2022年に入ってからというもの、ウクライナ情勢や円安の影響などによってガソリン代が高騰しています。
資源エネルギー庁が発表した石油製品の店頭小売価格週次調査によると、7月11日時点でのレギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均価格は172.7円で、過去10年の平均価格と比較しても値上がりしているのは明らかです。
ガソリン代はガソリン車を使用する以上絶対にかかりますから、家計への影響も深刻なものになりつつあります。

このガソリン代の値上がりを機に、車の維持費全体を見直してみてはいかがでしょうか? 維持費のうち節約できる部分を見直すことで、ガソリン代の値上がりをカバーすることも可能です。

すぐに見直しできる自動車の維持費4選をファイナンシャルプランナーが解説します。

車の維持費は年間でどのくらいかかるもの?

ガソリン代が高騰中! 見直しできる自動車の維持費4選

車を所有するだけで、一体どれだけの費用がかかるのでしょうか?
軽自動車と普通車に分けて年間の維持費をまとめた表を確認してみましょう。

軽自動車普通車(1,500CC)
自動車税(種別割)10,800円30,500円
自動車重量税3,300円 ※112,300円 ※2
自賠責保険料9,865円※310,005円 ※3
任意保険料80,000円85,000円
駐車場代120,000円120,000円
ガソリン代72,000円72,000円
車検代25,000円※430,000円※4
維持費の合計320,965円359,805円
※1:エコカー減税対象外で10年経過車の場合(2年自家用の税額を1年で計算)
※2:車重1.5t、エコカー減税なしの2年分の税額を1年で計算
※3:24ヶ月分の保険料を1年分に換算
※4:車検代も1年分に換算

軽自動車で1年間に32万965円、1,500CCの普通車で35万9,805円の維持費がかかることが分かりました。
なお、駐車場代・ガソリン代・車検代はおおよその数字なので、所有する車の燃費や生活している場所、車検を受ける場所によって異なります。
また、任意保険もどんな補償をつけるかで保険料は千差万別で、ここでは一例を掲載しています。

ファイナンシャルプランナーが解説! すぐに見直せる自動車の維持費4選

前項の試算では、軽自動車でも普通車でも30万円以上の維持費がかかることが分かりました。ガソリン代が高騰を続ける今、車を日常的に使用している人はさらに多くの費用がかかります。
この、車にかかる費用を抑えたいというのは、すべてのドライバーの共通の課題ではないでしょうか。

ここでは車の維持費を節約するのに効果的な4つの方法を紹介します。

車の維持費の節約術(1):会員割引を使ってガソリン代を節約する

値上がりが一向に収まらず、家計を直撃している「ガソリン代」を節約できれば、車の維持費は大きく抑えることができます。

例えば「現金からクレジットカード払いに切り替える」だけで節約は可能です。クレジットカード払いにするだけで店頭表示価格から1円/L程度の割引が受けられるガソリンスタンドがあります。
また、メール会員に登録したりガソリンスタンドのプリペイドカードを作ったりすると、さらに大きな割引が見込めるでしょう。

特に大きな割引になるのは、車検をガソリンスタンドで申し込んだ場合です。割引率はガソリンスタンドによっても異なり、なかには5円/L以上の大きな値引きになる場合もあります。

ガソリン代はガソリン車に乗る以上は誰でも絶対に必要になる費用で、ここを圧縮できれば大きな節約につながります。多少の手間を惜しんででも、「地域一番店を探す」「使える割引を駆使する」などの工夫を凝らしてみましょう。
地方にお住まいの場合は日常的に車を使う方が多いので、ガソリン代が大きな負担になります。年間走行距離によってはガソリン車よりも燃費の良いハイブリッド車やクリーンディーゼル車に乗り換えるのも選択肢のひとつです。
ハイブリッド車はガソリンと電気を併用するシステムで、同じレギュラーガソリンでも消費量を大きく抑えることで燃費が高まります。

クリーンディーゼル車は軽油を使って走るため、レギュラーガソリンよりも安く給油ができるのがメリットです。2022年7月11日現在、レギュラーガソリンが全国平均で172.7円/Lのところ軽油は152.6円/Lと割安です。

車の維持費の節約術(2):月極駐車場を変更して駐車場代を見直す

車の維持費として「駐車場代」は大きなウェイトを占めます。駐車場付き一戸建てに住めば費用がかかりませんが、賃貸に住んでいる人や一戸建てでも駐車場がないケースでは月極駐車場を借りることになります。

駐車場は「立地」「設備」「契約サイズ」などによって料金に差が出ます。利便性との兼ね合いもありますが、我慢できる範囲内で可能な限り安い駐車場を探すことが節約に有効です。

