ESG(環境・社会・ガバナンス)は、投資家にとっても大手企業にとっても、投資先や取引先を選択するため、企業の持続的成長を見るための重要な視点になりつつある。各企業のESG部門担当者に、エネルギー・マネジメントを手がける株式会社アクシス・坂本哲代表が質問を投げかけるスタイルでインタビューを実施した。ESGに積極的に取り組み、未来を拓こうとする企業の活動や目標、現状の課題などを紹介する。

クライアント企業へのサステナビリティ経営支援サービスなどを通じて、企業のESGに関する取り組みをサポートしているPwC Japanグループ。パートナー支援の現場を通じて感じる、日本企業の脱炭素化社会の実現への現状について、専門家である坂野氏と岡田氏に話を聞いた。

(取材・執筆・構成=山崎敦)

PwC
坂野 俊哉(ばんの としや)
―― PwC Japanグループ サステナビリティ・センター・オブ・エクセレンスエグゼクティブリード。PwCサステナビリティ合同会社。

20年以上の戦略コンサルティング経験を有し、企業の経営戦略、事業ポートフォリオ、事業戦略、海外戦略、アライアンス・M&A(PMIを含む)、企業変革などのプロジェクトに多数携わる。特に、企業の経済的価値に加え、環境・社会的価値を向上させるためのサステナビリティを軸にしたトランスフォーメーションを支援。サステナビリティビジョンと中期経営計画との連動、中長期的な視点での業態やビジネスモデルの変革などの活動に注力している。生命保険会社、ブーズ・アンド・カンパニーを経て現職。著書に『SXの時代』『2030年のSX戦略』(共著、日経BP)。
岡田 晃幸(おかだ てるゆき)
――PwC Japanグループ サステナビリティ・センター・オブ・エクセレンス シニアマネージャー。PwCサステナビリティ合同会社。

25年以上の気候変動・エネルギー関連コンサルティング経験を有し、特に京都メカニズム・二国間クレジット制度などの排出権取引ビジネス・コンサルティング、エネルギー事業会社の事業ポートフォリオ・事業戦略、エネルギー事業の海外展開支援、再エネ導入・調達支援など、企業の気候変動対策を中心としたサスティナビリティ向上に向けたプロジェクトに多数携わる。大手シンクタンク、銀行を経て現職。
坂本 哲(さかもと さとる)
―― 株式会社アクシス代表取締役

1975年6月21日生まれ。埼玉県出身。東京都にて就職し、24歳で独立。情報通信設備構築事業の株式会社アクシスエンジニアリングを設立。その後、37歳で人材派遣会社である株式会社アフェクトを設立。38歳の時、株式会社アクシスの事業継承のため家族と共に東京から鳥取にIターン。

株式会社アクシス

エネルギーを通して未来を拓くリーディングカンパニー。1993年9月設立、本社は鳥取県鳥取市。事業内容は、システム開発、ITコンサルティング、インフラ設計構築・運用、超地域密着型生活プラットフォームサービス「バード」運営など多岐にわたる。
サステナビリティ経営では経済価値、社会価値、環境価値の関係性が重要

目次

  1. サステナビリティ経営では経済価値、社会価値、環境価値の関係性が重要
  2. 脱炭素化社会を見据えた顧客のリスクマネジメント
  3. 規制、技術、価値観が形作る脱炭素経営の未来
  4. 金融との結びつきがエネルギーの見える化を加速させる

サステナビリティ経営では経済価値、社会価値、環境価値の関係性が重要

アクシス 坂本氏(以下、社名、敬称略):PwC Japanグループ様のESG(サステナビリティ)活動における考え方(基本方針)や、取り組みに関して、簡単に履歴をご紹介下さい。また、PwC Japanグループ様のサービスの特徴や強み、支援する上でのリスクの考え方などもあわせてお聞かせください。

PwC Japanグループ 坂野氏(以下、社名、敬称略):PwC Japanグループはグローバルにネットワークがあり、150カ国以上で20万人以上の従業員がいる組織体で、パーパスとして「社会の重要な課題を解決する」というものを掲げています。

