みなさんは、『さわかみ投信』についてご存じだろうか?さわかみ投信は、直販投信会社(証券・銀行などの販売会社を通さずに、ファンドの組成・運用から販売までを全て行う会社)の中でも、運用資産残高が国内最大規模を誇る、日本初の直販投信運用会社である。今回はそのさわかみ投信が運用する『さわかみファンド』についてその運用方針や特徴などについて解説・分析を行う。
さわかみファンドの口座数
現在、『さわかみファンド』に投資している投資家はどのくらいいるのだろうか?直近において微減しているものの、年々口座数は着実に増加している。1999年に運用を開始した当初は487口座だったが、2013年には118,088口座と15年間で242倍という驚異的なペースで伸びてきた。また、前述した通り、日本の投資信託において資産残高を減らすことなく10年以上運用されているファンドは数えるほどしかない状況の中で、これほど長い期間1つのファンドに投資する人を増やし続けていることから、まさに「長期でじっくり運用する」という、さわかみ投信の理念が実現されていることが分かる。
ファンドのパフォーマンス
さわかみファンドの直近10年のパフォーマンスは日本株の大相場の際に売却に回ったため、トピックスを下回るパフォーマンスが続き年率3.76%と高い利回りとはならなくなっている。しかし、直近1年では21.61%と日経平均の値動きと近似する同ファンドの投資スタンスを鑑みると極めて高いパフォーマンスを打ち出していることが分かる。
さわかみファンドの投資理念
さわかみ投信は直販投信運用会社として、資産運用に対してどの様な理念を掲げているのだろうか? さわかみ投信HPによると、さわかみ投信は投資は本来、「長期でじっくり行うものだ」という運用スタンスを持っている。さわかみ投信がこのような考え方を抱く様になった背景として、日本の投資信託業界が長年抱えている問題があった。それは、日本の投資信託は必ずしも長期で投資するのに向く商品ではないということだ。
日本では、証券や銀行などの販売会社がその時々で話題性の高い商品を次々と売り出し、その度に新しい商品への乗り換えを投資家に勧めるため、運用資産残高を維持したまま何年も運用が続く投資信託は数えるほどしかないのだ。この様な背景から、さわかみ投信は投資信託での『長期運用』という理念を掲げ、販売会社を介さずに投資信託の直接販売を行う投資信託会社となった。そして、直販投信のメリットを生かし、手数料をできるだけ低く抑えた長期投資専用の投資信託『さわかみファンド』が作られたのだ。
ファンドの運用プロセス
『さわかみファンド』の運用手法は、『バイ・アンド・ホールド型』という手法だ。これは、経済の大きなうねりをとらえて先行投資し、その時点で最も割安と考えられる投資対象に集中的に投資する手法である。その投資対象資産の中で、将来価値から考えて市場価値が割安と考えられる銘柄に選別投資し、割安が解消されるまでずっと保有し続けるということだ。短期的な成績向上を狙うことなく、じっくりと投資対象の値上がりを待つ『バイ・アンド・ホールド』は、さわかみ投信の『長期運用』に最も適しているのではないだろうか。