海外における空飛ぶ車のプロジェクトや開発企業

海外における空飛ぶ車の研究開発は、どのような状況だろうか。ここでは、海外における空飛ぶ車の代表的なプロジェクトや開発企業を紹介する。

アウディらがエアタクシーの試験運用に着手

2018年6月、ドイツの大手自動車メーカー「アウディ」は、エアタクシーの試験運用に向けたプロジェクトを発表した。民間企業だけでなく、ドイツ政府やフランスの航空宇宙機器開発製造会社「エアバス」も協力し、ドイツのインゴルシュタット地域で試験運用を開始するとした。

2018年11月、アウディはドローンEV自動運転コンセプトカー「Pop.Up Next(ポップ・アップ・ネクスト)」のプロトタイプを初公開した。このプロトタイプは、空路・陸路両方の運行が可能な空飛ぶ車の基本機能を備えている。

Uber AIR

ライドシェアやフードデリバリーで有名な米国のUber社も空飛ぶタクシー「Uber AIR」の実現を目指して開発を進めている。2017年には、NASA(米国航空宇宙局)と提携し、低空飛行で高い安全性を保つ車両を開発。2018年5月には、垂直離陸が可能で時速約240~320キロメートル、最高飛行高度約600メートルまで可能な4人乗りのコンセプト機を発表している。

Uber AIRは、2023年にも空飛ぶタクシーをローンチする予定だ。

Volante Vision Concept:アストンマーティン社製 SF映画のようなデザイン

英国の高級スポーツ車メーカー「アストンマーティン」は、2018年7月にSF映画のようなデザインの車体が魅力的な「Volante Vision Concept(ヴォランテ・ビジョン・コンセプト)」を発表。アストンマーティンは、高級自動車メーカー・ロールスロイスや英クランフィールド大学などと提携し高級モビリティソリューションとしてヴォランテのコンセプト機を開発した。

ヴォランテは、垂直離着陸が可能で3人まで乗車できる機能性とデザイン性の高い外観が大きな特徴だ。

EHang:中国国内で商用パイロット取得 実用化へ大きく前進

中国では、空飛ぶ車を開発している「EHang(イーハン)」が研究開発から実用化へ大きく前進している。EHangの開発した「EHang AAV」は、1回の充電で最高時速約130キロメートル、約30キロメートルもの距離を移動できる。2020年5月には、eVTOL(空飛ぶ車)の商用パイロット運用の許可を取得し実用化へ大きく駒を進めた。

またEHangは、航空ロジスティクスサービスの試験運用にも着手している。

Bell Helicopter(ヤマトホールディングス株式会社や住友商事株式会社とパートナーシップ)

米国の大手ヘリコプター会社「Bell Helicopter」は、日本勢とも関係の深い空飛ぶ車の開発企業だ。2019年には、eVTOL「Bell Nexus」を発表している。日本のヤマトホールディングス株式会社(2018年)や住友商事株式会社(2019年)ともパートナーシップを締結し、2020年代半ばまでの実用化を目指す。

ヤマトホールディングス株式会社とは、物流に関するノウハウを活かした空の物流分野で、住友商事株式会社とは無人ドローンや空飛ぶタクシーを活用した新規サービスを開拓し実用化する予定だ。