この記事は、2022年11月21日に三菱UFJ国際投信で公開された投資環境ウィークリーを一部編集し、転載したものです。全体をご覧になりたい方は、こちらをご覧ください。加えて、デイリーレポートについては、mattoco lifeをご覧ください。
2022年7~9月期GDPは予想外のマイナス成長
2022年7~9月期の実質GDPは前期比年率▲1.2%と4四半期ぶりのマイナス成長となりました(図1)。事前予想は同+1.1%であったため予想外のマイナスでした。
内訳をみると純輸出の大幅なマイナス寄与が響いており、内需は4四半期連続で拡大し堅調を維持しています。2022年7~9月期はコロナ感染が再拡大するも行動規制は行われず、人流の大幅な落ち込みには至りませんでした。
一方、輸出は増勢を維持するも輸入が大幅に増加しました。先行きは人流回復の継続やインバウンド消費の拡大、大規模経済対策による押し上げからプラス成長を見込んでいます。
輸入額の大幅増加で貿易赤字が拡大
2022年10月の貿易収支は原数値で▲2兆1,623億円(2022年9月▲2兆943億円)、季節調整値で▲2兆2,992億円(同▲2兆368億円)と赤字が拡大しました(図2)。
季節調整値でみると輸出は前月比+2.2%(2022年9月+3.4%)、輸入は+4.2%(同▲0.4%)と輸入が2カ月ぶりに増加しました。円安進行で輸出価格が上昇し輸出額は膨らむも、輸出数量は中国向けが大幅に減少し全体的に伸び悩んでいます。
一方、輸入額は円安進行や資源高でしばらく高水準を維持するとみられ、貿易赤字の局面は長引くと考えられます。
消費者物価前年比は一段と加速
2022年10月の全国・消費者物価(生鮮食品除く)前年比は+3.6%となり2022年9月の+3.0%から大きく加速、1982年2月以来の高水準となりました。政府の燃料油補助金の効果でエネルギー価格の押し上げ寄与は縮小するも、コア物価の押し上げ寄与が大きく拡大しました(図3)。
全国旅行支援の影響により宿泊料が下落するも、外食や飲料などの値上げが響き、食料や耐久財価格の伸びも大きく加速。
加えて昨年の携帯電話通信料引き下げに伴う物価押し下げ効果がはく落し、大手損保の火災保険料引き上げも影響しました。年内は3%台後半の伸びが続く見通しです。
株価は4週ぶりに下落
先週の株価は利益確定などの売りに押され、東証株価指数は週間で▲0.5%と4週ぶりに下落しました。米金融引き締めへの警戒感は依然強く、業種別にみると繊維製品、医薬品が大きく上昇、一方で精密機器や石油・石炭製品は大きく下落しました。
2022年7~9月期企業決算はほぼ出そろい、1株当たり利益は過半の企業が事前予想を上回り増収増益となり、今年度通期も増益が見込まれています。予想PERが平均的水準を下回り割安感が継続する中、堅調な業績予想が株価を下支えする見通しです。
向吉 善秀