本記事は、松本剛徹氏、小島幹登氏の著書『99%失敗しない 新規事業の創り方』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています
ホームページすら作らずに格安でテストマーケティングする方法
BtoBでは特に有効なFAXDM
インターネットを使わずにテストマーケティングする方法として有効なのが、FAXDM(FAXを使って送る1ページのダイレクトメール)です。特にBtoBの商品・サービスにおいてFAXDMは威力を発揮します。
あなたの会社にも届いたことがあるかもしれません。でも今は見る機会が少なくなりました。かといって「そんな手法は古い」と決めつけるのはよくありません。
今流行っていないということは、競争相手のFAXDMが減って目に留まりやすくなったといえるからです。筆者もFAXDMを使っていますが、現在でも十分に使える手法だと実感しています。
メリットは、販売用ページやLPを作成せずに顧客の反応が得られること。
LPを作って、インターネット広告を出して集客して、反応を確認する……という一連のステップを踏むには少なくとも数日かかります。FAXDMであれば、原稿作成から送信、結果の検証まで最短1日で終わります。
デメリットは、伝えられる情報量が少ないこと。A4・1枚のなかに全部を詰め込むため、最低限の内容しか記載できません。
また、受信する側にコスト(紙代、インク代)を負担させることになります。1枚1円以下の金額かもしれませんが、残念ながらネガティブな印象を持つ人はいます。
大企業向けには効果が低い点もデメリットです。決裁権者の手にFAXが渡る前に捨てられてしまうからです。反面、小規模企業や店舗ビジネスなどに対しては非常に有効です。
読まれるポイントはタイトルと特典
FAXDMを受け取ったら、即ゴミ箱行きが普通です。そこで、一瞬でもいいから目に留めてもらえるように、タイトルを工夫する必要があります。具体的には、これらを含めたタイトルを考えます。
●この商品をひと言で言ったら(コンセプト) ●特典DVDのプレゼント ●圧倒的なメリット
筆者もエステ店舗向けに有料講座を販売する目的で、FAXDMを実践したことがあります。
DMの一番上に大きく「リピート率90%実現の秘密公開DVDを無料プレゼント!」と記載し、これを多数のエステ店舗に送付しました。
リピート率90%というのはエステ店にとっては非常に気になる数字です。
また、「DVD無料プレゼント」も興味を引くポイントです。「小冊子プレゼント」では価値を感じにくいのですが、DVDだと豪華な印象を受ける人は多いのです。
特にエステや整体院などは、施術ノウハウを紹介したDVDが数万円で売られている業界なので、無料DVDは魅力的に映るはずです。
このようにしてタイトルと特典で目を引いて、本文コピーを読んでもらうように誘導します。一番下には住所・氏名・電話番号を記入する欄を設けておき、そのまま書き込んでFAXで返信してもらうようにします。メールよりもFAXの方が手軽に返信してもらえます。
資料請求のFAXが返信されてきたら、特典DVD(有料講座・商品の内容やメリットを案内したもの)を発送します。
ただし、そのDVDを見込み顧客が見てくれることはほとんどありません。無料だからと気軽にDVDを請求しても、いざ届くと見るのが面倒くさくなってしまうのが常だからです。
そこで、DVDの中身を8ページくらいにまとめた小冊子を一緒に送付します。
受け取った人はDVDを見なくても、冊子を手に取ってパラパラと眺めてくれるので、そこから有料商品の販売につなげられるというわけです。
原稿は2パターンを用意してABテストを実施する
FAXDMを一斉送信するには、FAXDM会社の配信代行サービスを使います。これはインターネットで検索して探してください。FAXDM会社によって持っている送付先リストは異なるので、ターゲットに合ったリストを持つ会社を選ぶといいでしょう。リストは「地域」「従業員数」「売上規模」などいろいろな条件で絞り込めます。希望条件を伝えて絞り込み、リスト件数の多いDM会社を使います。
かかるコストは1通当たり1〜2円程度。1万通送っても1〜2万円でテストできてしまうので非常にお得です。
FAXDMの原稿は、自分で作ってもいいですし、FAXDM会社に商品内容や訴求ポイントを伝えて作成してもらうこともできます。制作費は数万円です。
原稿を作ってもらった場合、一発で理想通りに仕上がることはまずありません。必ず納得できるまで手直しをしてください。
また、タイトル部分を2パターン用意してABテストを実施してください。例えば先ほどの例なら、「90%のリピート率」の部分を「客単価を3倍にする」に変えたパターンを用意する。そして千部ずつ配信し、どちらの反応がいいか確認します。
資料請求件数の多い方がキャッチコピーとして優れていることがわかるので、次回はその原稿を使います。
送信前に必ずやっておきたいのは、原稿を自分宛にテスト送信してみることです。文字がつぶれていないか、キャッチコピーや無料特典は目立つかなどをチェックするためです。パソコン画面で見る原稿の印象と、送られてきたFAXの印象はだいぶ異なるので、必ず送信テストを行ってください。
なおFAXDMは、曜日や季節、配信時間を変えて何度も送ります。相手が受け取ってくれるタイミングを予想しながら、何度もテストしてみてください。
注意点は、「DM不要」と連絡が来た場合、次回から絶対に送らないようにすることです。除外するFAX番号のリストを作ってFAXDM会社に渡しておきましょう。クレームにつながるのでこの点は注意してください。
※画像をクリックするとAmazonに飛びます