本記事は、台場史貞氏の著書『「私にはムリ!」と思い込んでいる人のための 不動産投資の基本』(秀和システム)の中から一部を抜粋・編集しています
東京の物件で不動産投資をするのがベストだと聞きましたが、それぞれの地元の都市のほうが、馴染みがあってはいいのではないでしょうか?
ほとんどの人がご存じのように、東京は人口の増加を見ても、他の地域を圧倒しています。なぜ東京の物件で不動産投資するのがいいのでしょうか?
その理由は、人が圧倒的にたくさんいることが、家賃収入を得る不動産投資にはまず欠かせないことだからです。
人口は減少したとしても、東京都心には賃貸需要がある
しかし、その東京であっても、今後、人口の増加率は頭打ちになることは周知の事実です。
核家族化を超え、1人住まいが加速している東京では、夫婦、親子、さらにパートナーとでも呼ぶべき人も含めて、単身者もしくは2人世帯の割合がさらに増えていくことが予想されています。
その東京での不動産投資において、都心のワンルームマンションの購入を選択しておけば、ある程度の人口減少による賃貸住宅需要の減少分もカバーしてくれます。
東北、東海、関西、九州など日本全国の地域で、大都市と呼ばれるような場所と東京を比べたとしましょう。各地の県庁所在地の多くが人口数十万人レベルです。
それに対して東京は1,000万人レベル。人口の状況だけ見ても、他の地域の大都市は東京にはまったくかないません。
敷金・礼金・更新料なども東京が優位に
私自身も不動産投資を始めた当初は、地元(愛知県名古屋周辺)のアパートから調査を始めました。
ところが、新築アパートはある程度は入居者で埋まっていたものの、築10年を経過したようなアパートでは、入居率が50%程度であり、完全に投資対象としては成立していませんでした。
また、東京を購入すべき大きな要因となるのが、敷金・礼金・更新料といった家賃以外の収入が、下の表のように他の地域と比べて明らかに優位だからです(この表は、私が調べた敷金・礼金・更新料の結果をわかりやすく表示したものです)。
不動産投資家として家賃以外の収入も得られる地域が多い
この表は次のことを示しています。
◎ 不動産投資家として家賃以外の収入も得られる地域が多い △ 不動産投資家が家賃以外の収入を得られる地域と得られない地域が相半ばする × 不動産投資家として家賃以外の収入を得られない地域が多い
不動産投資家としてみれば、敷金・礼金・更新料は賃借人から投資家自身が受け取ることになるので、結局のところ、収益と同じ意味を持つものです。更新料は、2年ごとに入るボーナスのようなものと考えてもいいでしょう。
逆に、敷金や礼金が得られなければ、賃借人が退去したときの改装や次の入居者募集にかかわる広告料は、すべて不動産投資家自身の懐からの持ち出しとなってしまいます。
また、敷金・礼金を入居時に受けておくことには、家賃が低い近隣の物件に転居されてしまうことを抑止する効果もあります。
たとえ3,000円家賃が低い部屋が近くにあっても、2カ月分にあたる敷金・礼金を次の転居先に支払うとなると、更新料1カ月分を支払ってでも、そのままとどまることになりやすく、家賃を値切られにくいという面もあります。
実際に、私自身は東京に住む入居者さんに、更新の際に家賃を値切られることもなく、そのまま更新していただけることがほとんどです。不動産オーナーの立場からすれば、本当に優しい方が多い。それもありがたい面です。
ただし昨今のコロナによる短期的な要因により敷金・礼金の状況は悪化してきている地域もありますが、また元に戻るものと考えています。
同じマンションの別の部屋のオーナーは好敵手!?
余談になりますが、ワンルームマンション経営で最も大きな競争相手は、同じマンション内にある別の部屋だということをご存じでしょうか。
同じマンション内にある別の部屋だと、賃借人が引っ越しする際の手間も大幅に省けます。もし敷金・礼金の支払いがなければ、少しでも家賃の安いほうに退去移転してしまうことは容易に予想されます。
しかし、住んでいただいていた部屋のオーナーとしては、同じマンション内にある別の部屋に転居されると、他の地域の別のオーナーの部屋に転居されたのと同じことです。
したがって敷金・礼金のない地域で投資した場合、特に景気の悪い時期になると、近隣の家賃情報を根拠にした家賃値下げ圧力に悩まされることにつながります。
たとえ自分の購入したマンションに敷金・礼金が存在していたとしても、その近隣地域が敷金・礼金のない、いわゆる〝ゼロゼロ物件〟が多ければ、競争の原理からしていずれ敷金・礼金がなくなっていくと思っていたほうがよさそうです。
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