この記事は2022年8月26日に「CAR and DRIVER」で公開された「F1次世代パワーユニット競争が動いた!アウディ、2026年からF1参戦を発表」を一部編集し、転載したものです。
アウディが2026年からF1参戦することが発表された。ファンにとっては喜ばしいニュースであるとともに、彼らがどのような狙いを持ち、またどのような成果を目指すのか、今後の動きに注目だ。
アウディがF1参戦を発表した理由と背景
2022年8月26日、F1第14戦ベルギーGP(スパ・フランコルシャン・サーキット)のプレスカンファレンスで、アウディが「2026年からF1に参戦する」方針を発表した。
アウディの発表によれば、「ドイツ国内でF1のパワートレーンが開発されることは、ここ10年間で初めて」だという。2026年はF1のパワーユニットの規則が変更になる。これをアウディは、先進技術を追求し成果をアピールする絶好のチャンスと判断したようだ。
2026年からはじまる、次世代パワーユニット競争
2026年から、F1におけるパワーユニットの電力の利用量がアップすることになり、燃料は持続可能性100%のタイプを使用することに決まった。電気を使った出力(MGU-K=運動エネルギー回生システム)は350kWまで引き上げられる。
エンジン(1.6リッターターボ)の出力は400kW程度と予想されているので、トータルでは約750kW(1,020ps)が見込まれる。F1は電動化とカーボンニュートラルを追求する高性能マシンでの戦いになるのである。
法規制によるプレッシャーのもとで電動化を急速に進める自動車メーカーにとって、これは魅力的なモータースポーツといえる。
また、開発費に一定の制限が加えられ、シーズン中に使用できるパワーユニットの数量も規制される。信頼性の高いユニットを、効率よく開発できるかどうかという競争という側面もあり、総合的な技術力が問われることになる。
アウディ製パワーユニットの供給先チームは現時点では未公表
アウディが開発したパワーユニットが、どのチームに供給されるのかは現時点では未公表。「年内には供給チームを明らかにする」という。
「モータースポーツはアウディのDNAにとって不可欠な要素だ、F1はアウディ・ブランドをアピールするグローバルなステージであり、研究開発の観点からは極めてチャレンジングな場になる」とアウディはコメントしている。
「F1は変貌を続けている、アウディはF1を積極的にサポートしていきたい。アウディのF1プロジェクトとアウディの技術開発チームは、相乗効果が上げられるだろう」
モータースポーツ界の雄、アウディのF1でのパフォーマンスはいかに
アウディのF1パワーユニットは、ノイブルク・アン・デア・ドナウ(アウディ本社があるインゴルシュタット近郊の古都)にあるアウディスポーツの拠点で開発される。ノイブルクではすでにF1エンジンやモーター、バッテリーのテストが進められている。
アウディはWRCやWEC、ル・マン24時間、DTM(ドイツツーリングカー選手権)、フォーミュラEなど多くのモータースポーツで多数の優勝を重ねてきた。
「F1はアウディにとって、次のメジャーなマイルストーンになる」とF1プロジェクトを統括するジュリアス・シーバッハ氏は語った。
F1ファン、モータースポーツファンにとっても、こうやってさまざまなメーカーが参戦し、互いにしのぎを削る競争が繰り広げられることは、レースの面白さに直結するわけで大歓迎だろう。今後のさらなる動きに注目したい。
(提供:CAR and DRIVER)