この記事は2023年3月24日に「CAR and DRIVER」で公開された「超高齢社会を迎えた日本の移動手段の回答策となるトヨタの新モビリティシリーズ「C+walk」の第2弾「C+walk S」が市場デビュー」を一部編集し、転載したものです。
トヨタが新モビリティシリーズのC+walkの第2弾で、“歩く”をアシストする座り乗りタイプの「C+walk S(シーウォークエス)」を発売。合わせて立ち乗りタイプの「C+walk T」と超小型BEVの「C+pod」の一部改良を実施
トヨタ自動車は2023年3月20日、新モビリティシリーズのC+walkの第2弾となる「C+walk S(シーウォークエス)」を発売するとともに、トヨタレンタリースでの取り扱いを開始した。合わせて、立ち乗りタイプの「C+walk T」と超小型BEVの「C+pod」の一部改良を実施。C+walk Tは4月に予定されている改正道路交通法に適合した歩道(公道)で移動可能なモデルとして5月に発売し、一方でC+podは3月20日よりリース契約での取り扱いを開始した。
車種展開および車両価格は以下の通り。
■C+walk S
C+walk S:49万8000円
C+walk S“Safety support”:50万5000円
■C+pod
C+pod X:166万5000円
C+pod G:173万1000円
なお、C+walk Tの新車両価格は後日発表する予定である。
座り乗りタイプのC+walk Sは、自分1人の力で歩けるものの、日常生活の中で長距離・長時間の歩行に困難を感じている人をサポートする3輪タイプの新モビリティだ。エクステリアはC+walkシリーズ共通の周辺への圧迫感が少ないスリムなフォルムを実現。車両は走行時に運転者から前方の路面が見やすい前1輪・後2輪の3輪で構成し、タイヤ自体は全輪ノーパンクタイヤ(10インチ)を配備する。また、パッケージングの面ではステップ高130mmと低くて広いステップや立ち座りしやすいシートポジションなど乗降に配慮したユニバーサルなデザインで仕立て、ハンドルステム部(フロントフォーク上端とハンドル下端部中央とを繋ぐ部分)からシームレスにつながる樹脂ボディにはワンタッチで脱着可能な取換式リチウムイオンバッテリーを内包した。ボディサイズは全長1185×全幅650(カラーパネル装着時660)×1030mmに設定。ボディカラーはブラックを基調とし、販売店装着オプションとしてよりスタイリッシュに魅せるウォームグレー、カッパーマイカメタリック、グレーメタリックのカラーパネルを用意した。
操作系に関しては、ハンドル左右にあるアクセルレバーの操作だけで発進、加速、減速、停止までコントロールできる機構を採用。押すと進み、離すと止まる簡単な操作とし、誰もが直感的に操作できるように配慮する。さらに、必要に応じて左右両手で操作可能なブレーキレバーを握ることでより減速をサポート。他の操作系から独立したバックボタンを押すことで後進も可能とした。また、中央部にはバッテリー残量や速度がひと目でわかるディスプレイパネルを装備。パネル下には前照灯スイッチや速度切り替えスイッチ(最高速度1、2、3、4、5、6km/hの切り替え可)、警鐘スイッチを備える。さらにその下には、バッテリー電源スイッチONの上で専用キーをかざすことでシステムが起動する認証エリアを設定。キー自体は赤色のマスターキーと黒色のサブキーを付属している。
一方でシートについては、座面の形や背もたれの角度まで座り心地を追求。乗り降りに配慮して、アームサポートには跳ね上げ機構を組み込む。洗濯できるグレーのシートバックカバーも標準で装備した。また、シート下には買い物カゴがそのまま収まる大容量の収納スペースを確保して、利便性を高めている。
走行性能に関しては、インホイールモーター方式を採用。2輪のリアホイール内にブラシレスDCモーター(最高出力0.35kW)を各々配置し、最高速度6km/hの人が“歩く”速度域で移動しながら、段差を乗り越える際(段差乗り越え/降り高さ50mm、溝乗り越え幅100mm)や坂道(実用登降坂角度10度)でもゆとりをもって走行できる。最小回転半径は狭い道などでもスムーズな取り回しができる0.95mを成し遂げた。一方、リチウムイオンバッテリーは総電力量0.33kWhを確保し、1回の満充電での連続走行距離は約12km(社内測定値。気温20℃、搭乗者の体重70kg、速度6km/hで平坦路移動した場合)を実現。バッテリー自体は2.5kgと軽量な脱着式で、付属の専用充電器(AC100V)に接続すれば、およそ2.5時間での満充電を可能とした。
安全・安心への配慮にも抜かりはない。走行時に前方の人や障害物との衝突回避に寄与する障害物検知機能を設定。ボディ前面の周辺検知センサーが検知すると、警告音とパネル表示で警告して約2km/hまで自動的に減速する。また、旋回速度抑制機能および急斜面検知機能を標準で採用。カーブなどでのハンドル操作時、操舵角を検知してその大きさに応じて減速をサポートし、さらに傾斜地での走行においても急斜面侵入を通知して降坂時の速度によっては減速をサポートする。さらに、ちょっとした移動の際に便利な「手押しモード」を設定。後輪の電磁ブレーキを解除し、手で押して移動させることを可能とした。
立ち乗りタイプの「C+walk T」と超小型BEVの「C+pod」の一部改良に話を移そう。C+walk Tは、歩道(公道)で移動可能な「移動用小型車(2023年4月施行の改正道路交通法に新たに定められた区分のひとつ。移動用小型車は証明する標識[シール]を貼付。道路交通法上歩行者扱い[車道通行不可]車道通行不可。車両要件は全長1200×全幅700×全高1200mm以内[電動車いすと同等]、最高速度6km/h以下など)」の車両要件に適合させるため、車両サイズや最高速度の見直しを実施。一方でC+podは、法規対応に加えてペダル踏み込み時のブレーキフィーリングの見直しなどを図っている。
(提供:CAR and DRIVER)