経営ビジョンとして「The New Equation」というものがあります。これは、「Sustained Outcomes」、すなわち現在そして将来にわたって価値を生み出し続けるためのゆるぎない成果がPwC Japanグループがサポートしている企業や世の中で生まれるようにサービスを提供させていただくと同時に、「Trust」、信頼がより高まっていくということを、支援していくというものです。

この「The New Equation」に関して、私たちは「Trust=Sustained Outcomes」と考えているという前提があります。

その中でサステナビリティとは何かと考えた時に、もう少し全体的に捉えた結果を簡単にご紹介させていただきたいと思います。

世の中には「環境価値、社会価値、経済価値」という3つの価値があります。かつて、それらはバラバラで、企業はまず経済価値を高め、そこから環境価値や社会価値を高めていく、という時代が長く続きました。しかし、次第に3つの価値が重なってくるようになり、2000年代には3つの価値を同時に実現することが求められるようになりました。

そして、2010年以降には3つの価値は立体的な関係性になります。すなわち、地球という環境価値の上に社会価値が、社会価値の上に経済価値があるという構造です。環境なくして社会なし、社会なくして経済なし。「親亀コケたら皆コケる」ということです。

PwC Japan
(画像=PwC Japanグループ)

3つの価値は、こういった立体的な構造になっていると考え、環境価値や社会価値を毀損することなく維持増強することを前提にして経済活動を行っていきます。

親亀と子亀、つまり環境価値と社会価値は毀損されているのが現状です。地球温暖化をはじめ、いろいろなことが起きていますが、なぜそうなったのかといえば、一番上に乗っている孫亀である、経済価値が原因です。

企業の経済活動上は算入されない外部への負荷は「外部不経済」と呼ばれます。たとえばCO2の排出などですが、こういった外部不経済をまき散らしていたのが今までの経済活動です。「地球は大きいので吸収してくれる」と考えられてきましたが、どうもそうでもないらしいということがわかってきました。そのため、これからは外部不経済を取り込んだ経営、事業に変容していかなければなりません。

外部不経済を取り込むにはコストや投資の必要があるので、経済価値が減ると思われがちです。しかし、外部不経済を取り込んでも、なおかつ経済価値を創出し、成長していくような新しい経営、事業に変わっていかなければいけません。これはとても大変なことで、時間もコストもかかります。

そのため、外部不経済を内部化するためには事業領域の変更、バリューチェーンの見直し、KPIの再設定、資源配分の長期的な見直しなど、やることは山積しています。これらを明日からすぐに実行するのは不可能なため、会社を変革、トランスフォームしていく必要があります。

結局、サステナビリティ経営が何なのかというと、「サステナビリティトランスフォーメーションを行っていく」というアジェンダのことだと考えています。それを仕切るのは、一部門ではなく、会社の社長やCXOの皆さんです。
そのため、クライアントにどのようにサービスを提供していくかという視点で私どもも組織を見直していきました。

現在、PwC Japanグループでは、コンサルティングやM&Aアドバイザリー、アシュアランス、税務、法務と、いろいろなビジネスラインがあります。グループの中で横ぐしとなるサステナビリティのハブ機能を作り、それぞれの持つ専門性をいかしてサステナビリティ活動を展開していきます。

また、クライアントに対してサステナビリティアジェンダを議論し、提供していくハブ機能として「サステナビリティ・センター・オブ・エクセレンス(CoE)」を発足しました。

サステナビリティトランスフォーメーションのとらえ方があるかと思いますが、大きく3つの領域に分かれています。

まず、ストラテジー。

もうひとつは、バリューチェーンを改革する、KPI設定やシステムを変える、組織や人事評価の体系を変えていくなどの狭義の意味でのトランスフォーメーション。

そしてもうひとつがレポーティング。資本市場に対して正しい情報を開示するということです。

サステナビリティ計画のマルチステークホルダーに対するマネジメントというふうに捉えていただければ分かりやすいかと思いますが、ストラテジー、トランスフォーメーション、レポーティングという3つの中で、さまざまなサービスを展開しています。

PwC Japan
(画像=PwC Japan)

対応すべきサステナビリティ課題に関しては、環境課題と社会課題に大きく分けられます。今は環境課題としてのカーボンニュートラルとかネットゼロというのが一番大きな問題になっているかと思いますが、環境課題は、気候変動、水、資源と廃棄物(リサイクル)、そして生物多様性の4つだと考えています。

