学び続け、引き出しを増やす
健康寿命を平均寿命に近づけるための生き方の要素の1つとして、過酷すぎる働き方をしないことも重要だ。
自分が得意で高い社会的・経済的な価値を感じている分野に身を置き、自分にとって世の中との意味ある接点を保ちながら、自らが選択した仕事を通じて学び続ける。そういう働き方をすることで、結果として長く幸せに生きられるのではないだろうか。
学び続ける、という点も重要である。1つの専門分野に頼るのではなく、関連する複数の専門分野で学びを拡げることで、時代の急速な変化による知識の陳腐化リスクに耐え、市場において常に「なくてはならない人材」として生き残ることも可能となるからだ。
そのためには、こういうことが必要なんじゃないかと思う領域に布石を置くような感じで、まったく違う業界の人と交流するのも有効だ(ただし、異業種交流会に積極的に参加すべきだと言っているわけではないことに留意いただきたい)。異分野の情報に触れ、それらを知識として自らの頭の中に定着させることで頭の引き出しを増やしていく習慣が、ビジネスチャンスを拓いていく。
機敏に対応する能力
予測不可能なVUCAの時代を生き残るためには、アジャイル(機敏)に対応することも必要になってくる。なにせ予測がつかないのだから、事前に対策を練っていてもどんどん外れてしまう。だからこそ事後的に、アジャイルに対応する能力が問われている。
事業を持つものとして特に意識したいのは、固定費を小さくし、事業戦略を単純化し、複数の事業を育て収益を分散しておくことだ。たとえばコロナ禍において主力製品がさっぱり売れなくなってしまったとしても、土地や建物などの有形固定資産を運用して副収入を確保したり、新商品開発に力を入れて新たな販路を開拓したりすることなどが求められている。
リスクを取った人が報われる資本市場への転換
公助の限界とともに訪れる自助の時代においては、事業オーナーとしてはもちろんのこと、個人としても資産運用して増やしていかなければならないし、必然と株を売買する人口が増えてくる。
そのためには、リスクを取った人が報われるように、まず国が資本市場をあらかじめ整備しておく必要がある。つまり、運用者や運用する先の企業(主に上場企業)、そしてその株の売買に関わっている証券会社も含めて、全体を変えていく必要がある。これこそが今日本で進められつつあるインベストメントチェーン(投資の連鎖)改革だ。