この記事は2023年3月17日にSBI証券で公開された「NISA活用も!投資家の関心度が高い3月の株主優待銘柄は?」を一部編集し、転載したものです。

NISA活用も!投資家の関心度が高い3月の株主優待銘柄は?
(画像=SBI証券)

目次

  1. NISA活用も!投資家の関心度が高い3月の株主優待銘柄は?
  2. 株主優待の一部をご紹介
    1. TOKAIホールディングス(3167)
    2. ニップン(2001)

NISA活用も!投資家の関心度が高い3月の株主優待銘柄は?

3月の株式相場は波乱となっています。3/9(木)には、日経平均株価が昨年8月以来の高値水準を回復する場面もありましたが、その後は急反落してしまいました。米国で銀行破綻が続き、金融システムを巡る懸念が台頭したことが響きました。

米国の銀行破綻劇は、破綻した銀行の取引先がスタートアップや暗号資産関連企業に偏っていたことや、短期債務増・長期債券増というバランスシートのアンバランス等に原因を求められそうです。米大手銀行や日本の金融機関が同様の危機を迎える可能性は小さいとみられ、過度な懸念は不要と考えられています。

ただ、金利の上昇で債券価格が大きく損なわれたことも背景とみられるため、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策にかかるかじ取りは難しくなりそうです。その意味で、株式市場が当面の落ち着きを取り戻すまでは、今少し時間を要するかもしれません。

そうした中、3月も半ばとなってきました。株主優待や配当等を享受できる株主の権利を確保するための、権利付最終日(3/29)まで、残りの日数も減ってまいりました。通常であれば、権利取りの動きが増えて、3月決算銘柄の株価が上昇しやすい時期と言えます。しかし今回は、米国市場発の波乱で、株価が下げている銘柄も多いとみられます。中長期スタンスの投資家の中には、権利取りの「良いタイミング」と考えている向きも多そうです。

そこで今回の「日本株投資戦略」では、3/3(金)号に続き、3月株主優待銘柄について再びチェックをしてみました。3月末に株主優待の権利が確定する会社数は800社あり、年間の月の中で最も多くなっています。株主優待に強く関心をもつ投資家であれば、3月は非常に重要な月と考えられます。なお、「3月に権利が確定する株主優待銘柄」のほとんどが3/29(水)を権利付最終日としています。この場合、3/30(木)の権利落ち日以降に買い付けができても、配当および株主優待の権利を確保することはできませんので、ご注意ください。

なお、権利付最終日に優待実施銘柄を買い、権利落ち日に売ることで、効率良く株主優待の権利獲得を考える投資家の方もいらっしゃいます。ここで注意すべき点は、買い付ける時の株価が予想外に高くなったり、売る時の株価が予想外に安くなったりなど、相当額の売却損がでてしまうケースです。配当取りも同様で、権利落ち日には配当実施分だけ株価が下がることが多くなっています。ノーコスト・ノーリスクで株主優待や配当を享受することは難しいでしょう。

それでも、コストやリスクを軽減して、株主優待の権利を確保する方法はあります。ひとつは、複数銘柄に投資をし、リスク分散を図る方法です。 もうひとつは「つなぎ売り」を活用した取引です。「つなぎ売り」で株主優待をお得に活用する方法については、SBI証券のWebページでご紹介していますので、ご参考ください。ただ、「つなぎ売り」をした場合、信用取引の「売り」により、配当調整金を支払う必要が出て、実質的に配当を受け取れなくなるなど、重要な注意点*(下記脚注の詳細参照)もあります。メリットとデメリットを十分理解した上でのご利用をお願い申し上げます。

今回、「3月株主優待銘柄」として、ご紹介したい銘柄は、以下の条件により抽出された銘柄です。

(1)東証上場銘柄(広義の金融を除く)
(2)3月に株主優待の権利確定を予定する銘柄で、権利付最終日が3/29(水)
(3)SBI証券の株主優待検索機能で「一般信用」、または「制度信用」対象銘柄
(4)3/15(水)までの20営業日で、1営業日当たりの平均出来高が2万株以上
(5)株主優待の権利確保に必要な最短保有期間の条件がない
(6)3月決算企業の場合、第3四半期累計の営業損益が黒字。9月決算の場合、第1四半期の営業損益が黒字
(7)継続企業の前提に疑義が生じていない
(8)信用取引規制が実施されていない(2023/3/15時点)
(9)SBI証券株主優待検索ページで、閲覧回数の多い上位50銘柄以内(2023/3/15時点)
(10)株主優待を現金換算できる場合、金額が1,000円相当以上

