この記事は2022年11月30日に青潮出版株式会社の株主手帳で公開された「リソルホールディングス[5261・プライム]施設運営と投資再生の2軸で黒字を堅持観光市場回復機に宿泊事業の復活期待」を一部編集し、転載したものです。


リソルホールディングスは「あなたのオフを、もっとスマイルに。」をスローガンに掲げ、ホテル、ゴルフ場、リゾート施設の運営から、投資再生、福利厚生、再生エネルギーと多角的な事業を展開する。

新型コロナ以降、ホテル運営事業が打撃を受けたが、ゴルフ運営と投資再生事業で支え、連結業績は黒字を確保した。観光市場の回復に伴い、ホテル事業の来期の復活を目指す。また、グループシナジーを生かして相互送客のための取り組みも進めている。

▼大澤 勝社長

リソルホールディングス
(画像=株主手帳)

新型コロナの影響で事業構造が変化

リソルグループが展開する事業セグメントは、「ホテル運営」「ゴルフ運営」「リソルの森(CCRC)」「福利厚生」「再生エネルギー」「投資再生」の6つ。事業間シナジーを発揮しながら、施設運営と投資再生の両軸で多角的に事業を展開している。

2020年3月期までは、ホテル運営が売上高の約50%を占める主力事業だった。しかし新型コロナの影響により、100億円を超えていたセグメント売上高は、約50億円まで半減した。

「ホテル運営事業は、直近2年間で計約46億円の赤字を出しました。ホテルの一本足打法だったら大変なことになっていた。連結で黒字を維持し、配当もできたのは、ゴルフ運営事業と投資再生事業で凌いだからです」(大澤勝社長)

2022年3月期の連結業績は、売上高209億200万円、営業利益6億8,500万円。セグメント別売上高比率は、ホテル運営23%、ゴルフ運営23%、リソルの森14%、福利厚生4%、再生エネルギー9%、投資再生27%(右図参照)。2020年3月期に約7%だった投資再生事業の比率が大幅に増え、グループの収益を支える事業構造に変化している。

赤字のゴルフ場を取得し付加価値つけて再生

同社が得意とするのが、ゴルフ場の投資再生だ。赤字のゴルフ場を取得後、バリューアップ型再生やリゾート型再生で黒字化する。経営判断により次のオーナーに売却するケースもある。ゴルフ場として再生できない案件に関しては、メガソーラー発電所転用型再生を行う。

2022年3月期は、旧ゴルフ場を用途変更し、販売用不動産としてゴルフ場敷地内に開発した「福島石川太陽光発電所第二設備」の信託受益権の一部を売却したことで、売上に大きく貢献した。

ゴルフ場の再生手段として、前期から本格的に取り組むのが、ゴルフ場でのプライベート空間と開放感の両立が図れる「フェアウェイフロントヴィラ事業」だ。フェアウェイ横に戸建てのヴィラを建設し、タイムシェアで一戸一口600万~800万円の会員権「ゴルフバケーションクラブ」を販売する。

「スパ&ゴルフリゾート久慈」を皮切りに、「瀬戸内ゴルフリゾート」でも新たなフェアウェイフロントヴィラを進行中。株式取得により4コースが今期新たに加わり、今後は計17コースで100戸以上の販売を目標にしている。

「赤字だった久慈のゴルフ場を黒字化できたのは、ヴィラを建てたからです。宿泊前提にお客様を呼び込めますから、都心から2時間半でも需要があります」(同氏)

「上質」鍵に宿泊型から観光型へ転換図る

宿泊施設は、コンセプトの異なるブランドを全国で50施設以上運営する。“ホテルリソル”ブランドを中心に、ワンランク上のくつろぎを提供する「ホテルリソルトリニティ」シリーズを6施設、健康やくつろぎを意識した「ホテルリソル」シリーズを12施設運営。その他、キャビン型ホステルやペット同伴ホテル、貸別荘など多様な宿泊サービスを提供する。

“ホテルリソル”ブランドでは、2022年4月に沖縄初進出となる「ホテルリソルトリニティ那覇」を開業。また、中長期滞在に対応する新シリーズ「ホテルリソルステイ秋葉原」も今秋に開業予定だ。今後も「上質」をキーワードに、宿泊特化ではない、付加価値を提供する観光特化型のホテルへ転換を図っていく。

昨年度は、コロナ以降に人気が高まったグランピングなど、密を避けた「疎」を切り口とした新たな宿泊サービスを拡充した。また、別荘の宿泊業務を代行し、1泊から長期滞在まで多目的に宿泊できるリソルステイ事業も本格的にスタートした。関東近郊のリゾート地を足掛かりに、2026年度までに500物件の展開を目指す。

「ホテル運営事業は、コロナ後に施設が4つ増え、インバウンドも戻れば来期には復活します。同事業だけで13億円弱の営業利益がありましたから、復活すれば大きく業績改善できます」(同氏)

会員向け共通アプリ開発で
相互送客を促進

今後、ストック収入として安定した伸びが期待されるのが、グループ会社のリソルライフサポートが展開する福利厚生事業だ。企業、団体の従業員、職員を対象に、福利厚生サービス「ライフサポート倶楽部」を提供しながら、グループ施設へ送客している。

さらなる会員獲得のため、2021年にアドバンテッジリスクマネジメント社(以下ARM)と資本提携を締結した。ARM社の国内シェアトップのメンタルヘルスケア対策支援および、病気などで休業しても所得補償される団体長期障害所得補償保険(GLTD)を、ライフサポート倶楽部のパッケージ商品として昨年から企業に提供している。

現在は、グループ会員を対象にした共通アプリの開発を進め、年度内のリリースを予定する。グループ全体の会員数は、ライフサポート倶楽部が約200万人、ホテルの年間宿泊者約100万人、ゴルフ場の年間来場者約50万人、リソルの森の年間来場者約20万人、計約370万人に及ぶ。

「この会員組織を、アプリで共通化することで、事業間の相互送客が促進できます。今はそのための顧客基盤の種まきの時期だと考えています」(同氏)

▼スパ&ゴルフリゾート久慈

リンクアンドモチベーション
(画像=株主手帳)

▼リソルの森グランピングエリア

リンクアンドモチベーション
(画像=株主手帳)

2022年3月期 連結業績

売上高209億200万円前期比 7.0%増
営業利益6億8,500万円同 34.8%減
経常利益7億8,500万円同 53.1%減
当期純利益4億7,400万円同 52.7%増

2023年3月期 連結業績予想
新型コロナウイルスによる影響を現段階において合理的に算定することが困難なことから未定

大澤 勝社長
Profile◉大澤 勝(おおさわ・まさる)社長
1966年8月生まれ。1990年東海銀行(現三菱UFJ銀行)入行。2006年リゾートソリューション(現リソルホールディングス)入社。2015年取締役執行役員F・D部長。2018年取締役執行役員管理部長兼お客様相談室長兼経営管理部担当。2021年取締役執行役員総務・経理担当兼お客様相談室長、リソルライフサポート代表取締役会長(現任)。2022年代表取締役社長兼社長執行役員(現任)。