本記事は、望月俊孝氏の著書『借金6000万円から復活した僕だから伝えられる 心のお金持ちになる教科書』(ポプラ社)の中から一部を抜粋・編集しています
永遠に勝ち続ける経営者が大切にしているただ1つのこと
経営者の仕事への強い好奇心(ワクワク)は、驚くほど会社の価値に影響を与えるのです。
1人の大成功者をご紹介しましょう※6。
※6:『Forbes JAPAN(フォーブスジャパン) 2020年2月号』*文中の評価額は2020年当時のもの
時価総額200億ドルのインターネット複合企業IAC(インタラクティブコープ)の会長であり、個人資産は39億ドルにものぼるバリー・ディラー。
彼のビジネス人生は常に輝いていました。
大学を中退し、芸能エージェンシーに入社。32歳の若さでパラマウント映画の会長兼CEOになります。そこで彼が出掛けた作品が「がんばれ! ベアーズ」。スポーツドラマの金字塔として日本でも愛される作品ですが、当時は前評判が悪い作品でした。それをハリーは、3,200万ドルのスポーツ映画の名作に仕立て上げたのです。
その後、映画会社の20世紀フォックスに移籍。熱烈なファンがいる社会風刺アニメ「ザ・シンプソンズ」のアニメを手掛けます。
まさに成功の絶頂でした。ところが、バリーは突如、会社を捨て、放浪の旅に出る決意をします。1992年、彼が50歳のときでした。
理由はただ1つ、「好奇心が薄れてきたから」。
しかし、そこからがバリーの伝説の始まりでした。
やがて彼は、妻がデザインしたスカーフが、テレビショッピングの専用チャンネル「QVC」で大量に売れた話を耳にします。娯楽としての映像メディアしか知らなかった彼には衝撃でした。
バリーは2,500万ドルを投じてQVCの経営権を獲得し、成長させます。
ところが、1994年にはバリーはこのQVCの経営権も手放します。彼には、これから来る巨大な潮流が見えていました。それが、「インターネット」です。
息子の話から「出会い系サイト」の存在を知った彼は、「これからはデート相手をオンラインでみつける時代がくる」と予見。ダラスの一業者だったマッチ・ドット・コムに投資をし、170億ドル相当の大企業「マッチグループ」に育てました。
さらには、代理店を通さない旅行のオンライン予約の増加も予見。2001年にはマイクロソフトからエクスペディアの支配権を購入します。
しかし、契約完了直後に大事件が起きます。「9・11のテロ」です。でも、バリーは、「人は生きていれば必ず旅をする」と、サインを拒みませんでした。
結果として、エクスペディアは200億ドル相当の大企業になりました。
いかがでしたか? 変化の激しいビジネス界で最初から最後まで大成功し続けることは奇跡に等しいことです。
QVC時代の共同創業者デビッド・ゲフィンは、バリーをこう評しています。
「バリーは常にプランを持っている。私は、彼が成功する姿しか見たことがない」
なぜ、バリーには幸福の女神が微笑んでくれたのか。そして、今も微笑み続けているのか。
それは、自分の「好奇心」を大切にして、安住することよりワクワクすることを選んだからです。
僕たちは誰でも、毎日のように幸福の女神に出会っています。
でも、いざワクワクを感じても、その「好奇心」を優先する勇気や備えがなくて行動を躊躇してしまったら、彼女を微笑ませることはできません。
「好奇心」とは、「好」きなことで「奇」跡を引き寄せる「心」です。
あなたがどんな立場にいるとしても、仕事の中での好奇心(ワクワク)を何より大切にしましょう。「商い=飽きない」なのです。
本当の豊かさ=「マネー・リッチ」×「マインド・リッチ」
バリー・ディラーの行動から、本当の豊かさを手に入れるヒントを学ぶことができます。彼の経歴をもう一度振り返ってみましょう。
彼は50歳のとき、成功の絶頂で仕事を捨て、放浪の旅に出たのでしたね。この行動に対して、あなたはどんな感想を持つでしょうか?
お金持ちだからそんな選択ができるんだ、と思うかもしれませんが、本当にそうでしょうか。彼ほどの実力があれば、たとえ好奇心が薄れてきたといっても、そのままビジネスを発展させ、稼ぎ続けることもできたはずです。
でも、彼はそれを選ばなかった。
ここで、「6つの豊かさ」を思い出してください。
お金の豊かさ(マネー・リッチ)だけを満たしても、それは豊かさの一部分でしかありません。
彼のような本物の成功者には、心の豊かさ(マインド・リッチ)を求めてさらに探求していく姿勢があります。
つまり、彼はもう一つの豊かさを手に入れるために、放浪の旅に出ることを選んだのです。
多くの人が、お金持ちになること、つまり「マネー・リッチ」を求めています。
もちろん、同時に「マインド・リッチ」も求めているのですが、「マネー・リッチ」を得るまではついついそのことを二の次にしてしまいます。
そして、僕自身もそうだったように、お金の魔力によって、他の豊かさを投げ捨ててでも「マネー・リッチ」だけに執着してしまいがちです。
もしくは、「マインド・リッチ」こそが重要で、「マネー・リッチ」なんてどうでもいい、と考えがちです。これを「マネー・リッチ」が手に入らないことの言い訳に使ってしまう人が多くいます。
でも、6つの豊かさは補完し合って成り立っています。「マネー・リッチ」だけ追い求めていると、幸せを維持できなくなり頭打ちになってしまいますし、「マインド・リッチ」だけを満たしているのでは、いつまで経っても目標達成ができないかもしれません。
ここで提案するのは「マネー・リッチ」×「マインド・リッチ」。
これこそが、本当の豊かさに欠かせないもので、豊かさを拡大していく鍵となるのです。
ジョージ・メイソン大学の調査・研究を思い出してください。
(1)「最も目標達成につながる人間の特性は何か?」 (2)「最も長く幸福を保つ人間の特性は何か?」 (3)「(1)(2)の効果を相互に調和させる特性は何か?」
その特性とは、好奇心があることでしたね。
つまり、幸せに目標達成し、本物の豊かさを手に入れるために最も必要な特性が、好奇心なのです。
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