本記事は、松本剛徹氏、小島幹登氏の著書『99%失敗しない 新規事業の創り方』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

脳内検索1位で初年度売上5億円を実現したコンセプト

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(画像=yu_photo/stock.adobe.com)

売れるコンセプト設計 「□□の〇〇と言えば××企画」

「ハンバーガーと言えば?」と聞かれたら、あなたは何と答えるでしょうか。

おそらく9割以上の人は「マクドナルド」と答えるのではないかと思います。ハンバーガーとマクドナルドが頭の中で結びついているからです。

このように、「○○と言えば××」というコンセプトを広く認知させることができれば、非常に強い商品になります。「○○」に入るのは一般名詞、「××」に入るのは商品・サービスです。

有名企業や勢いのある企業も、次のように「〇〇と言えば××」というブランディングに力を入れています。

●プロポーズされたらゼクシィ
●朝専用缶コーヒーと言えばワンダ
●女性だけの30分フィットネスと言えばカーブス

例えばゼクシィなら、「プロポーズされたらゼクシィ」というコンセプトをそのままキャッチフレーズにし、テレビCMや各種プロモーションで繰り返しアピールすることで、見込み客に対してブランディングを行っていきます。

その結果、多くの人は実際に、プロポーズをされた(あるいは結婚準備を考え出した)らゼクシィを買うという購買行動を取ることになります。

これは脳内検索結果の1位を獲得するということです。

ウェブサイトづくりでは、SEO(検索エンジン最適化)対策を行いグーグルの検索結果1位を狙うことが大切ですよね。

それよりももっと強力な集客方法は、ターゲットとする見込み客の頭のなかに「○○と言えば××」というイメージを定着させることです。

もちろん前述の有名企業がイメージを定着させられた理由は、マス媒体でのCM効果が大きいでしょう。中小企業では、そうした大規模な広告展開はなかなかできません。

しかし今はどんな規模の会社でもネットを活用できる時代です。中小企業が狙うべきニッチ市場では、ネットがあれば十分効果が期待できます。まずは、しっかりとしたビジネスコンセプトの作成に注力していきましょう。

ニッチな市場のターゲットに対して、脳内SEO1位の獲得を狙い、「○○と言えば××」に当てはめてコンセプトを設計してみてください。

「□□の」でポジショニングを明確にする

既存の市場に新規参入する場合は、先行する商品との差別化も考える必要があります。

その場合は、もう1つの要素を加えて「□□の○○と言えば××」を考えます。この「□□」は独自のポジションを意味します。

例えばハンバーガー市場であれば、「ハンバーガーと言えばマクドナルド」というイメージが確立しています。

この市場に後から参入し、マクドナルドに真っ向から戦いを挑むのは無謀すぎます。

そこで、マクドナルドとは別の方向性を模索します。例えばマクドナルドが低価格路線であることに着目し、その真逆を行く高価格路線に狙いを定めるのです。

すると、「世界一高いハンバーガーと言えば××」というコンセプトが浮かび上がってきます。

この時、「世界一高いハンバーガーと言えば?」と聞かれて、答えとしてイメージされる商品・サービスが市場に存在しない、あるいは存在したとしても広く認知されていないのであれば、大きなチャンスです。

そんな商品を開発し、認知を広められれば、独自のポジションを構築できる可能性があります。

もちろん、その商品に需要があることが大前提です。需要があるかどうかは別途リサーチする必要があります。

需要がある市場で、「□□の○○と言えば××」というコンセプトを確立し、見込み客に浸透させられれば、セールスは非常に楽になります。

マクドナルドがいい例です。私たち消費者は、「ハンバーガーを食べたいな。じゃあマクドナルドに行くか」という感じで店を決めていますよね。

もちろんマクドナルドもいろいろなプロモーションを行っていますが、それらのプロモーションに一切接触していないのに、自分の意思で購買を決めて店を訪れることも多いのではないでしょうか。

これと同じ状況をつくり出せれば、プロモーションしなくても、あなたの商品・サービスを顧客が勝手に選んでくれるようになります。

初年度に5億円を売り上げたコンセプト

筆者が手がけた商品のなかにも、「□□の○○と言えば××」方式で大ヒットしたものがあります。ニキビ対策の薬用化粧品「メルライン」です。

世間では「ニキビと言えば……」で真っ先にイメージされる圧倒的なトップブランドがあり、その牙城は揺るぎないものがあります。

そんな市場に参入していく時に、「ニキビと言えばメルライン」と正面からアピールしても勝ち目はありません。

そこで私たちは、ニキビができやすい部位の中でも、あごに絞って「あごニキビと言えばメルライン」というコンセプトを打ち立てました。

この結果、メルラインは初年度だけで5億円売れるほど大きなヒット商品となりました。

また、歯科医院のプロデュースを手がけた際は、矯正治療によくある不平不満として「金額が高い」という点に着目しました。そこで、前歯の一部分だけ、低価格で治療を行う「部分矯正」というコンセプトをつくりました。

そして「部分矯正と言えば○○クリニック」というキャッチフレーズで集客を行いました。その結果、通常では月間400万円も売上があれば繁盛クリニックといえるところを、開院初月から1,000万円超の売上をつくることができました。

このように、需要のある市場のなかで独自のポジションを確立して、競合製品との差別化を明確にすれば、爆発的な効果が生まれます。

ビジネスコンセプトを設計する方法はたくさんありますが、「□□の○○と言えば××」というコンセプトに当てはめていく方法は最もわかりやすくて効果的です。ぜひ取り組んでみてください。

99%失敗しない 新規事業の創り方
松本剛徹(まつもと・たかのり)
株式会社リアルプロモーション代表取締役。1985年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒で富士通株式会社に入社し、その後に株式会社DeNAに転職してモバイルマーケティングに従事。スマホ集客やマーケティングを専門にする会社として、2011年に株式会社リアルネットを創業。2014年には化粧品通販事業を展開して、事業を拡大していき年商10億円、利益1億円にまで成長させ、20代経営者のベストベンチャー30に選出される。2019年10月に大手企業に会社売却。全10事業を多角的に展開し、経営する会社の年商規模は30億円超。事業売却、事業譲渡や会社売却も経験してきた。著書に『ゼロからはじめるスマートフォン集客術』(興陽館)、『ゼロから年商10億円企業を創る』(ぱる出版)がある。
小島幹登(こじま・みきと)
株式会社リアルプロモーション取締役/株式会社イーメディック代表取締役。1975年生まれ。下記の事業をはじめとした30社以上の複数事業のオーナー経営者であり、連続起業家。化粧品通販(年商10~20億円を3社、内2社は2019年、2020年に会社売却)、健康食品通販、医薬品通販、美容クリニック(年商8億円で、2019年に大手病院グループに売却)、メディア事業(2015年に会社売却)、歯科クリニック(事業譲渡)、泌尿器科クリニック(全国6医院まで拡大し事業譲渡)、瞬読事業(速読教室。書籍は3冊で18万部)、株式投資とFXの投資家向け情報提供サービス(のべ会員約3,000名)、不登校支援スクール、室内ゴルフレッスン事業、結婚相談所、ストレッチ専門店、メンズ美容専門店、医療人材専門の人材紹介業、ビジネスセミナーのプロデュースなど、多数の事業を展開。共著書に『1か月で3億円稼ぐジョイント思考』(あさ出版)がある。

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