丸山優太郎
丸山優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している

富裕層を中心に会員制リゾートホテルが人気を呼んでいます。会員制ホテルは、一般的なホテルとどのような違いがあるのでしょうか。本稿では、会員制ホテルの概要や入会条件、サービス内容などについて解説します。

目次

  1. 富裕層が利用する会員制ホテルとは
  2. 会員制ホテルの入会条件
  3. 有名会員制ホテルのサービス内容
  4. 普通のホテルに比べてどんなメリットがある?
  5. 会員制ホテルにはデメリットもあるので注意が必要
  6. 会員制ホテルの入会に必要な年収は?

富裕層が利用する会員制ホテルとは

会員制ホテルの入会に必要な年収はいくら?クローズドな富裕層のコミュニティ
(画像=murattellioglu/stock.adobe.com)

会員制ホテルとは、会員権を持っているオーナーや同伴者、紹介者のみが利用できるクローズドなホテルのことです。会員権を購入すると、リゾート事業者が運営する各施設を自由に使うことができます。会員権を大きく分けると以下の4つのタイプがあります。

共同オーナー方式

ホテルの1室を複数のオーナーで共同所有する方式の会員権です。マンションの区分所有権のようなもので、1年間をオーナーの人数で割った日数を利用することができます。所有権となるため、不動産を買うつもりで検討したほうがよいでしょう。

施設利用権方式

部屋を所有せずに施設を利用する権利を得る方式の会員権です。宿泊予約が取れた場合に利用することができます。所有権に比べて低価格で購入できるのがメリットです。一方で必ず希望の日程で予約が取れるわけではないというデメリットがあります。

タイムシェア方式

オーナーごとにあらかじめ割り当てられた日程で利用できる方式の会員権です。スケジュールが決まっているため、予定を立てやすいメリットがある半面、日程の自由度が低いデメリットがあります。

ポイント購入方式

年間ポイントを購入して利用権を取得する方式の会員権です。ポイントを使って宿泊予約をしますが、使用するポイントは一律ではなく施設や利用する時期によって必要ポイント数が異なります。ポイントの範囲内で自由に選べますが、前払いとなるため、利用しないと無駄になる可能性があります。

会員制ホテルの入会条件

会員制ホテルへ入会するには、入会金と年会費の支払いが必要です。一般的な会員制ホテルの相場としては、入会金が100万円以上、年会費は数万円程度となっています。高額な費用がかかるため、入会にあたって審査を実施している施設もあります。

有名会員制ホテルの所有権を買う場合は、数千万円単位のホテルも少なくありません。これは、不動産を購入するのと変わらないレベルの費用となります。なお会員制ホテルの会員権は、売却して現金化することも可能です。

大手企業グループ系ホテルの場合は、独自の入会条件を定めている場合もあります。例えば東急グループの東急ハーヴェストクラブでは、東急不動産による審査通過後、東急カードが発行する「TOKYU CARD」への加入が条件です。

有名会員制ホテルのサービス内容

会員制ホテルのオーナーになると、どのようなサービスが受けられるのでしょうか。ここでは、有名会員制ホテルを例に見てみましょう。

宿泊保証がある(タイムシェア方式)

1つ目は、宿泊保証です。エクシブの例では、通常のエクシブ会員権を持った14人のオーナーで1つの部屋を共有しますが、必ず権利分(26泊または13泊)は宿泊できるようになっています。割り当てられたスケジュールで予定を組めば確実に宿泊できるため、安心感がある会員制ホテルです。特にハイシーズンとなる年末年始や夏休みも公平に割り当てられるため、家族にも喜ばれるでしょう。

専任の担当者が付く

2つ目は、オーナーの要望に応えられるように専任の担当者が付いて万全のフォローアップを行ってくれることです。宿泊の予約だけでなくオーナーの趣味嗜好に沿ったサービスの提案をしてくれる場合もあります。

イベントに参加できる

3つ目は、会員向けのイベントに参加できるホテルもあることです。例えば東急バケーションズでは、小田原城のガイドツアーや八ヶ岳周辺のハイキングなどの企画を実施した実績があります。単に宿泊するだけでなく、さまざまな体験ができることも会員制ホテルの魅力の一つです。

ただしホテルによってサービス内容や利用条件が異なるため、すべての会員制ホテルで同じサービスを受けられるわけではありません。契約する前に、自分の希望に合うサービスメニューであるかを確認したほうがよいでしょう。

普通のホテルに比べてどんなメリットがある?

