マイクロプラスチックが与える被害

マイクロプラスチックは、海洋流出によって環境や人体に影響を与えるとされている。

環境に与える影響

プラごみの浮遊による海洋汚染はもちろん、海中のポリ塩化ビフェニル類などの「残留性有機汚染物質(POPs)」を吸着、蓄積したマイクロプラスチックを、海洋生物が誤飲するといった悪影響を及ぼす。

魚類や鳥類がマイクロプラスチックを誤って食べると、消化器系の障害や栄養吸収の妨げ、さらには生殖能力の低下などを引き起こす可能性がある。また、これらの影響は食物連鎖を通じて広がり、最終的には人間の食品安全性にも影響を及ぼす恐れがある。

人体に与える影響

マイクロプラスチックは食品や水、空気を通じて人体に摂取される可能性があり、体内で蓄積するとさまざまな健康問題を引き起こす恐れがある。例えば、粒子が消化器官や血液中に入り込むことで内分泌系や免疫系の乱れを招き、アレルギーや炎症反応を引き起こす懸念がある。

マイクロプラスチックの人体への直接的な影響はまだ完全には解明されていないが、人体への潜在的なリスクは無視できない重要な課題だ。

マイクロプラスチックの発生防止に必要なこと3つ

マイクロプラスチックの削減や発生防止には何が必要なのだろうか。

1.マイクロプラスチックの発生源や影響度の調査

マイクロプラスチックは、発生源はもちろん具体的にどのような悪影響を環境や人体に与えているのか解明されていない。これらを科学的な視点で分析、調査して発生源や流出対策を行うことが重要だ。

2.プラスチックごみの排出量削減が重要

使い捨てプラスチックごみの生産や使用を減らし、排出量を減らすことも重要だ。ペットボトルやレジ袋、プラ容器などのごみが多ければ海洋に流出する可能性も高まるため、欠かせない対策の一つである。

3.マイクロプラスチックそのものの使用を止める

一次マイクロプラスチック削減も重要であり、製品開発や製造の段階で使用しない設計が求められる。また、発生してしまったマイクロプラスチックの回収方法も確立しなければならない。

企業の取組事例

環境省の『マイクロプラスチック削減に向けたグッド・プラクティス集』では、さまざまな企業の取組事例が紹介されている。

・スズキ株式会社:船外機に取り付けるマイクロプラスチックの回収装置の開発
・株式会社ダイセル:セルロースを原料としたマイクロビーズの代替素材開発
・JFE エンジニアリング株式会社:水処理装置によるマイクロプラスチック回収する仕組みの検討
・住友ゴム工業株式会社:スポーツ施設で使用する人工芝からのプラスチック流出対策
・日本化学繊維協会:衣服などの洗濯時に発生する繊維くずの測定試験方法の確立と国際標準化
・ミズノ株式会社:プラスチック製パイルの耐久性を向上させた人工芝「MS Craft」の開発
・レンゴー株式会社:生分解性のあるセルロース系マイクロビーズ「ビスコパール」の開発