空飛ぶ車が実現したときに考えられるデメリット

メリットの多い空飛ぶ車だが、実現後に考えられるデメリットもある。以降では、空飛ぶ車の3つのデメリットについて解説していく。

安全性への懸念

まずは、法律や体制の未整備による安全性への懸念である。空飛ぶ車を安全に運用するためには、早急な法整備や体制構築が必要だ。しかし日本は、最新技術に対応した法整備や体制構築に多大な時間がかかりがちである。そのため空飛ぶ車の技術が確立したタイミングでは、安全性を確保できるだけの体制が整わず導入が遅れることも予想されるだろう。

騒音問題

空飛ぶ車は、大気汚染や二酸化炭素排出量の面で従来の車や航空機に比べて優れている。しかし2022年時点で開発されている空飛ぶ車は、かなり音が大きく空の交通量が増えると騒音問題も発生しかねない。空飛ぶ車が多く飛行する都市部では、より静かに運行できる機体の開発が求められる。

操作性の問題

空飛ぶ車の操作性は、現在の自動車に比べて難易度が高い。少なくとも現在の自動車並みの難易度で運転でき一般人でも手軽に操作できるようにならなければ、なかなか一般に普及しないと思われる。運転しやすくするには、自動運転技術のさらなる向上など技術的なブレイクスルーが必要だ。

空飛ぶ車実用化へ向けた日本政府のロードマップ

日本は、空飛ぶ車の研究開発で数年遅れている状況だ。しかし2018年には、官民協議会「空の移動革命に向けた官民協議会」が設立され官民を挙げて空の移動革命に取り組む体制は整備された。官民協議会のメンバーは、国土交通省と経済産業省、大学関係者などの専門家、日本航空やBoeing Japanなど民間の航空関連企業、空飛ぶ車の開発を手がける株式会社SkyDriveなどの企業で構成される。

国が制定した「空の移動革命に向けたロードマップ」では、2019年より試験飛行・実証実験を実施する計画だ。実証結果や事業者の提案するビジネスモデルを参考に各種制度や体制を整備する。2020年半ばより2023年にかけて事業をスタートするとともに、モノの移動から実用化を目指す予定だ。2030年代には、実用化の拡大を予定している。

自治体の取り組み

空飛ぶ車の研究開発や実証実験に力を入れている自治体も少なくない。例えば福島県では、2020年3月、南相馬市に空飛ぶ車などの開発拠点として「福島ロボットテストフィールド」を開所した。敷地内には、空飛ぶ車の試験飛行に必要なヘリポートなどの設備が整えられている。愛知県も空飛ぶ車やドローンの実証実験の支援に力を入れており、支援実績は60社400回以上だという。

愛知県豊田市は、2019年5月に空飛ぶ車を開発する株式会社SkyDriveと開発に関する連携協定を締結した。また大阪府は、2025年の大阪・関西万博で空飛ぶ車を飛行させる計画を立てている。その他にも都市よりも豊かな地方を目指す三重県や自動運転技術などの支援に熱心な東京都も空飛ぶ車の研究開発などに熱心な自治体だ。