資金繰り表があれば資金不足に備えることができる

資金繰り表について詳しくみていこう。

資金繰り表とは

資金繰り表は、過去の実績と今後の見込みから現預金の動きを予想して資金の流れを管理・把握するためのものだ。その目的は、現預金の流れと残高の推移に特化して会社の経常収支を確認することにある。例えば資金繰り表上で現預金の残高がマイナスとなった場合は、企業の破たんを意味する。つまり資金繰り表では、最終の現預金の翌月への繰越残高は常にプラスとならなければならない。

銀行などで融資を受ける際は、現金の収支を担当者へ説明するために提出を求められることが多い。

【資金繰り表の例】

資金繰り表の例

なぜ資金繰り表が必要となるのか

資金繰り表は、手元の現金出納帳や預金通帳の入出金の記録を集計して、現金の入出金の流れをそのまま表に落とし込んだだけのものである。今後の入金予定や出金予定を厳密に反映させることができれば、資金繰りの管理・把握に役立てることができるだろう。

資金が不足して支払いが滞ってしまうと企業は破たんすることになる。そのような事態に陥らないためにも資金繰り表で資金の流れを常に把握し、事前に資金調達するタイミングの確認が重要だ。事前に資金不足になるタイミングが分かっていれば、資金繰りの悪化を回避できるだろう。

資金繰り表で資金管理をしていなければ、資金不足に備えた迅速な対応ができない。つまり資金繰り表を作成すれば、現預金の残高を今後も不足しないように管理できるため、将来の資金不足に陥ることなく安定した経営が期待できるのである。

資金繰りを把握しておけば資金繰り悪化時に備えることができる

毎月の試算表などで経営状況の確認はできるが、別途資金繰り表で資金状況を把握する必要がある。なぜなら資金不足になる前の段階で、迅速に対応できるからだ。

資金調達には、一定の時間を要するため、資金不足には迅速に対応しなければならない。例えば月末に売上の入金があるが、支払日は10日、給料日は20日など入金と支払いのタイミングによっては月末に資金が残る予定でも月の途中で資金不足に陥ることもある。利益を計上しているにもかかわらず倒産する「黒字倒産」の企業が発生するのは「勘定合って銭足らず」の状態だ。つまり日ごとの資金繰りを把握していないことが原因といえる。

なお支払日は、個別に把握する必要がある。リアルタイムで実際の数値を把握するには、状況に応じて週単位や日単位での資金繰り表の作成も検討したい。必要資金を調達する前に、資金繰りを常に把握し必要なタイミングに間に合わせなければ意味がない。資金繰り表により資金繰りを常日ごろから把握しておけば資金繰り悪化時に備えることができるだろう。