不動産投資に役立つ統計9選|データで入居率・家賃・物件価格をチェック!
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不動産投資で安定経営を目指すならマーケット動向や管理状況などの情報収集が欠かせない。本コラムでは、精度の高い情報収集に貢献する不動産投資の統計をひとまとめにした。統計を見る際のポイントも合わせて解説する。

不動産投資の情報収集で、統計の閲覧をおすすめしたい理由

近年は、SNSやWebメディアを通して不動産投資の情報に手軽に触れられる。そのため「わざわざ手間をかけて自分で統計を閲覧しなくてもよいのでは……」と感じる方もいるかもしれない。たしかにSNSやWebメディア中心で情報収集をすれば手間がかからないが、精度の高い情報収集をするなら統計を直接閲覧した方がよいだろう。

なぜならSNSやWebメディアの情報は玉石混交で、紹介されている情報が正しいとは限らないからだ。また、最新の傾向とは異なる古いデータが紹介されているケースも少なくない。統計による情報収集を行えば、正しい最新情報を入手しやすくなるだろう。

ここでは、不動産投資に役立つ統計を一覧化していく。

不動産投資に役立つ統計〈公的機関編〉

前半では、公的機関の統計を紹介する。

日管協短観(日管協)

「日管協短観」は、最新の入居率や賃料などの平均値や変動を知りたい不動産投資家におすすめの統計だ。これは、賃貸管理会社などの業界団体である公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(通称:日管協)が発表しているもの。その内容は、日管協の正会員・約500社の管理状況をまとめたもので、エリアごとの平均入居率(首都圏、関西圏、全国平均など)や成約件数、成約賃料などの変動がわかる。

これだけでも有益な情報だが、不動産投資家にとっては委託管理をした場合の「管理報酬」、サブリースをした場合の「借上料率」の項目も見逃せない。同項目を見ると、自身が契約している報酬や料率が割高か割安かが判断できるだろう。

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会- (jpm.jp)※この先は外部サイトに遷移します。

住宅・土地統計調査(国土交通省)

「住宅・土地統計調査」は、不動産投資家にとって有用な統計といえるだろう。なぜなら主要都市ごとの賃貸物件に関するさまざまなデータに触れられるからである。同調査は、以下の内容について現状と推移を5年ごとに調査するものだ。

・国内の住宅の状況
・そこに居住する世帯の居住状況
・世帯の保有する土地などの実態

不動産投資家による「住宅・土地統計調査」の活用例は、以下の通りだ。

  • 活用例.主要都市の賃貸物件の棟数をチェック
    住宅・土地統計調査の「むね数」の項目では、主要都市ごとの共同住宅(アパートやマンションなど)の棟数を確認できる。しかも構造(木造、非木造)や階数ごとの現在の棟数や推移などの詳細情報も把握できるため、重宝するだろう。

  • 活用例.主要都市の長期的な家賃相場をチェック
    「借家の家賃・間代」の項目では、賃貸物件の1畳あたりの平均家賃が主要都市ごとにまとめられている。現在の家賃だけでなく長期的な推移もまとめられているため、対象都市の家賃の動向も確認しやすい。

国土交通省「平成30年住宅・土地統計調査」※この先は外部サイトに遷移します。

不動産価格指数(国土交通省)

不動産投資家が物件を売買するタイミングを計るのに役立つのが「不動産価格指数」だ。この指数は、2010年の物件平均価格を100として現在どれくらいの指数になっているかを表したものである。例えば、現在の指数が110であれば 2010年と比較して値上がり傾向、 逆に現在の指数が90であれば値下がり傾向といった具合だ。

不動産価格指数の具体的な活用例だが、区分マンションの物件価格の推移を知りたいなら住宅指数内の「マンション(区分所有)」を見るとよいだろう。またマンション・アパート(一棟)、店舗、オフィスなどの価格推移を確認したいなら商業用不動産指数でチェックできる。

国土交通省「不動産価格指数」※この先は外部サイトに遷移します。

人口動態統計(厚生労働省)

