本記事は、長倉顕太氏の著書『人生は28歳までに決まる! 30代を楽しむためにやるべき24のこと』(イースト・プレス)の中から一部を抜粋・編集しています。
理想の過去を「捏造ねつぞう 」しろ
同窓会には行くな
同窓会ほど無駄な集まりはない。
なぜなら、同窓会に招待されているのは過去の自分であって、今の自分じゃない。過去でしか繋がっていない人間関係なんてどうでもいい、と思ってほしい。
それに、社会的に成功している人で、同窓会に欠かさず出席してきたような人はほとんど存在しないだろう。
十分に成功した後で自慢するために行く人はいるかもしれない。でも、必死で人生を変えようとしている最中なら、同窓会に参加するヒマはないはずだ。
同窓会に足を運び、当時の知人に会うと、あなたは当時の自分を思い出す。周りが認識するあなたのキャラクターに合わせ、当時の自分を演じることになる。
そして演じているうちに、それが〝本当の自分〞であるかのように錯覚する。つまり同窓会に行くと、「過去の自分」が強化されてしまう。
思考パターンが過去の自分になれば、過去と似たような行動を繰り返すことになる。そうなれば、前進は望めない。
過去は捏造していい
私は、10歳のころに「大人の話は聞かなくていい」と気が付いて、以降は親や教師の言うことを聞かなくなったという記憶がある。
正直、この記憶が本当のものかは定かじゃない。数十年前の記憶なので、勝手にこうだったと思い込んでいるだけかもしれない。
でも、真実かどうかはどっちでもいい。
ただ、この記憶は「従来の価値観に
どうせ人の記憶なんて曖昧だし、過去なんて情報にすぎない。だったら、「こう生きたい」という理想と整合性のある記憶を持ち、「自分はこういう人間なんだ」と自己洗脳したってかまわないはずだ。
極端な話、過去はほとんど捏造なのだ。
これは、編集者時代に気が付いたことだ。著者が自分の成功体験を本の中で語っているとき、私は話を「盛る」ようにしていた。編集者として本を面白く仕上げなくてはいけないからだ。
もちろん、ウソや経歴詐称になってはいけない。ただ、とんでもなくすごいエピソードであるかのように表現を工夫して見せる。
たとえば営業に関する本で「この話術で契約がとれた」とあったなら、「契約がバンバンとれて、会社からも重宝された」に書き換える。事実を多少、誇張するわけだ。
すると、著者はセミナーなどでも「契約がバンバンとれて、会社からも重宝された」と話すようになった。営業のエキスパートである今の自分と整合性のある内容だから、そちらを真実だと思い込んでしまうのだろう。
面白いことに、「盛った成功体験」で記憶を上書きしてしまう著者ほど、その後も成功し続けている気がする。
過去を捏造し、「私はすごい」と自己洗脳をするくらいの人のほうが、世の中うまくいくものなのだ。
過去の延長線上で生きるな
学生時代のいじめや親からの虐待といったトラウマに悩むこともあるだろう。でも、そんな過去は「どうでもいい」と思ってほしい。たまたま、クソみたいな人間に出会ってしまっただけ。あなたのせいではないからだ。
それに、過去は情報にすぎない。当時あなたが苦しめられたのは事実かもしれない。でも現在進行形で起こっているわけじゃないのなら、その出来事はあなたの頭の中にしかない。
過去は情報にすぎないんだから、どうでもいい。「こうなりたい」という自分の姿と整合性のとれる記憶だけを持っていればいいし、整合性がとれるように捏造したっていい。
にもかかわらず、多くの人は、理想の生き方と整合性のある記憶を持つのではなく、過去と整合性のある生き方をしている。過去の通りに生きないと、周囲からも「どうした?」「らしくない」などと不審がられてしまうからだ。
そして、「これまでこうしてきたのだから、今回もこうしよう」と、安全策をとろうとする。人は、何も考えずに生きていると無意識に過去の思考パターンへと陥ってしまう。
だからこそ、過去の自分を強化させるものは意識的に避けてほしい。同窓会に行ったり、昔の写真を見返したりといった行動はおすすめしない。
映画『エターナル・サンシャイン』には、「記憶除去業者」が思い出の品を次々に廃棄していくシーンがある。そんなふうに、過去を想起させるものは人生から排除してしまっていい。
私たちは未来に向かって生きているはずだ。しかもその舞台は、現代という変化の激しい時代。過去の延長線上で生きることは、安全策どころか、リスクにしかならない。
私が「自己分析なんかするな」と言うのも、ここに1つの理由がある。
多くの場合、自己分析では過去の自分を思い出させ、掘り下げる。すると、そうして見つけた「やりたいこと」も、過去の思考パターンをなぞったものになりやすい。
過去の自分が思う「やりたいこと」に取り組んだところで、過去の延長線上の人生にしかならない。過去に囚われれば人生をアップデートすることはできず、時代にも取り残される。
「こうありたい」という理想をベースに、未来志向で生きよう。
理想像がなければ、過去を掘り下げる自己分析をするのではなく、「新しいこと」に取り組みながら探そう。それが、今を生き延びる唯一の方法だ。
学習院大学卒業後、職を転々とした後、28歳の時に出版社に転職し、編集者としてベストセラーを連発。今までに企画・編集した本の累計は1100万部を超える。
独立後は8年間にわたりホノルル、サンフランシスコに拠点を移して活動し、現在はコンテンツのプロデュースやこれらを活用したマーケティング、二拠点生活の経験を活かしたビジネスのオンライン化/テレワーク化のコンサルティング、海外での子育ての経験(とくにギフテッド教育に詳しい)から教育事業などに携わっている。
2015年からは若者に向けたコミュニティ運営も開始。グループコンサルティングや読書会を通じ、知識と経験の重要性を伝えている。
主な著書に『親は100%間違っている』『「絶望の国」でズルく賢く生きのびる』(光文社)、『「やりたいこと」が見つかる時間編集術』(あさ出版)、『超一流の二流をめざせ! 』(サンマーク出版)、『常識の1ミリ先を考える。』(サンクチュアリ出版)、『移動力』『モテる読書術』『GIG WORK』(すばる舎)などがある。
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