personal-95715_1280 (1)

「ラップ口座」とは、個人が証券会社や信託銀行と投資一任契約を結んで、資金の運用から管理までを任せることができるサービスです。主な投資対象は国内外の株式や債券、投資信託、不動産投資信託(REIT)など多岐にわたります。

日本経済新聞2014年6月28日によると、ラップ口座の残高は3月末時点で1兆3760億円に達し、前年3月末から8割増加し、契約件数は10万件になり2倍に増えました。リスク許容度に応じた資産の組み合わせの豊富さや、専門家に運用を任せられる安心感などが、資産家から高評価を得ています。この記事では、3社のラップ口座を比較します。

ラップ口座の魅力は、運用を専門家に任せて、希望するリターン・リスクの対象に分散投資できることなので、各社の投資対象やラップ口座の仕組みを見ていきます。


野村證券では、アクティブ運用かインデックス運用か選べる

まず、野村証券ファンドラップの体系は、1000万円から投資でき、複数のアクティブ運用専用投資信託で運用する「プレミア・プログラム」と、500万円から投資でき、複数のインデックス運用専用投資信託で運用する「バリュー・プログラム」です。プレミア・プログラムの投資対象にはオルタナティブが含まれ、為替ヘッジを行うことがあるという点が異なります。

そして、資産配分比率は3ヶ月ごとに見直します。固定報酬制の投資一任受任料は年率0.4104%であり、実績報酬併用制の投資一任受任料は年率0.2052%に運用益の積み上げ額の10.8%を加算し、ファンドラップ手数料は年率最大1.296%です。

特徴は、アクティブ運用またはインデックス運用というプログラム体系です。なお、「のむラップファンド」はファンドラップとは異なり、3タイプから選び、1万円から投資できるファンドです。

大和証券、多様なコースから選べる

ダイワファンドラップは、300万円から投資でき、運用スタイルを自分で選択する「マイ運用スタイル型」と、豊富なプランのなかから運用スタイルを提案してもらう「ベスト運用スタイル型」があります。

積極、やや積極、バランス、やや安定、安定という5つの運用コースのなかに、5つのスタイルがあり、選ぶことができます。たとえば、「安定運用コース」には株式・債券重視、ノン・エクイティ、ノン・リートなどのスタイルがあり、「積極運用コース」には日本重視や海外重視のスタイルがあります。そして、5000万円以下の契約資産にかかる手数料は年率1.512%です。ラップ口座の合計契約資産は5648億円で、ダイワSMAとラップ口座の契約残高は、2014年3月末において業界トップです。特典は、大和ネクスト銀行の定期預金金利が高くなる「ファンドラップ+円定期預金セットプラン」です。またダイワ・ダイレクトコースの方でも店頭で、ファンドラップとセットプランに申し込むことができます。

特徴は、コースによって運用を任せる程度が異なり、投資金額によって選べる運用スタイルが変わらないことです。また、コンサルティングコースより株式委託手数料が安いダイレクトコースでも、ファンドラップを申し込める点です。

三井住友信託銀行、利益・損失のラインを自由に設定

三井住友信託ファアンドラップは500万円から投資でき、増額は100万円以上からになります。契約期間は1年、3年、5年であり、1年のみ自動継続です。

リスク許容度が異なる5つの運用コースがあり、10種類から投資方法を選びます。120%、135%、150%のなかからプロフィットロック(利益確定機能)と、50%、65%、80%のなかからロスカット(損失確定)の設定をすることができ、設定したポイントに達すると、投資信託を売却して契約終了となります。途中で運用コースを変更でき、プロフィットロックとロスカットのポイントも変更できます。ヘッジファンドやコモディティに投資することもできるので、売建ての収益を狙うことができます。

固定報酬型の手数料は上限 年率1.512%を乗じた額で、成功報酬併用型の手数料は上限年率1.0044%の固定報酬に、運用成果の額の16.2%の成功報酬を加えた額となります。しかし、運用開始から2年を経過すると、次の四半期からは固定報酬率が3割引になります。

特徴は、利益確定・損失確定の機能と手数料割引があり、ヘッジファンドに投資できることです。そして特典は「人生安心パッケージ」で、40歳~65歳の方であれば、契約額500万円ごとに保険金100万円の団体ガン保険または団地介護保険の被保険者となることができます。保険料は信託銀行が負担するので無料です。

ポートフォリオの中身は

ポートフォリオの基本的な構成は共通していて、低リスク・低リターン目指す場合は国内債券の割合が最も多く、次に外国債券となっています。そして、ミドルリスクミドルリターンを目指す場合、外国債券の割合が最も多く、次に国内株式であり、ハイリスク・ハイリターンを目指す場合、外国株式の割合が最も多く、次に外国債券となっています。

しかし、各節で述べたように、それぞれコース体系が異なっていて特徴があります。各社とも、富裕層の方であれば、複数社のラップ口座に申し込むことができる最少投資額ですが、ダイワファンドラップのように、契約資産が上がるにつれフィーが安くなる手数料体系も見られます。

1年前と比べて、最少投資金額が下がるなど特典が増え、サービス内容が多様かつ、より使いやすくなってきています。一度「ラップ口座」での資産運用を検討する価値はありそうです。

(ZUU online)