車の維持費の節約術(3):車検の場所を変えて車検費用を安く抑える

車の整備は安全に乗るためには欠かせないものですが、「どこで車検を受けるのか」によって費用は異なります。

同じ東京都でも車検価格が45,000円程度の店舗や、4万円を切る店舗も見つかります。
最安値は31,510円(2022年7月18日現在)と15,000円近い差が出る計算です。

また、車を購入したディーラーよりも、カー用品店やガソリンスタンドのほうが安く車検を実施しているケースも少なくありません。

車検の前に複数の業者から見積もりを取ってみることも大切です。見積もりを取る際は合計金額だけでなく内訳もチェックし、必要ないオプションをなくすことでさらに値引きできる場合もあります。

車の維持費の節約術(4):メンテナンス代

車検とは別に、定期的に必要になるメンテナンスも場所によって費用が異なります。特に純正部品を使うディーラーでは費用が高額になる傾向があります。

メンテナンス代を節約する方法として、車の利用シーンを見直すことも大切です。常に車を使うとガソリンを消耗するだけでなく、タイヤが摩耗したりエアコンの効きが悪くなったりと、メンテナンスが必要な回数が増えることがあります。
車の乗り方を見直すとともに徒歩や自転車、公共交通機関を織り交ぜて、車の利用は必要なタイミングだけに絞ることでメンテナンス代の節約につながるでしょう。

また維持費を節約できる方法として、定期的なセルフチェックも有効です。車のエンジンから異音がしないかなどを日常的にチェックしましょう。
早く異常に気付いて修理に出すことで将来の故障を予防でき、結果的に修理代金を安く抑えられます。

ファイナンシャルプランナーが解説! どうしても維持費がつらいときの対処法

これまで車の維持費節約に効果的な対策を紹介してきましたが、どれを試してもまだ維持費が高くて悩んでいるという方もいるかもしれません。どうしても維持費の捻出が難しい場合の対処法として、車の所有の仕方そのものを見直すという方法もあります。

所有以外に維持費を節約できる方法として、「カーシェア」「カーリース」の2つを紹介します。

維持費がつらいときの対策(1)カーシェアを利用する

カーシェア(カーシェアリング)は、カーステーションに置かれた車を複数人でシェアして利用するサービスのことです。事前に登録して月会費を支払って利用したい車と時間をオンライン予約し、時間になったらカーステーションで手続きをすればすぐに車を利用できます。
月会費以外に借りている時間に応じて料金を支払う形式なので、駐車場代やガソリン代の負担なく自身の好きなタイミングで車に乗れるのが特徴です。

カーシェアのメリット

カーシェアのメリットをまとめると以下のとおりです。

  • 車の購入費用、維持費、保険料が不要
  • 24時間いつでも、短時間からでも利用できる

カーシェアのメリットは、車の購入費用や維持費、駐車場代がかからない点です。ガソリン代や保険料も不要で、これらは利用代金の中に含まれています。
マイカーを購入すると税金や自賠責保険料などの初期費用がかかるほか、購入後も車検費用やガソリン代が必要です。そういった維持費が、カーシェアでは不要になります。

またカーシェアの予約は24時間いつでも行うことができ、15分単位での利用も可能です。
「子どもの送迎だけ」「買い物だけ」など、会員登録さえ行えばいつでも気軽に車を利用できるのがカーシェアならではのメリットといえるでしょう。

加えて、利用する際も手間取ることなくスムーズに手続きできます。会員登録することでオンライン予約が可能になり、パソコンでもスマホからでも簡単に予約できます。スマホさえあれば外出先からでも予約ができるため、急な用事で車を使いたくなったときでも安心です。これがレンタカーとの大きな違いです。

カーシェアのデメリット

一方 カーシェアのデメリットについても理解しておきましょう。

  • 予約が埋まっていると使えない
  • 利用しないときでも固定費がかかる
  • 乗り捨てできない
  • 毎日使う人には高い

カーシェアはレンタカーと違って「乗り捨て」ができません。例えば引っ越しにカーシェアを利用する場合、荷物を運び終えたあとに再び元のカーステーションに車を返却する必要があります。

またカーシェアは複数人で車をシェアするというサービスであり、自分が車を所有しているわけではありません。車を使いたいと思っても、先に利用している人がいる場合は利用できません。連休や祝日など車の需要が大きい日は予約が取りづらいこともあります。

利用に関係なく固定費がかかるのもデメリットです。カーシェアでは利用代金とは別に、会員としての月会費を毎月支払う必要があります(利用代金を月会費にあて、月会費実質0円のカーシェアサービスもある)。仮にまったく利用しなかったとしても、この費用は毎月かかります。

日常的に長時間利用するには割高ということもあります。カーシェアの利用料金は会社によって異なりますが、例えば月額基本料1,000円を支払い、さらに利用した時間に応じて15分200円(1時間800円)などの料金を支払うといった形式です。短時間だけ借りる分にはコスパに優れますが、従量課金制なので乗る時間が長いほど料金が高くなります。
毎日の通勤や日常生活に利用するなら、月額定額(サブスク)のカーリースのほうが割安になる場合もあります。

