本記事は、田中耕比古氏の著書『一番伝わる説明の順番』(フォレスト出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
残念な説明をする人は何が間違っているのか?
世の中には2種類の人がいます。
物事をうまく説明できる人と、うまく説明できない人です。
うまく説明できない人は相手から、
「何を言っているのかよくわからない」
「何が言いたいかもよくわからない」
「長々と話していたけど、つまりは○○ってことだよね」
などと言われてしまうことがあります。
一方、説明がうまい人の話を聞くと、それまであまりよくわかっていなかった事柄を理解できたりしますよね。あるいは、そういう人が話すと、プレゼンテーションがうまくいったり、営業の商談がまとまったり、雑談さえも盛り上がったりします。説明がうまいだけで、コミュニケーションは極めて円滑なものとなります。
この違いは一体なんなのでしょうか?
「頭のいい人は説明がうまい」と言われたりしますが、本当にそうでしょうか。
たとえば、大学教授。頭は間違いなくいいのでしょうが、大学の講義が退屈で眠くなったり、内容が頭に入ってこなかったりした経験のある人も多いと思います。
頭がいい人が話したからといって、授業がわかりやすいわけではないのですよね。
大学に限らず、学校の勉強の多くは退屈だと思われがちですが、わかりやすく面白く説明できる先生は、いつの時代も人気があります。
どの先生も「頭はいい」はずです。しかし、それがすなわち「説明する力も高い」ということにはなりません。
つまり、賢い人だからといって、必ずしも説明上手ではないのです。
ただ、ビジネスパーソンにおいては優秀な人は総じて説明上手です。
私は戦略コンサルタントとして仕事をしていますが、優秀なコンサルタントは、人に何かを伝えることが抜群にうまいです。
お客様のビジネスに数億〜数百億円もの影響を与えるような、大きな意思決定に関わる話題をお伝えするわけですから、当然といえば当然かもしれませんけれど。
それでは、説明上手になるための方法をお伝えする前に、残念な説明をしてしまう人の特徴と、そういう人は何を間違えているのかを見ていきましょう。
下手な説明は、相手に理解させるどころか、頭を混乱させてしまう
「説明する」ということには、常に「相手」が存在しています。
自分が伝えたい内容を、相手にしっかりと理解してもらうこと。
これが説明の目的です。
しかし、説明が下手な人がやってしまうのは、わかりやすいどころか、聞き手の頭の中を混乱させるような説明です。
聞けば聞くほど、よくわからなくなる―。
何が言いたいのかさえも、よくわからない―。
使っている言葉がわからない―。
あなたもそんな説明を受けたことはありませんか。こういう人は、相手から期待していた反応が得られないので、焦ってさらに説明を継ぎ足していくものの、一向にいい反応が得られず、その話はますます迷路のように迷い込んでしまいます。
なぜこのようなことが起こるのか?
一言でいえば、
「相手の思考を整理できていない」
からです。
多くの場合、次のことができていないのです。
・何をどの順番で説明するのか整理できていない
・説明する相手の理解レベルを意識していない
・自分が何を言いたいのか決まっていない
これらができていないまま説明を始めると、相手はもちろん、自分の頭の中も混乱をきたしてしまいます。
説明が苦手な人は、相手の頭の中を整理できていない
2000年、関西学院大学総合政策学部卒業。商社系SI企業に入社。米国ソフトウェアベンチャーへの技術研修員派遣により、サンフランシスコ勤務。
2004年、アクセンチュア株式会社戦略グループ入社。通信業、製造業、流通・小売業などの多様な業界の事業戦略立案からSCM改革、業務改革に至るまで、幅広い領域での戦略コンサルティングプロジェクトに参画。
2011年、日本IBM株式会社入社。ビッグデータのビジネス活用を推進。
2012年、株式会社ギックス設立。取締役に就任。戦略コンサルティングとデータ分析を融合した、効率的且つ実効性のあるコンサルティング・サービスを提供。※画像をクリックするとAmazonに飛びます