不動産投資で安定経営を意識するなら、エリアや物件を選ぶ前に「人口動態統計」を確認するのが望ましい。本来、人口動態統計は厚生労働省の施策を行うための基礎データを得ることを目的としているが、使い方によっては賃貸経営にも役立つ。人口動態統計には「総覧」「出生数」「死亡率」などさまざまな切り口のテーマがある。

これらのうち不動産投資で活用する場合は「人口動態総覧(率)-都道府県別」をチェックしたい。この統計内の「自然増減率」が急減しているエリアでの物件購入は、人口減少と共に賃貸ニーズも低下している可能性があるため、慎重になったほうがよいかもしれない。

厚生労働省「人口動態統計」※この先は外部サイトに遷移します。

公示地価(国土交通省)、路線価(国税庁)

不動産投資をするなら地価に関する統計にアンテナを張ることをおすすめしたい。なぜなら地価の変動は、物件価格に影響を及ぼす可能性があるからだ。ただし、ひとくちに地価といっても以下の3種類がある。

種類 調査元 調査時点
基準地価 都道府県 7月1日
公示地価 国土交通省 1月1日
路線価(相続税路線価) 国税庁 1月1日

このうち国が主体になって調査・発表するのは、公示地価と路線価だ。これらには、以下のような特徴がある。それぞれの特性を知ったうえで不動産投資に活かしたい。

  • 公示地価の特徴
    都市計画区域を中心とする全国約2万6,000地点(2022年度地価公示)を調査(=市街地の調査が中心)。一般的に時価に近い土地取引の指標とされる。

  • 路線価(相続税路線価)の特徴
    相続税や贈与税を割り出す指標とされる。公示地価の80%程度が目安とされる。

国土交通省「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」※この先は外部サイトに遷移します。
国税庁「路線価図・評価倍率表」※この先は外部サイトに遷移します。

不動産投資に役立つ統計〈民間編〉

後半は、民間企業などが発表している統計を紹介する。

不動産投資家調査(一般財団法人日本不動産研究所)

「不動産投資家調査」は、アセットマネージャーや投資銀行、年金基金など、いわゆるプロ投資家がどれくらいの利回りや投資期間などで投資を行っているかをまとめた統計だ。1994年より継続的に調査が行われている。ワンルームやファミリー向けなど賃貸物件の平均的な利回りも網羅されているため、個人投資家にも参考になる内容だ。

新築分譲マンション市場動向(株式会社不動産経済研究所)

「新築マンション市場動向」は、前月の新築マンションの発売戸数、初月契約率、平均価格などがまとめられた毎月発行される統計だ。首都圏版と近畿圏版がある。また同社では「マンション市場予測」や「全国超高層マンション市場動向」などのレポートもあるため、目的に応じて活用しよう。

分譲マンション賃料推移(株式会社東京カンテイ)

東京カンテイでは「中古マンション価格推移」「一戸建て価格推移」などさまざまなテーマの統計を発表している。なかでも不動産投資家に役立つのは「分譲マンション賃料推移」だ。これは、三大都市圏(首都圏・近畿圏・中部圏)と主要都市別の平均賃料をまとめた統計で、月別版と年間版がある。年間版は、数値だけでなく賃料が変化した背景も説明しているため、勉強になるだろう。

マンション賃料インデックス(株式会社三井住友トラスト基礎研究所など)

「マンション賃料インデックス」は、アットホームと三井住友トラスト基礎研究所が開発した賃料インデックスを用いた、年4回公表される統計だ。前期と比較したときの賃料変動や過去十数年の賃料変動がシンプルなグラフで視覚的にまとめられているのが特徴だ。

収集した情報は、実務に生かしてこそ意味がある

不動産投資において大事なことは、情報収集で終わるのではなく、その情報を実務に活用することだろう。例えば、統計を用いて平均的な空室率や賃料を知ったとしよう。もし自身の所有する賃貸物件がそれを下回っていれば平均値以上にするための対策をとるのが望ましい。また、統計を用いて取引価格や地価の動向を把握したなら、それに基づいて売買のタイミングを見極めることも有効だ。

情報収集をしても、それだけでは安定した不動産投資は実現できないため、「どのデータをどう生かすか」をイメージしながら情報収集を進めよう。

(提供:manabu不動産投資

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