大和証券グループ本社 < 8601 >が30日発表した2014年度の第2四半期決算は、純利益が前年同期比7.9%増の370億円だった。経常収益は前年同期比11.4%増の442億円だった。中間決算は、同社の中期経営計画を上回るペースで進捗した。債券・為替トレーディング損益の増収、対顧客取引の増加やファンドラップの資産積み上げの好調が寄与した。

売上にあたる営業収益は4.7%増の1,556億円だった。株式投信を中心とした運用資産高の拡大により、アセットマネジメント部門の純営業収益が過去最高を更新したことなどにより、純営業収益は前四半期6.3%増の1,301億円であった。リテール(国内営業)部門とホールセール(法人)部門ともに売り上げが増加した。

一方、28日発表された証券最大手の野村HD< 8604 >の2014年4~9月期連結決済は純利益が前年同期比30%減の727億円だった。売上高にあたる純営業収益は6%減の7446億円、税引き前利益は33%減の1256億円だった。部門別の営業利益は、企業の資金調達やM&Aなどのホールセール部門が45%減の279億円、個人営業が主体の営業部門が42%減の705億円だった。一方、投資信託などのアセットマネジメント部門は25%増の161億円となっている。

2014年以降の証券業界は厳しい局面を迎えている。年初からの株式相場の伸び悩みに重ね、今春金融庁が金融機関に対し、投資信託の販売手数料稼ぎのための、”乗り換え販売”に偏らないように営業員の評価基準を見直すよう求めた。そのため、“固定費カバー率60%”を目標に置く大和証券グループ本社の戦略にも見られるように、証券業界では”預かり資産”を重視した新しい戦略に舵を切っている。直近では、退職世代向け相談会を全店で開き、来年から21の本支店に相続の専門家を配置するなど、すでに退職した団塊世代が退職金へのアプローチへと対応を急ぐ。

直近の目立った動きとしては、野村證券が来年に導入する国内営業部門の人事改革が証券業界に衝撃を与えた。定年の延長と、転勤がない新たな営業職の導入だ。定年年齢そのものを65歳に引き上げて、70歳まで1年契約の更新を可能にし、ストック収入のビジネスモデルへのシフトを行おうとしている。同社は2012年8月、顧客に投信などの資産の長期保有を促す資産型営業への転換に向けた営業スタイルの変革に踏み切ったばかりで、基本戦略をより盤石化させていく。また、新職種は、自ら営業地域を選択し、さらに会社都合の転勤はない仕組みなため、顧客との密着型の営業がより可能となる。従来にはなかった新機軸の人事政策の導入が証券業界全体に影響を及ぼすのは必至だ。

人口減少による国内マーケット縮小への対応が迫られるなか、証券各社の競争はますます激化していくだろう。

(ZUU online)

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