すべての条件を満たす銘柄を「投資家の関心度が高い3月の株主優待銘柄」としてご紹介したのが、図表1となっています。株主優待の内容ごとに分けてご説明しています。掲載の順番は「株価の低い順」です。

*重要な注意点 ~つなぎ売りを利用した場合の「配当金(現物と信用)受け払いの差額」~
※権利付き最終日の大引け時点でつなぎ売りをしている場合、現物については税金が差し引かれた配当金(配当金の約80%)を受取り、一般信用売り建玉については配当落ち調整(配当金の100%)金をお支払いいただきます。したがいまして、配当金の約20%の差額をお客さまにご負担いただくことになります。
※現物株式の配当金は、源泉税(20.315%)が差し引かれた金額で支払われます。
※一般信用売り取引の場合は、配当落ち調整金として配当金の100%をお支払いいただきます。
※権利付き最終売買日と権利落ち日をまたいで信用売建玉がある場合、権利落ち日に予想配当金相当額(予定配当調整金)をあらかじめ委託保証金現金から拘束させていただき、配当金が確定後に拘束金から支払いを行います。信用売建玉に対する支払予定配当金相当額合計(予定配当調整金合計)は、「口座管理」>「信用建余力」>「建余力・追加保証金」の「増担保・配当調整金」に表示させていただいております。

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(画像=SBI証券)

以下、一部の銘柄について、ポイントをご紹介します。

株主優待の一部をご紹介

以下、「WBC」関連銘柄の一部について、ポイントをご紹介します。

TOKAIホールディングス(3167)

当社はグループで、LPガス販売や情報通信サービスなど数多くの事業を手掛けています。売上高構成比(2023/3期第3四半期累計)は、エネルギー43%、建築設備不動産11%、CATV15%、情報通信24%、アクア3%他となっています。エネルギー事業では、LPガス小売事業が国内大手です。また、電力小売事業では東京電力HDと業務提携しています。

2/2(木)に2023/3期第3四半期(累計)業績を発表しました。売上高は1,642億円(前期比9.9%増)、営業利益が84.6億円(同8.5%減)でした。主力のエネルギー事業では、顧客増で増収を確保したものの、仕入れ価格の上昇で減益になりました。

2023/3期(通期)は売上高2,230億円(前期比5.8%増)、営業利益145億円(同8.2%減)の計画です。第3四半期決算発表とともに、通期計画については下方修正が行われました。前社長の不適切な経費使用に関する調査費用などで予想純利益が20億円下方修正され、63億円(前期比29.8%減)の見込みとなりました。上期1株16円に続き、下期にも1株16円の配当実施を予定しています。

3/29(水)現在、100株保有の株主に対し、以下の株主優待が実施される予定です(いずれか1つ)。

(1)天然水(500ml入)12本
(2)天然水宅配サービス(12l入)1本
(3)クオカード500円相当
(4)自社グループ食事券1,000円相当
(5)自社グループ会員サービスポイント1,000ポイント付与
(6)自社モバイルデータ通信サービス利用料割引(350円割引×6ヵ月分)

これらは、300株以上の保有、または5,000株以上の保有でさらに高額の贈呈になる予定です。 なお、100株以上を保有する投資家に対しては上記に追加で、自社グループ結婚式場婚礼10%割引券と、自社グループ食事20%割引券12枚も贈呈される計画です。

ニップン(2001)

当社は、日清製粉グループ本社(2002)に次ぐ国内第2位の製粉メーカーです。売上高(2023/3期・第3四半期累計)の32%が製粉事業(業務用小麦粉、および飼料等に使われる小麦粉の複製品である「ふすま」)、同57%が食品事業(家庭用小麦粉、加工食品、中食)となっています。

1株配当ついては、中間期末(2022/9)に19.0円、期末(2023/3)に19.0円、年間で38.0円が会社予想です。3/15終値(1,666円)で計算された1年間の予想配当利回りは2.28%となっています。

3/29(水)現在の株主に対し、以下の株主優待が実施される予定です。

・全株主・・・自社グループ会社指定商品(アマニ油・サプリメント・ワイン等)の優待価格販売

・100株以上保有・・・「ジュンコ・フローラ・スクール」無料体験・プレコース(小麦粘土でつくる 『パンの花』レッスン)および入会金無料

・500株以上・・・3,000円相当の自社商品詰合せ(パスタ等)
※9月優待においては、1,500円相当の自社商品詰合せ(パスタ等)に変わります。こちらは1年以上継続保有の条件が付いています。

▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。

鈴木 英之
鈴木 英之
SBI証券 投資情報部長
・出身:東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味:ハロプロの応援と旅行(乗り鉄)
・特技:どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物:サイゼリヤのごはん
・好きな場所:秋葉原(末広町)
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的な寄稿も多数