中小企業でも取り組めるマイクロプラスチック流出対策

製品の開発・製造を行うメーカー以外の中小企業でも、さまざまなアプローチによってマイクロプラスチックの流出対策はできる。ここでは、比較的容易に取り組める活動を紹介する。

廃棄物の管理方法の改善

事業所内で発生する廃棄物を適切に管理し、再利用可能な素材は一般ゴミと分別管理してリサイクルに出すことで、マイクロプラスチックの流出を減らすことができる。

リサイクルすることで新たなプラスチックの製造料も減らせるメリットもあるため、ゴミ箱を分ける、ペットボトルの蓋は別途回収するなど、基本的なことから始めてみよう。

事業所内でのプラスチック使用量削減

事業所で使用する事務用品や食器など、日常的に使用する消耗品にプラスチックの使用を減らすことも大切だ。

例えば、使い捨てのプラスチック製品を使わず、再利用可能な代替品に置き換える、ペットボトル飲料ではなくマイボトルの使用を奨励するなど、自社の状況に合わせてできることから取り組もう。

従業員教育による意識改革

従業員に対して、マイクロプラスチックの問題に関する教育を行い、環境に対する意識を高める取り組みも欠かせない。

どんな活動も、従業員の協力を得られなければ期待した効果は得られない。日常業務の中での環境に優しい選択を奨励し、従業員のマイクロプラスチック削減の積極的な活動への表彰や報奨金の支給を行うなど、モチベーションアップへの配慮も大切だ。

マイクロプラスチックに目を向けてSDGsを達成しよう

SDGsへの関心が高まる中、製造業以外の一般企業経営者にもマイクロプラスチックの発生・流出防止への意識改革と目標達成のための計画・実行が求められている。環境省のグッド・プラクティス事例なども参考に、マイクロプラスチック削減への取り組みを検討してみはいかがだろうか。

Q&A

マイクロプラスチックとは何なのか?

直径5mm以下の微小なプラスチックのことで、マイクロプラスチックの主要物質は、PEやPET、PPなどさまざまである。マイクロプラスチックは、製造段階で元々小さなサイズで作られている一次マイクロプラスチックと、大きなプラスチック製品が環境中で分解されて生じる二次マイクロプラスチックに分類されている。

マイクロプラスチックの何が悪い?

マイクロプラスチックの海洋表層浮遊による海洋汚染や、海洋中のPCBsやDDTs、HCBなどの「残留性有機汚染物質(POPs)」を吸着して海洋生物を媒介とした拡散による環境汚染につながることが懸念されている。

マイクロプラスチックは水生生物によって摂取され、食物連鎖を通じて生態系に蓄積し、生物の生存や繁殖、発育に悪影響を及ぼす可能性がある。また、小さな生物ならば、誤飲によって消化器官に物理的損傷を受ける恐れもある。

マイクロプラスチック汚染の原因は?

製品段階で5mm以下の微小サイズのプラスチック、生産工程で使用されるマイクロビーズなどの「一次マイクロプラスチック」の流出や、プラスチック製品やそのごみなどが海や川などに流出し、紫外線や熱などで粉砕した「二次マイクロプラスチック」が海洋汚染の原因にとなっている。

マイクロプラスチックは人体に有害か?

人間が残留性有機汚染物質(POPs)の蓄積されたマイクロプラスチックを誤飲した海洋生物を食べることで、内分泌系や免疫系などに何らかの健康被害を引き起こす懸念があるとされている。プラスチック製品には内分泌を乱したり生殖機能に悪影響を及ぼしたりするさまざまな添加剤が含有されている。具体的な影響はまだ調査段階だが、マイクロプラスチックが体内に蓄積され続けることは好ましくないとされている。

マイクロプラスチックの回収は難しい?

マイクロプラスチックは直径が5mm以下、場合によっては数マイクロメートルに達するほど非常に小さいため、通常のフィルターや網では捕捉が困難だ。また、海洋や河川、土壌など広範囲に分散しているため、局所的な回収作業では効果が限定的である。

マイクロプラスチックの回収には、海流や風を利用してマイクロプラスチックを集めるフローティングデバイス、排水処理施設などでの微細なメッシュサイズを持つフィルターの使用などの試みが行われている。

文・隈本稔(キャリアコンサルタント)

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