空飛ぶ車の最新情報
2024年に入ってから空飛ぶ車関連の最新情報が増えている。ここでは、空飛ぶ車の最新情報をまとめて紹介していく。
世界では2024年パリオリンピックで商用運航開始
2024年には、パリで五輪が開催される。そのタイミングに向けて空飛ぶ車の商用運航が開始される予定だ。Volocopter(ドイツ)とJoby Aviation(アメリカ)が手がけるこのプロジェクトでは、持続可能な電動垂直離着陸機(eVTOL)を使用し、パリ市内での空中交通サービスを提供するという。
この空中交通サービスでは、パリの5空港で離発着し、接続ルート(3パターン)と観光用の往復ルート(2パターン)を用意する。このサービスが実現するとパリは、欧州初の電動垂直離着陸機サービスを提供する都市となる。もちろん、このサービスはパリ地方の公共交通システムに追加され、一般市民も利用可能だ。
日本では2025年の大阪万博が初の商用運航となる見込み
一方、日本では2025年の大阪・関西万博に向けて空飛ぶ車の商用運航が現実味を帯びている。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、安全な運航管理システムの開発を推進しており、Volocopterが製造した試験機「2X(ツーエックス)」(2人乗り)による飛行実験が成功した。
この飛行実験では、電池とモーターでプロペラを駆動させ、離着陸にかかった時間や外部との交信状況などのデータを収集した。またJoby Aviationは、トヨタ自動車が3億9,400万米ドルを出資しているが、大阪万博で空飛ぶ車を運航予定のANAホールディングスは、Joby Aviationの機体を使用するという。
さらに兵庫県は、万博会場(夢洲)と尼崎市南部の「フェニックス事業用地」を結ぶルートが候補に選ばれたと発表している。これらの取り組みは、空飛ぶ車の商用運航が現実のものとなるための一歩となるだろう。
被災地支援目的の開発も
2024年元日に発生した能登半島地震は、石川県能登地方で最大震度7を記録し、被災地では厳しい避難生活が続いている。残念ながら2024年1月時点で、すぐに運用できる空飛ぶ車は日本に存在しない。しかしこのような状況にも対応できる空飛ぶ車の開発を進めるベンチャー企業がスカイリンクテクノロジーズだ。
スカイリンクテクノロジーズは、VTOLの開発を行っている航空系ベンチャーである。2019年9月に経済産業省から空飛ぶクルマ開発のベンチャー企業としては初となる「航空機、無人航空機の製造事業許可」を得た。また2022年6月には経済産業省の「成長型中小企業等研究開発支援事業」に採択されてもいる。
スカイリンクテクノロジーズの開発する空飛ぶ車は、被災地での物資輸送や救助活動など、さまざまな場面での活用が期待されている。特に道路が寸断されたり、陸路が困難であったりする場合でも空から迅速にアクセスできるため、災害時の救援活動に大きな貢献が期待できる。スカイリンクテクノロジーズの取り組みは、技術の進歩だけでなく社会への貢献にもつながる重要な一歩ともいえるだろう。