敵に感謝ができるのも楽観主義者の強み

このような生き方の人は、いつも未来に向かって準備をしているので、目の前にあることに不安を感じることが少なくなります。また、精神状態も安定しています。この安定した精神状態による余裕が、不測の事態にも対応できる柔軟性を生みます。こうすることで、「やればできる」という自信がさらに強くなります。誰かをおとしめることなく、目標に向かってぐんぐん進んでいくことができるのです。

「何でも来い! 何か起これば、起こったときに対応する。そのために準備は怠らない」というのが、Fさんのスタンスでした。そして、「やればできる」の楽観主義の人ほど、悪い状況だけでなく、面白いことも逃さずキャッチできたりします。

同じような楽観主義者でも、「なんとかなるさ」という安易な考えの人には、こうした芸当は無理な話でしょう。

「やればできる」という信念を持っていた彼女だからこそ、「敵に感謝する」なんていうアクロバティックなこともできたのです。敵に心から感謝するなんて、言葉にするのは簡単ですが、やってみると意外にできないものです。

「自分の目標を定めて、現状を具体的に見据えながら、どうやったらそこにたどりつけるか」心を静かにして、それを分析してみることから始めてみましょう。

どんなに遠く見える目標でも一歩踏み出せば、必ずその目標に一歩近づくのです。

=世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた
中野信子
1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士、認知科学者。東京大学工学部応用化学科卒業。同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行う。科学の視点から人間社会で起こりうる現象及び人物を読み解く語り口に定評がある。現在、東日本国際大学特任教授、京都芸術大学客員教授。
著書に『脳はなんで気持ちいいことをやめられないの?』『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)、『サイコパス』(文藝春秋)、『空気を読む脳』『ペルソナ 脳に潜む闇』(講談社)、『キレる! 』『「嫌いっ! 」の運用』(小学館)など多数。また、テレビコメンテーターとしても活躍中。

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