社会課題は、おおむね人権に関係したものです。身体的人権には虐待などがあります。精神的人権というのは自分が自分らしく生きていくということです。LGBTQなども精神的人権に入ります。

社会的人権とは人間が人間らしく生きるということで、教育などへのアクセス、貧困からの脱出などがあります。日本で言えば、高齢者のウェルビーイングが挙げられるかと思います。

こういったさまざまな課題は相互に独立しているのではなく因果関係もあるというふうに捉えることが重要で、今はCO2が一番大きいですが、だんだんと複合的に重なり合っていくことで企業が向き合うべき問題が広がっていると考え、日々活動しています。

脱炭素化社会を見据えた顧客のリスクマネジメント

坂本:「脱炭素社会」という世界的な大きな流れは、PwC Japanグループ様のビジネスにどのような影響を与えましたか。または、現在も与えていますか。

岡田:脱炭素社会は、競合他社もお客様も、金融も政府も、皆で挑むことが大切だと思っております。

脱炭素社会の実現に向けたコンサルティングでは、サポートする事業会社に応じて、大きく2つに分けて考えています。

1つは、エネルギー企業や重電メーカー、自動車メーカーといったエネルギーそのものやエネルギーを多消費機器を作る企業です。もう1つは、エネルギーの需要家の方です。双方で脱炭素に向けた潮流などの影響は違うため、私どものアプローチも異なります。

まず、エネルギー企業やエネルギー多消費機器のメーカーについては、本業そのものにリスクがあると考えています。たとえば、化石燃料エネルギーについては需要が大幅にシュリンクしていくリスクがありますし、メーカーについてはガソリン自動車のような化石燃料を使う機器や発電機器などの需要が低下していきます。

このように、化石燃料関連の事業については大幅な需要悪化リスクがありますが、一部は顕在化してきていると考えています。

エネルギー多消費機器メーカーに対しては、そうしたリスクがどの程度、さらにいつごろ顕在化するか、というようなリスクシナリオをしっかりと分析するというところから始めて、リスクの顕在化に対して事業ポートフォリオをどう変革していくのかというコンサルティングサービスを提供することにより、お客様をサステナブルな方向に導くというサービス提供をしています

もう一方でエネルギー需要家については、本業そのものへの影響はそれほど大きくないところが多いです。ですが、バリューチェーン全体を低炭素化するというところのニーズはかなり顕在化してきています。

具体的には、工場に再エネを導入したい企業もかなり顕在化してきておりますし、そうした生産拠点だけではなくて、調達先についても同様に低炭素化する動きも顕在化してきています。

特に調達先のような上流に対しては、GHG排出量の見える化や再エネ導入などを共同して進めるような仕組み作り、またはそのためのアクションプランなどをコンサルティングとして提供し、クライアント企業のバリューチェーン全体の低炭素化を推進しているところです。

規制、技術、価値観が形作る脱炭素経営の未来

坂本:DXやIoTといった技術が進み、スマートシティのような構想が実現しつつあります。そのような来るべき社会に向けて、他社のサステナビリティ経営支援の際にはどのようなアドバイスを行っているのでしょうか?

岡田: スマートシティやスマートグリッドは「低炭素なエネルギー需給の仕組みを作る」動きであると認識していますが、DXやIoTの面では、大きく分けて2つの軸で捉えています。

1つは、再エネのようなエネルギーリソースの分散小型化の必要性が高まってきているという流れ。もう1つは、DXやIoTによる双方向化と蓄電機能を加えることによってスマート化が進んでいるという流れです。

企業の経営という側面で見れば、クライアントによって異なる部分が多々あります。

たとえば、スマートシティやスマートグリッドといった事業を行う分散型のエネルギー事業者に対して、これまで日本では電力の託送は制度上できませんでした。しかし、現在、これを可能にする方向で法規制の改正が進んでいます。法制度の動向を踏まえたビジネスモデルの構築に対するニーズが高く、私どももその支援をしております。

将来的には、蓄電池を活用したバーチャルパワープラントなど、スマート化しつつエネルギーを最適利用することが求められると思いますので、その方向性でのコンサルティングソリューションを提供しています。

