1つの質問に対して、他のユーザーからの回答がいくつも投稿される形式になっていますが、読むのは質問だけでOKです。

というのも、こうしたQ&Aサイトの回答は信憑性がないものや、自社のサービスに誘導しようとするものなど、情報としての信頼性が低いものが多いからです。ただ、なかには専門家が答えている場合もあるので、そういった回答は参考にしてもいいでしょう。

必要なのはあくまでも消費者が持っている不平不満・疑問・悩みです。そこを調べることを主眼に置いて、時間をかけずに質問だけを次々と見ていくようにしてください。

大量の質問を見ていくうちに、不平不満や悩みの傾向がわかってきて、ビジネスチャンスを発掘できる可能性が高まります。

99%失敗しない 新規事業の創り方
松本剛徹(まつもと・たかのり)
株式会社リアルプロモーション代表取締役。1985年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒で富士通株式会社に入社し、その後に株式会社DeNAに転職してモバイルマーケティングに従事。スマホ集客やマーケティングを専門にする会社として、2011年に株式会社リアルネットを創業。2014年には化粧品通販事業を展開して、事業を拡大していき年商10億円、利益1億円にまで成長させ、20代経営者のベストベンチャー30に選出される。2019年10月に大手企業に会社売却。全10事業を多角的に展開し、経営する会社の年商規模は30億円超。事業売却、事業譲渡や会社売却も経験してきた。著書に『ゼロからはじめるスマートフォン集客術』(興陽館)、『ゼロから年商10億円企業を創る』(ぱる出版)がある。
小島幹登(こじま・みきと)
株式会社リアルプロモーション取締役/株式会社イーメディック代表取締役。1975年生まれ。下記の事業をはじめとした30社以上の複数事業のオーナー経営者であり、連続起業家。化粧品通販(年商10~20億円を3社、内2社は2019年、2020年に会社売却)、健康食品通販、医薬品通販、美容クリニック(年商8億円で、2019年に大手病院グループに売却)、メディア事業(2015年に会社売却)、歯科クリニック(事業譲渡)、泌尿器科クリニック(全国6医院まで拡大し事業譲渡)、瞬読事業(速読教室。書籍は3冊で18万部)、株式投資とFXの投資家向け情報提供サービス(のべ会員約3,000名)、不登校支援スクール、室内ゴルフレッスン事業、結婚相談所、ストレッチ専門店、メンズ美容専門店、医療人材専門の人材紹介業、ビジネスセミナーのプロデュースなど、多数の事業を展開。共著書に『1か月で3億円稼ぐジョイント思考』(あさ出版)がある。

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