会員制ホテルは、全国にある系列の施設を利用できるため、「夏は海に近い施設」「冬は温泉のある施設」というように季節によって使い分けることが可能です。別荘を所有している場合は、1年中同じ場所となるため、いつかは飽きがくる可能性もあるでしょう。

1つの会員権で全国いろいろな施設を利用できるのは、「次回はどこに行こうか」と選ぶ楽しみがあり、一般的なホテルにはない会員制ならではのメリットといえます。

また一般的なホテルに比べて設備を利用しやすいこともメリットの一つです。一般の高級ホテルでもラウンジやバー、プール、ゴルフ場、スパ、エステなどの設備はありますが、不特定多数の宿泊客が利用するため、混雑や順番待ちになる可能性があります。

しかし会員制ホテルは、限られたオーナーやその家族・友人など少人数で利用するため、ゆったりとした時間を過ごすことが可能です。このゆとりがより一層、優雅な時間を演出してくれることでしょう。

会員制ホテルにはデメリットもあるので注意が必要

一方で会員制ホテルには、デメリットになることもあります。メリットの裏返しになりますが、宿泊保証される日があらかじめ指定されているシステムの場合、一般的なホテルのように自分が行きたい日に予約することができない点はデメリットです。つまり、ホテル側に自分の日程を合わせなければならないことになります。

また日程を自由に選べるシステムの場合、会員制であってもハイシーズンに予約が取れない恐れがあります。さらに年複数回宿泊するオーナーにとっては、別荘のように荷物を保管しておけない点がデメリットに感じるかもしれません。バーベキューセットなども都度持ち込みが必要となるため、不便です。現地でレンタルできる可能性もありますが、それでは余計な費用がかかってしまいます。

会員制ホテルの入会に必要な年収は?

会員制ホテルに入会するには、どれくらいの年収が必要なのでしょうか。会員制ホテルでは、審査がある施設もありますが、年収の基準は公表されていないため、正確な数字は不明です。しかし会員権のタイプによってかかる費用から推定することはできるでしょう。

利用権を購入するタイプの場合

例えばセラヴィリゾート泉郷の場合、入会金が132万円(税込み)、年会費は3万3,000円(税込み)です。入会金は、永年有効で施設は1年ごとの自動更新で利用できます。ただし年会費のほかに宿泊料金も支払わなければならないため、低所得層の場合、利用は難しいかもしれません。

年会費を支払う以上、年複数回宿泊しないと意味がないため、定期的に旅行へ行くには700万~800万円の中間所得層程度の年収は必要と推定されます。

所有権を購入するタイプの場合

ホテルの1室の区分所有権を購入するタイプの場合は、富裕層でないと購入は難しいでしょう。施設によって価格は異なるため、一概にはいえませんが、例えば東京ベイコート倶楽部の売り物件(2023年3月15日現在、Webサイト「リゾートステーション」掲載分)の場合、最上級のロイヤルスイートで1,100万~2,400万円という価格が表示されています。

このほかに諸経費として約110万~162万円かかる点も忘れてはいけません。居住用でもないリゾート不動産に数千万円の費用を投じるには、一般的に富裕層といわれる年収2,000万円程度は必要になるのではないでしょうか。クローズドな富裕層のコミュニティが特徴の会員制ホテルは、日常を忘れさせてくれるラグジュアリーな空間と充実したサービスで多くの人のあこがれになっています。

入会に必要な年収については、明確に決まっているわけではないため、さらに仕事に励み、入会できる水準の年収を目指すことも有意義なのではないでしょうか。

※記事中の費用は一例です。会員制ホテルの入会条件や料金、サービス内容などは各ホテルによって異なります。入会を検討する際は各ホテルのホームページなどで詳細をご確認ください。

(提供:YANUSY

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