空飛ぶ車とは
経済産業省が公表している「“空飛ぶクルマ”の実現のための航空機電動化技術」によると空飛ぶ車の定義は、「電動垂直離着陸型無操縦者航空機」としている。簡単にいえば電動かつ滑走路なしで垂直離着陸でき自動運転可能な特徴を持つ航空機のことを指す。これらは、eVTOL(electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)技術をベースとしている。
基本的に空と陸の両方で運転できる航空機を空飛ぶ車と呼ぶ。しかしなかには、陸路の走行はできないタイプのeVTOLも開発されている。垂直で離着陸できるため、道路がなくても離発着できる広場があれば十分だ。都市部では、空飛ぶ車により渋滞や環境負荷の問題が軽減でき、過疎地域や離島では現在よりもきめ細やかな輸送や交通手段として期待できる。
空飛ぶ車の仕組み・種類
空飛ぶ車は、ドローンを大きくしたようなプロペラタイプか、翼を持つタイプに大別できる。各タイプの特徴は以下の通りだ。
プロペラタイプ
大型のドローンで人間が乗車できる。電動で簡単に操作でき、タイヤを搭載して道路の走行も可能とするタイプだ。プロペラやタイヤの位置・格納方法などにはさまざまなバリエーションがある。翼を持つタイプ
地上を走行する際は、翼を格納して走行の邪魔にならないようにできる。イメージとしては、翼を格納できるセスナ機のようなタイプだ。
ヘリコプターや飛行機との違い
空飛ぶ車は、ヘリコプターと比較していくつかの革新的なメリットを有している。これらの特徴を「電動」「自動操縦」「垂直離着陸」の3点に焦点を当てながらメリットを見ていこう。
1.電動
「電動」の面では、ヘリコプターがジェット燃料を用いるのに対し、空飛ぶ車は電池で駆動する。これにより、騒音が大幅に低減し環境への配慮も可能になる。また整備費用の削減も期待でき、運用コストが大幅に下がることは間違いない。2.自動操縦
現在では、空飛ぶ車はパイロットによる操縦が欠かせない。しかし将来的には、完全自動での操縦が実現される見込みだ。パイロット不要で運航できるようになれば人件費の削減につながり、利用者側にとっては、運賃が安価になるというメリットを享受できる可能性が高い。3.垂直離着陸
空飛ぶ車は「垂直離着陸」という特徴があり、滑走路が不要だ。そのため飛行機よりも少ないスペースでの離着陸が可能。都市部や離島、山間部などの限定されたスペースでも活用できる。山間部や都会など、離着陸のためのスペースが確保しにくい場所でも運航できる柔軟な移動手段としての価値が高まる見込みだ。
これらのメリットを背景に国土交通省は、都市部の送迎サービス、離島や山間部での移動手段、観光客輸送、災害時の救急搬送など多様な用途への応用を期待している。