本記事は、台場史貞氏の著書『「私にはムリ!」と思い込んでいる人のための 不動産投資の基本』(秀和システム)の中から一部を抜粋・編集しています
知っておきたい不動産投資のしくみと手順
ここでは、不動産投資をこれから始める人向けに、まず、そのしくみ・全体像を概観しておきます。不動産投資のいちばんの基本は「投資家が不動産を購入し、その不動産を人に賃貸し、家賃収入を得る」ことです。
もちろん、不動産投資には家賃収入ではなく、不動産を売買して売却益を得る投資手法もあります。ですが、ここでは私の行っている「家賃収入を得る不動産投資」のしくみを見ていきます。
目標を設定して物件探しを行う
家賃収入を得る不動産投資は博打ではありません。儲かった・損を出したと一喜一憂する投機でもありません。
その不動産に住む賃借人の賃貸需要に応える社会性のある取り組みでもあるため、まず、なぜ不動産投資を行うのか、不動産投資を行って何をしたいのかといった目標を大まかでもよいので設定しておくとよいでしょう。
特に、いつ頃、どのくらいの家賃収入を得るようにしたいのかによって、頭金をいくらくらい用意したらよいか、どんな物件を選んだらよいか、どのような不動産会社と取引したらよいかなど、投資の手法が変わってきます。
不動産投資の目標を大まかにでも決めると、次は不動産業者探しです。
不動産業者探しについては、インターネットで検索して情報を集めたり、不動産投資セミナーに参加したり、不動産業者がまとめた本を参考にしたり、実際に不動産業者を覗いてみたり、いろいろな方法でアタリをつけていきます。
詳細はキリがないので省きますが、この不動産選びにはコツがあります。特に留意したいことは、次の2点です。
・自分の投資スタイルと合致した不動産業者に相談してみる ・一度相談するとしつこく電話連絡したり会おうとしたりする不動産業者は避ける
不動産業者と話をするなかで、業者も物件も絞られてくる
バットを振らないと、球にはあたりません。遠慮なく、物怖じせず不動産業者の門を叩いてみましょう。不動産業者がこちらを「客にならない冷やかし」と思えば相手にされませんし、「お客になってくれそうだ」と思えば、相談に乗ってくれます。
「客になるか・ならないか」、すなわち業者にとって儲かる相手かどうかの判断は、とてもシビアです。もし不動産業者に「客にならないから、帰ってほしい」と言われかねない対応をされても、こちらは悪いことをしているわけではありません。「縁がなかった」と割り切ります。
不動産業者から物件照会を受けるなど2〜3回、情報を得るようになれば、自然に業者は絞られてくるものです。そうやって自分が信頼できる不動産業者に絞り、より深い相談をしていきます。
不動産業者からいくつかの物件照会がある頃には、不動産業者はこちらの本気度や予算感、意思決定力や優柔不断さを見抜くようになります。もちろん、こちらも相手の不動産会社を信用・信頼し続けてよいかなどが見えてくるでしょう。
そうやって物件を絞ることができたら、物件の購入に進みます。
当然ながら、不動産投資によい物件には、喉から手が出るほどほしい不動産投資家がたくさんいます。まさに物件の選定は時間勝負。〝決められない性格〟の人は結局、不動産投資の土俵には立てないこともあり得ます。
「これだ!」と思ったら買付けを申し込む。その思い切りのよさを身につける必要があるのです。
物件の買付け段階では、不動産投資の事務もたくさん
不動産投資の手順としては、買付けの前後にさまざまな事務があります。不動産業者から物件照会を受け、その内容に不明なことがあれば確認します。
不動産業者は不動産に関して仲介業務をすることが多く、その場合は不動産業者から物件を購入するわけではなく、売主がいます。
不動産業者は、その売主に物件内容の詳細を確認・照会するケースも多く、そのため時間がかかるケースもあります。
「物件のこと」とともに、「お金のこと」も確認しておく
もちろん買付けの段階では、不動産投資家のほうで現地確認するケースも多いもの。現地確認の際は自分が住むわけではないので、他人目線・想定できる入居者目線で確認するようにします。
最寄り駅の往復では違う道を使い、入居者がいると室内を見られることは少ないので、マンション周りが雑然としていないかなど、住環境もチェックしておきたいものです。
ワンルームの場合は端的に言うと、
「キレイ好きな独身女性が1人で住むのに、不衛生・不安全・不便はないか?」を基準に確認するとよいでしょう。独身女性が「住んでもいいかな」と思えるような物件であれば、それほど悪い物件ではないはずです。
買付けの段階では、頭の隅にお金のことがよぎっているはずです。東京都心のワンルームの場合、物件価格は大まかに言って1,000万円くらいはかかります。
そのほかに、所有権の移転登記にかかわる費用や、不動産業者の仲介手数料などもあります。それらをすべて現金で用意できるか、一部を現金で用意して借入れで対応するか、全額借入れとするか、悩みどころです。
借入れる場合は、どの銀行・ローン会社から借入れるかも検討事項なので、不動産業者の担当者と話し合ったり、銀行に提出する書類を用意したり、審査を受けたりと各種の事務があります。審査の結果、融資を断られるケースもあるので、次善の策も想定しておきましょう。
どの金融機関から融資を受けるかは、自分で探して決めるほか、不動産会社が紹介してくれるケースもあります。
不動産投資は管理で決まる!?
現金で購入する場合は、それを決めた直後、融資を受ける場合は、審査に通って融資が決まった直後の段階で、「どの管理会社に入居者の管理を依頼するか」を決めていきます。
不動産の業態はとても複雑で、不動産取引においては売主側業者と買主側業者がいますし、両方を仲介するケースもあります。管理会社にも物件を管理する業者もいれば、入居者を管理する業者もいます。
それらの不動産会社が入居者の管理業務を兼業しているケースもあれば、管理中心に事業展開している不動産業者もあります。また、不動産投資の場合、投資家自身が自分で管理する自主管理もあります。
不動産は文字どおり、動かず末長く維持されるべきもので、長持ちさせるには管理が重要です。よく「物件は管理を買え!」と言われますが、不動産投資も同様で、不動産投資を続けるには管理がモノをいうのです。
その管理業務を不動産業者に委託する場合は、その不動産業者と管理契約を結びます。まだ正式には契約が締結され、その物件のオーナーがその投資家になったとは言えない段階もあるのですが、物件や管理に関して説明を受けたり契約書を確認したりと、不動産投資家としても〝書類の山〟との格闘になります。
これら一連の手続きを行い、不動産業者が仲介して売主・買主が売買契約書を締結すれば、晴れてその物件は投資家のものとなります。不動産投資家としてデビューする〝準備〟は整ったことになるわけです。
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