本記事は、長倉顕太氏の著書『人生は28歳までに決まる! 30代を楽しむためにやるべき24のこと』(イースト・プレス)の中から一部を抜粋・編集しています。
目的がないからこそ、可能性が広がる
とにかく「点」を打ちまくれ
スティーブ・ジョブズは、スタンフォード大学の卒業式で自身の経験をこう語った。
もし私が退学を決心していなかったら、あのカリグラフ(注:文字を美しく見せる技術)の講義に潜り込むことはなかったし、パソコンが現在のようなすばらしいフォントを備えることもなかった。もちろん、当時は先々のために点と点をつなげる意識などありませんでした。しかし、今ふり返ると、将来役立つことを大学でしっかり学んでいたわけです。(中略)将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々は今やっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。
(日本経済新聞『「ハングリーであれ。愚か者であれ」ジョブズ氏スピーチ全訳』2011年10月9日、注は筆者による)
有名な、「Connecting the dots」のスピーチだ。ジョブズが語ったように、あらかじめ計画して「線」を作ることはできない。
私の場合も、若いころに経験したギャンブルが役立った。編集者になったとき、私は「本がベストセラーになるかどうかなんて、まるでギャンブルじゃないか。それなら、オレが勝てないわけがない」と思ったのだ。だからこそ、他社がやっていない思い切った企画や売り方に挑戦できた。
ギャンブルですら仕事に繋がる。何がどんな役に立つかなんて、誰にもわからない。
だからこそ、目的がなくても、とにかくやってみることが大切だ。
28歳までは、「点」を打ちまくる期間。どう「線」になるかわからないからこそ、無理に1つの「やりたいこと」を探さず、あれこれ手を出すようにしよう。
「何をするか」は選り好みしない
あれこれ手を出せというのは、
「何をするか、選り好みするな」
ということでもある。
今やっていることが将来なんの役に立つかなんて、誰にもわからない。「これは仕事に繋がらないからやらない」とか「意味がないからやらない」とか、現時点で判断しようとしてはいけない。
むしろ、現時点で「役立つ」と思えるものは疑おう。現時点の自分が納得できるものが人生を変えることはないからだ。
また、とくに陥りやすいところだが、「好き嫌いで行動を決めない」というのも大切だ。
「好き」や「嫌い」というのは、現時点の自分の価値観だ。その好き嫌いを軸に行動してしまうと、現時点の自分の枠を越えることはできなくなる。
たとえば、私は毎月、国内を回って地方創生に関わる人に会いに行くようにしている。正直、出不精だから地方に行くのも気が乗らないし、知らない人に会うのも苦手だ。それでも続けていく中で人脈が広がってきたし、予想を超えて仕事のチャンスが現れることがある。
好き嫌いにとらわれず、行動する。そんな経験の数々が、自分をより広い世界へと導いてくれるだろう。
「ネタの宝庫」を目指せ
いろんな経験を積むことには、「面白い人になれる」というメリットもある。
サンフランシスコに住んでいたときは、日本での集まりに参加して「サンフランシスコから来ています」と言うと、それだけで興味を持たれた。
昆虫食専門レストランでタガメやセミを食べたのも、そのときは嫌々だったが、人に話すと面白がってもらえる(しかも、とても美味しかった)。
とくに、人があまりしていない経験は良いネタになる。「みんながやっているからやる」より、「みんながやっていないからやる」。それを指針に生きてみよう。
なお、海外に行ったり珍味を食べるのには金がかかるが、それが「新しいこと」なら、あまりケチらずにやってみてほしい。
堅実に生きようとする人は、若いうちから貯金や金融投資をしている。でも正直、安月給を貯めようと投資しようと、数十年後に大した差は生まれない。
私はよく、
「金は目に見えないものに使え」
と言っている。
目に見えるもの=ブランド品などで浪費するのは勧めないが、目に見えないもの=経験については、金はどんどん投資したほうがいい。金は後々稼げばいいが、経験はそのときしかできないものも多い。
また、経験は、自分次第で価値を何倍にもできる。つまり、経験のリターンは無限大なのだ。一方、モノは等価交換しかできない。モノはいずれ古くなるが、経験は時が経つほど発酵し、価値が高まっていく。
それに、ただ「金を貯めるために稼ごう」と思うより、「いろんな経験をするために稼ごう」と思うほうが、仕事へのエネルギーも湧いてくる。「ネタの宝庫」を目指して生きると、人生はどんどん充実していくはずだ。
学習院大学卒業後、職を転々とした後、28歳の時に出版社に転職し、編集者としてベストセラーを連発。今までに企画・編集した本の累計は1100万部を超える。
独立後は8年間にわたりホノルル、サンフランシスコに拠点を移して活動し、現在はコンテンツのプロデュースやこれらを活用したマーケティング、二拠点生活の経験を活かしたビジネスのオンライン化/テレワーク化のコンサルティング、海外での子育ての経験(とくにギフテッド教育に詳しい)から教育事業などに携わっている。
2015年からは若者に向けたコミュニティ運営も開始。グループコンサルティングや読書会を通じ、知識と経験の重要性を伝えている。
主な著書に『親は100%間違っている』『「絶望の国」でズルく賢く生きのびる』(光文社)、『「やりたいこと」が見つかる時間編集術』(あさ出版)、『超一流の二流をめざせ! 』(サンマーク出版)、『常識の1ミリ先を考える。』(サンクチュアリ出版)、『移動力』『モテる読書術』『GIG WORK』(すばる舎)などがある。
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