維持費がつらいときの対策(2)カーリースを利用する

カーリースは月額定額で新車に乗れる「車のサブスク」サービスです。契約期間中は自分だけの車を自由に利用でき、購入よりも手軽に車が持て、なおかつカーシェアよりも実際に車を購入した気分を味わえるでしょう。
月額料金には契約中の税金・自賠責保険料が含まれ、毎月定額で車に乗ることができるので家計管理に役立ちます。

カーリースのメリット

カーリースならではのメリットは以下のとおりです。

  • 好きな車種を選べる
  • 頭金などの初期費用が不要
  • 税金・保険料込みの月額定額料金で利用できる

個人向けカーリースは現行の新型モデルがラインナップされます。カーシェアは予約状況によって乗れる車が異なってしまうことがありますが、カーリースなら自分が気に入った車を選択して利用できる点にメリットがあります。購入した場合と同様のメーカー保証もついてくるので、万一の故障トラブルの際も安心です。

またカーシェアと同様、頭金などの初期費用が不要です。
カーシェアと違って「払わなくてもいい」というわけではありませんが、自賠責保険料や税金などは月額料金の中に含まれます。購入のように乗り出しの際に大きなお金を用意する必要はありません。

毎月の料金は税金や保険料まで込みの定額制です。前述のとおり自賠責保険や自動車税(種別割)なども料金に含まれます。しかも月々の料金はリース契約満了時の車両価格である残価を差し引いた金額を契約月数で割って計算するため、月額料金も手頃です。

浮いたお金をガソリン代や駐車場代などの維持費に回すことで家計の節約につながるでしょう。

カーリースのデメリット

一方でカーリースは、会社によって以下のようなデメリットがあることも事前に知っておきましょう。

  • 走行距離が制限される
  • カスタマイズができない
  • 車を自分のものにできない

リース会社によっても契約内容は異なりますが、個人向けのカーリースの場合は契約時に月間・年間の走行距離制限が設けられるのが一般的です。「月間走行距離×契約月数」を超過すると、契約満了時に超過分の費用を請求されることがあります。

またカーリースは元に戻せないドレスアップ・カスタマイズができません。これは車の所有権が利用者ではなくリース会社であるためです。

「車が自分のものにならない」のもデメリットです。一般的にカーリースの契約満了時には利用者は以下の選択肢の中から選択することになります。

1. 車を返却して契約を終了する
2. 車を返却して新しい車をリースする
3. 同じ車を再度リースする
4. 車を買い取る

車を買い取る選択肢のあるリース会社であれば、リース契約満了後に自分のものにすることは可能です。ただ、すべてのリース会社で対応しているわけではありません。
最終的に車を自分のものにできるかどうかは、リース契約の前に確認しておきましょう。

カーリースのデメリットを解消するサービスも出始めている

最近では、このデメリットを解消するリース会社も出てきています。
おトクにマイカー 定額カルモくん」では、7年以上であれば走行距離制限なし、月々500円の「もらえるオプション」をつければカスタマイズもでき、契約満了時に車がもらえます。また、7年、9年、11年の契約から選べる「もろコミ カーコンカーリース」では契約満了時に車がもらえますし、「ニコニコカーリース ニコノリ」なら9年契約のもらえるパックで契約満了時に車がもらえるといった内容になっています。

車の維持費を見直す方法はいくつもある

車の維持費のうち「ガソリン代」「駐車場代」「車検費用」「メンテナンス費用」については、安い店舗を探したりセルフチェックを徹底したりすることで見直すことが可能です。
ただ、車が日常の足になっている方の中には、維持費を節約してもまだ家計がきびしいと感じる場合もあります。
そんなときは車を所有する方法から、「カーシェア」「カーリース」に切り替えることで大きく維持費を節約することも可能です。
それぞれにメリットとデメリットがあるので、ご自身に合うのはどちらか比較検討した上で維持費の節約に利用してみてください。

執筆 高柳政道(たかやなぎ まさみち)
CFP(R)認定1級ファイナンシャル・プランニング技能士、兼ライター
「投資」「相続」「保険」など専門性・正確性が特に重視される分野で高い評価を得ている。
また、FPの分野からは外れるが、「カードローン」「クレジットカード」「終活」「仮想通貨」「FX」についても豊富な知見を持つ。
編集 伊藤真二(いとう しんじ)
介護福祉士資格も所有するファイナンシャルプランナーとして、老後の暮らしや節約・資産運用など、安心できる未来、無駄のない今を生きるためのご提案を多く行う。 また、ニュースメディア、採用メディア、自動車メディアなどのライター・編集者の経験から記事執筆・監修も広く行っている。