この記事は2022年8月10日(水)に「羊飼いのFXブログ」で公開された「西原宏一氏の現在の相場観とFXトレード戦略」を一部編集し、転載したものです。


FXトレード戦略
(画像=PIXTA)

2022年8月10日(水)の午前10時すぎに現役トレーダーの西原宏一さんから聞いた最新の相場観と戦略を紹介する。

西原宏一
青山学院大学卒業後、1985年に大手米系銀行のシティバンク東京支店へ入行。1996年まで同行にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後、活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラーなどを歴任後、独立。ロンドン、シンガポール、香港など海外ヘッジファンドとの交流が深く、独自の情報網を持つ。

現在の為替相場の傾向や相場観

2022年8月9日(火)のNY市場は、2022年8月10日(水)発表の米CPI(消費者物価指数)を控えて小動きとなった。米株は下落。CPI発表を控えた神経質な取引となる中、マイクロン・テクノロジーが発した悲観的な見通しが市場のリセッション懸念を深め、半導体株が軒並み売られたことがきっかけ。

ナスダックは1.2%下落。 為替市場では、ポンドドルが下落。ラムスデンBOE副総裁が景気後退により来年は利下げが必要になるとの金融市場の見方について、「予想していないが否定はしない」と述べた事、加えて下記の計画停電の報道が嫌気されて、一時1.2063ドルまで反落している。

英国は冬の寒さとガス不足が重なる日が4日間続く「妥当な限り最悪のシナリオ」に備え、来年1月に企業と家庭を対象に計画停電を検討している。政府の計画に詳しい関係者が明らかにした。

(出所:ブルームバーグ)

現在の為替相場の戦略やスタンス

2022年の前半の為替市場はなんといっても円安がテーマだったが、6月のSNB(スイス国立銀行)の利上げをきっかけにEUR/CHF、そしてユーロ安が為替市場のテーマとなっている。

下記は、日経新聞が、ウクライナ戦争をきっかけとした、ドイツそしてユーロの低迷に関して簡潔にまとめていたものの引用となる。

「プーチンの戦争」で沈むドイツ ユーロ低落は長期化も
ロシアのウクライナ侵攻による「敗者」は誰か。国土が広く戦場と化したウクライナ、米欧の強力な経済制裁に直面するロシアを除けば、それは欧州、とりわけドイツといえそうだ。ロシアにエネルギーを依存してきたドイツでは貯蔵するガスの枯渇リスクが高まり、景気後退とインフレの同時進行(スタグフレーション)も現実味を帯びる。通貨ユーロの低落が長引く可能性もある。

(出所:日経新聞)

一度は脱原発に大きく舵を切ったドイツだが、ロシアにエネルギーを依存するリスクの深刻さが国民の間に浸透し、世論は今「脱原発」に向かっている。このドイツ国民の変化が、ドイツのエネルギー問題を解決するきっかけになるのか注目している。

そして2022年8月10日(水)は、なんといっても日本時間21時30分の米CPIに注目。市場予想は前年比8.7%(前回は9.1%)。EUR/CHFのショートは継続。他の通貨ペアは2022年8月10日(水)夜の米CPIの数字を確認したいところだが、基本ユーロクロスは戻り売り。

▽ユーロ/スイス の日足チャート

220810nishiharaL
(画像=羊飼いのFXブログ)

*:当記事は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。