坂野:少し抽象度を上げたお話になりますが。脱炭素経営の未来を見るといったとき3つの大きなドライバーがあると思っています。

1つめは、規制です。厳しくなっていくのか、スコープの評価がどうなるのかはしっかりと見ていくしかありません。

2つめは、技術やイノベーションです。あるテクノロジー会社のCXOやマネージャーの皆さんとディスカッションしたときに「SXやDXはどのような関係にあるのか」という話が上がりました。結局、SXというのはアジェンダです。DXというのはそれを解決するものなので、車の両輪のようにSXとDXは両方必要になります。

テクノロジーというものは、すでに行く末が見えているものもあれば、長い目で見れば水素などのブレークスルーがないと活用できないものもあります。こちらも今後の動向を見ておく必要があります。

3つめに、人の意識や価値観です。当然、脱炭素化は企業が推進しなければならないことですが、環境価値を維持してくというのは国民全員、世界の全員の責任です。脱炭素社会というものを自分事として捉えられるかどうかにかかっていると思います。

世の中の知識や価値観の変容は、今後、Z世代が中心になってくるでしょう。これから10年間、どんな意識や価値観でアジェンダに対して向き合うのか、見ていく必要があるかもしれません。

「法規制」「技術」「価値観」を見据えながら、これからの経営を考えていかなければいけないと思っています。

▽質問に答える坂野氏

坂野氏

坂本:ヨーロッパではすでに行われている「ピアツーピアの電気の売買」は、今後、日本でも浸透していくと思いますか?

岡田:将来的に進むと考えています。10年後くらいでしょうか、法制度が整えばピアツーピアが進む素地はできるかと思います。

消費者が自ら参加して、微力ながらも世の中の脱炭素を進める活動をするような環境をどのように作っていくのかも大切でしょうし、その中で太陽光発電や蓄電池のコストがさらに低下し普及することが必要です。そうした状況が実現しさらに法制度が整えば「自分のところで余った再エネ電力を足りない/蓄電池を持っている人に売る」といったピアツーピアの売買が浸透するのではないでしょうか。

坂本:再エネのコストに関して伺います。再エネの導入=コスト増、という課題が付きまとっています。そのため、「まずは再エネより省エネ」という企業が多いという印象です。PwC Japanグループ様がコンサルティングされている企業様も同様の印象でしょうか。

岡田:確かにコスト増になるケースは多いでしょう。しかし、メーカー側から再エネ導入を取引の条件などされている部品メーカーは、導入しないことで逆に事業がシュリンクするというリスクにさらされます。コストを抑えながらの、再エネ導入に関するご相談はかなり多くなってきています。

坂本:エネルギー価格の高騰や、再エネの価格が安定していない課題に加えて、半導体不足の影響を受けて、太陽光発電所の設備を導入する際のコストはかなり上がってしまっています。投資の段階では判断がつかず、現在は様子を見ている企業が多い印象です。PwC Japanグループ様としては、再エネ導入のコスト増に対して今後どのようになっていくと予測しますか。

岡田:非化石証書の制度改定があり、値段が3分の1に下がりました。短期的に見れば、非化石証書のみを買ってきて「再エネ導入しています」という導入が進むのではないかなと見ております。

しかし、証書を買ってくるだけでは株主や一般消費者へアピールすることができませんから、「コストは高くても太陽光パネルを導入したり、再エネ発電事業者から購入する」というお客様も増えていくでしょう。

金融との結びつきがエネルギーの見える化を加速させる

坂本:PwC Japanグループ様はコーポレートサイト上で「アフターコロナの時代においては、これまでよりはるかに優れたESG報告と適切な情報開示が求められる」と記載されています。

脱炭素社会の実現を目指すにあたり、どのようなエネルギーをどのように消費しているのか、透明性のあるデータを把握して公表することが大切になってくると考えます。消費しているエネルギーの「見える化」の意義についてどう捉えていますか。 

岡田:「消費しているエネルギーやCO2排出量等の見える化」は、金融に繋がることによって社会が動くと考えています。CO2の削減や再エネの利用の増加は義務的な目標ではなく、あくまで政府や民間が自主的な目標を掲げて取り組むもので、進捗や結果が見える化されていろんな主体がレビューすることによりさらに促進されるという仕組み、いわゆるプレッジ・アンド・レビューがうまく機能し始めている段階だと思います。

