ジェンダー不平等を解決するための対策やアイデア

では、上記のようなジェンダー不平等を解決するには、どのような施策に取り組めば良いだろうか。ここからは、中小企業が考えたい対策やアイデアを紹介する。

1.社員の意識改革に取り組む

上層部がいくらジェンダー不平等に取り組んでも、従業員にその意識がなければ細かい男女差別が生まれてしまう。そのため、まずは以下のような方法で、社員の意識改革に取り組むことが必要だ。

○社員の意識改革につながる取り組み
・各管理職に対して研修や指導を行う
・セミナーや講演会などに社員を参加させる
・上層部が常にジェンダーレスを意識する

会社全体の意識を変えるには、「なぜジェンダー平等が必要なのか?」といった基礎から学ぶ必要がある。大まかな施策を打ち出すだけでは浸透が難しいため、意識改革につながる取り組みは中長期的に取り組まなくてはならない。

2.コミュニケーションやスローガンを見直す

社員の意識改革としては、コミュニケーションやスローガンの見直しも効果的だ。例えば、ジェンダー・ギャップ指数が高いスウェーデンでは、「he(彼)」や「she(彼女)」の代わりに「hen」という代名詞が浸透しつつある。

細かい言葉遣いや会社のスローガンを見直すだけで、男性社員はジェンダーレスを意識し、女性社員は快適に過ごしやすくなる。ハラスメント防止にもつながるため、性差をイメージさせる言葉は徹底的に排除したい。

3.ダイバーシティまで見据えた採用環境・教育環境を整える

ダイバーシティとは、性別や人種、国籍、言語など、企業があらゆる多様性を受け入れることである。ジェンダー不平等と同じく、現代ビジネスでは重要なテーマであるため、最終的にはダイバーシティまで見据えた施策を考えたい。

具体的な施策としては、多様性に捉われない管理職・リーダー職の登用や、人材教育に差をつけない仕組みなどが挙げられる。また、近年では消費者に目を向けて、あらゆるユーザー(妊婦や外国人など)を想定したテストを行う企業も増えてきた。

ダイバーシティの実現は、外部からの評価や優秀な人材の獲得につながるため、ジェンダー不平等とセットで施策を考えることが重要だ。

4.男性にとってのジェンダー不平等を考える

ジェンダー平等を実現しようとすると、多くの企業は女性中心の施策に偏ってしまう。ジェンダー平等はあくまで「男女を平等に扱うこと」を意味するため、男性の立場で施策を考えることも重要である。

例えば、男性社員に集中していた残業を分担する、育児休業を取得しやすい環境をつくるなど、男性本位の施策にも効果的なものはある。うまく工夫をすれば、女性が働きやすく稼ぎやすい仕組みづくりにもつながるはずだ。

ジェンダー平等は女性を優遇することではないため、その点に留意して施策を考えたい。