プレッジ・アンド・レビューが上手く機能するためには、大きく2点が重要です。

1点目は、野心的な目標を掲げてリードするトップランナーが存在することです。国レベルで言えば、EUがそうだと思っています。

2点目は、目標や取り組み状況を「見える化」して、相互監視するとともに、さらにそれを金融に結びつけていくというところです。それがないと、脱炭素化という枠組みはうまく回っていかないと考えています。つまり、GHGや再エネの「見える化」は、プレッジ・アンド・レビューのエンジンのような機能という認識です。

「見える化」した情報を開示して投資家を惹きつけられれば、資金調達コストの低減に繋がります。事業にプラスに働くので、より低炭素の方向に事業活動を展開していこうと思えるでしょう。脱炭素化に向けて金融が大きな役割を果たすためには、「見える化」というのは必要不可欠であると考えています。

▽質問に答える岡田氏

岡田氏

坂野:冒頭に親亀子亀理論のお話をさせていただきました。「親亀や子亀がこけそうになっている」ということをNGOや国際機関は何十年も前から言い続けてきました。ここにきて、ようやく1つのうねりになって伝わってきたと状況です。

私がNGOや国際機関の立場だったと仮定した時、サステナブルな世界を作っていくためにどのような規制やルールを使っていこうかと考えたことがあります。サステナビリティに関する諸々のソフトローというのは、金融機関を対象にして作られているので、お金の流れが変われば世の中が変わるという大前提、メタ戦略になると思います。

そのため、金融機関に対してさまざまな規制を作れば、その結果としてお金の流れが変わり、企業も変わっていく。その鍵になるのが「見える化」ですね。

岡田:こちらから、アクシス様にご質問させていただきます。

アクシス様の「見える化」のサービスは、企業をターゲットにしていると理解していますが、限られた地域や個人レベルでの「見える化」も対象にされていますか。

坂本:アクシスでは、再エネを作る側と、その経路、使う側の「見える化」を行っています。

経路の部分は、地域電力とか自治体も含めてトレーサビリティをするためにシステムを導入させていただいています。トレーサビリティをする、ということは、それを使う側に当てはめれば結果的に「見える化」ができるということです。

地域電力などは、発電所からより詳細なデータを取得して、再エネがどこの由来なのかということをしっかりトレーサビリティしていきます。個人は、もっと簡単な仕組みとして「見える化」しています。対象としては、企業さんも発電事業者も個人も、ということになります。

岡田:アクシス様の見える化のシステムは、GHGの削減、GHGの排出量など、どういったところを「見える化」するというコンセプトなのでしょうか?

坂本:CO2の削減の見える化に関しては、計算式をシステムに入れて目標数値から割り出すタイプです。再エネの方は、発電所のデータから引っ張ってくる、かなり詳細なデータになります。

▽質問に答える坂本氏

坂本氏

岡田:「見える化」のシステムに発電量や電力の予測機能を組み合わせて、最適化を図ることができれば素晴らしいと思うのですが、今後、実装を考えているものはありますか。

坂本:予測機能を使った最適化については、実装の予定があり、システムは準備されています。今後の戦略の1つになっていくと思います。

岡田:住宅向けに「見える化」の情報を提供することも可能ということでしょうか。

坂本:はい。導入実績はありませんが、技術的には可能です。

坂野:坂本社長が「『見える化』のシステムに関する事業をやろう」と思ったきっかけを教えていただけますか。

坂本:ある取引先から「太陽光発電所を事業としてやっていきたい」という相談がありました。その当時、発電所を計測するシステムはあっても、状況を監視するシステムはありませんでした。

「発電所を作るのであれば、監視は重要だ」という話をさせていただいて、そのシステムを私たちが手がけたことがきっかけになって、再エネ分野に参入することになりました。

坂野:サステナビリティは1社だけではできませんし、地方自治体などと一緒になって、皆でコネクティブに行ってくってことが成功の鍵だと思います。

坂本:私たちはIT企業なので、どうしてもスマートシティを実現するにあたりITだけの観点になってしまうというところもありましたが、昨年11月末に鹿島建設さんと提携させていただいて、より実現性を持った会社さんと一緒になってIoTの側面で知見を蓄えながら活動を続けていきます。